証券会社を選ぶとき、「日本株もFXも投資信託も、できれば1社にまとめたい」と考える人は少なくありません。松井証券は、株式投資からFX、NISA、iDeCoまで幅広い商品をそろえる総合証券会社です。この記事では、公式情報にもとづいて、それぞれのサービスの特徴と手数料を整理していきます。

1. 松井証券とはどんな会社か

同社は東京都千代田区麹町に本社を置く証券会社です。1918年5月に松井房吉商店として創業し、東京株式取引所の一般会員になりました。その後1931年3月に株式会社松井商店として会社化されています。資本金は119億4,500万円、従業員数は227名(いずれも2026年3月31日時点)で、他企業の傘下に入らない独立系の証券会社として運営されています。

金融商品取引業者としての登録(関東財務局長(金商)第164号)に加え、日本証券業協会と一般社団法人金融先物取引業協会に加入しており、東京証券取引所をはじめとする国内5つの証券取引所の取引参加者資格も持っています。取扱商品は日本株・米国株・投資信託・FX・先物オプション・NISA・iDeCo・IPO・PTS(夜間取引)・貸株サービスなど幅広く、株式投資からFXまで、目的に応じて使い分けられる総合証券会社です。

2. 日本株の手数料:「ボックスレート」と25歳以下無料の仕組み

日本株の売買手数料は「ボックスレート」と呼ばれる仕組みで決まります。これは、1回の取引ごとに手数料がかかるのではなく、1日におこなった現物取引と信用取引の約定代金を合計し、その合計額に応じて手数料が決まる仕組みです。定額制のビュッフェのように、その日にどれだけ取引しても、合計金額の区分ごとに決まった手数料で収まるとイメージするとわかりやすいでしょう。

1日の約定代金合計(26歳以上)手数料(税込)
50万円まで0円
100万円まで1,100円
200万円まで2,200円
以降100万円増えるごとに1,100円ずつ加算
1億円超110,000円(上限)

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とくに知っておきたいのが、25歳以下は約定代金にかかわらずボックスレート手数料が無料になる点です。この無料措置は、26歳になる月の最終営業日の取引分まで適用されるとされています。若いうちから取引コストを気にせず株式投資を始めたい人には、まとまったメリットになる仕組みです。

なお、単元未満株(通常100株単位の売買を、1株から取引できるようにしたもの)については、インターネット経由の通常口座では売却のみの受付となっており、手数料は約定代金の0.55%(最低手数料なし)とされています。

3. FXサービス(MATSUI FX)の特徴

松井証券のFX(MATSUI FX)の基本条件は、次のとおりです。

項目内容
取扱通貨ペア32通貨ペア
最低取引単位全通貨ペアで1通貨単位
取引開始額の目安約100円から
取引手数料無料
口座開設・口座維持・ロスカット・出金手数料いずれも無料
レバレッジ(個人口座)1倍・5倍・10倍・25倍から選択

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まず押さえておきたいのは、取引の始めやすさです。32通貨ペアすべてで最低取引単位が1通貨に設定されており、一般的なFX口座では1,000通貨単位が最低ラインになっていることが多いため、いきなり大きな金額を動かすのが不安な人にとっては、値動きの感覚をつかむ練習として使いやすい設計です。

レバレッジ(自己資金の何倍もの金額を動かして取引できる仕組みで、てこの原理に例えられることがあります)は、個人口座で1倍・5倍・10倍・25倍の中から選ぶ形になっています。低い倍率を選べば、同じ資金でも値動きによる損益の振れ幅を抑えられるため、取引に慣れないうちは低めの倍率から始めるという選び方もできます。

コストの中心になるスプレッド(売値と買値の差額で、実質的な取引コストにあたります)について、同社はFX業者10社の中央値と比較した自社調査をもとに、業界最狭水準をうたっています。例として米ドル/円では0.1銭という縮小スプレッド(注文数量1,000通貨までなど、一定の条件を満たした注文に適用される、通常より狭いスプレッドのこと)が示されていますが、これはあくまで条件付きの数値であり、相場の急変時や流動性が低下する時間帯には拡大することもある点は留意しておきたいところです。

FXの口座は、株式投資などで使う総合口座から資金を振り替えて利用する形になっており、FXだけを使いたい場合はFX専用口座を開設することもできます。FX・米国株については、月曜から金曜の7時から24時まで有人チャットで質問できる体制になっており、専用アプリ「松井証券FXアプリ」やPCツール「FXトレーダー・プラス」も無料で使えます。

4. 米国株:1株から始められる条件

米国株は1株単位から購入でき、まとまった資金がなくても有名企業の株主になれる点が特徴です。

項目内容
現物取引手数料約定代金の0.45%(税込0.495%)
現物取引の上限手数料22米ドル(税込)
信用取引手数料約定代金の0.30%(税込0.33%)
信用取引の上限手数料16.5米ドル(税込)
為替手数料(円→米ドルの事前両替)0銭

※横にスクロールして確認できます。

約定代金が2.22米ドル以下の取引は手数料が無料になるほか、信用取引でデイトレード(同日中に決済すること)を行った場合の金利は0%とされています。ここでの為替手数料無料は、外貨を保有する形であらかじめ米ドルに両替しておく場合の話です。円のまま米国株を売買する「円貨決済」を選ぶ場合は、1米ドルあたり25銭の為替手数料が別途かかるとされているため、決済方法によってコストが変わる点は覚えておきたいところです。

5. 投資信託とNISA

投資信託・NISAの基本条件は、次のとおりです。

項目内容
投資信託の取扱本数1,800銘柄以上
投資信託の購入時手数料無料
最低購入金額100円から
投信残高ポイント年間最大1%(毎月エントリーが必要、還元率はファンドごとに異なる)
クレカ積立(JCBオリジナルシリーズ)月100円〜10万円(1円単位で設定可)
NISA口座の売買手数料(日本株・米国株・投資信託)無料(NISA制度が続く限り適用)

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投資信託は1,800銘柄以上を取り扱い、購入時手数料はすべて無料、最低100円から購入できます。クレカ積立の還元率はカードの種類と積立以外の月間ショッピング利用額によって変わり、プレミアムカードの場合は積立以外の月間利用額が5万円以上であれば最大1.0%、5万円未満であれば最大0.5%、一般カードの場合は5万円以上で最大0.5%、5万円未満だとポイント付与自体がないとされています。

NISA口座では、日本株・米国株・投資信託の売買手数料が無料になり、口座維持費もかかりません。NISA口座で保有している投資信託も、投信残高ポイントサービスの対象になります。非課税で運用できるという制度上のメリットに加えて、これから積立投資を始めたい人にとって確認しておきたいポイントです。

松井証券のNISA

6. iDeCo

松井証券の評判と最新メリット徹底解説【2025年版】 資金調達マップ

iDeCoは、自分で掛金を出して運用し、老後の資産を準備する私的年金制度です。基本条件は次のとおりです。

項目内容
松井証券の運営管理手数料0円
制度上の手数料(加入者・掛金を拠出する場合)月171円
制度上の手数料(運用指図者・掛金を拠出しない場合)月66円
商品ラインアップ40種類(法令上の商品数は31商品)
投信残高ポイント年間最大1%

※横にスクロールして確認できます。(いずれも2026年7月時点、公的機関等への手数料を含む)

松井証券では運営管理手数料が0円に設定されていますが、iDeCoは国民年金基金連合会などへの手数料が別途かかる制度になっており、区分に応じた制度上の手数料はゼロになりません。運営管理手数料が無料でも、加入者か運用指図者かによって別途手数料が発生する点は誤解しやすいところなので、あわせて押さえておきたいところです。

商品ラインアップが「40種類」とされているのは、運用期間に応じて資産配分が自動的に変わる「ターゲットシリーズ」を、複数のリスク水準ごとに1本ずつ数えているためです。法令上の商品数としては、ターゲットシリーズをまとめて1商品として数えるため31商品となり、数え方によって表示される本数が変わる点は知っておくとよいでしょう。投信残高ポイントは、iDeCoで保有する対象投資信託についても年間最大1%の対象になるとされています。

iDeCoならポイントが貯まる松井証券

7. デイトレーダー向けサービスとIPO・PO

デイトレードを中心に取引したい人向けには、日本株の「一日信用取引」があります。その日のうちに新規建てから決済まで終えれば、取引手数料・金利・貸株料がいずれも0円になる仕組みです。ただし当日中に決済しなかった場合は松井証券側で任意に決済され、1注文あたり3,575円(税込)の手数料が発生するため、デイトレード目的で使う場合は決済のタイミングに注意が必要です。また、取引所の立会時間外にも取引できるPTS(私設取引システム)を使った夜間取引(17時から翌2時まで)も用意されており、取引所の終了後に出た決算やニュースを見ながら売買できます。

IPO・POについては、抽選申込時の事前入金が不要で、配分予定数量の70%以上を完全平等抽選にしている点が特徴です。抽選申込・購入いずれの手数料も無料で、NISA口座や未成年口座からでも抽選に申し込めます。ただし、当選後に購入手続きをしなかった場合は、その後6か月間IPO・POの抽選対象から外れるというペナルティがある点は注意しておきたいポイントです。

このほか、取引ツールも日本株・米国株・投信・FX・先物オプションそれぞれに専用アプリが用意されているほか、PC向けにも「マーケットラボ」「ネットストック・ハイスピード」といった高機能な発注・分析ツールが無料で提供されています。

8. 口座開設の流れと、資産を守る仕組み

口座開設は、オンライン申込と郵送申込の2つの方法から選べます。

  1. オンライン申込 ウェブ上で必要事項を入力して申し込む方法です。本人確認の方法としてオンラインeKYCを選ぶことができ、運転免許証やマイナンバーカードなどを使ってスマートフォンで本人確認を行うと、不備がなければ最短即日で口座開設が完了するとされています。営業日の11時30分までに申込を終えていれば、その日の18時頃には開設が完了する目安です。
  1. 郵送申込 書類を郵送でやり取りして申し込む、従来型の方法です。

なお、18歳未満の場合は通常の総合口座ではなく未成年口座となり、親権者が松井証券の総合口座を持っていることなどが条件になります。

サポート体制は、窓口によって対応時間が異なる点に注意が必要です。

サポート窓口対応時間
口座開設サポート平日8:30〜17:00
NISAサポート平日8:30〜17:00
有人チャット(通常)平日8:30〜17:00
有人チャット(FX・米国株)月〜金 7:00〜24:00

※横にスクロールして確認できます。

このように、FXや米国株については問い合わせできる時間が長く設定されている一方、口座開設やNISAに関する相談は平日日中のみとなっています。取引したい商品によって問い合わせできる時間が変わるため、事前に確認しておくと安心です。

預けている資産の管理体制についても触れておきます。松井証券では、顧客から預かった現金や有価証券を自社の資産と分けて管理する「分別管理」を行っており、その計算の基準となる「顧客分別金必要額の差替計算基準日」を、法令上は週1回以上とされているところ、毎日設定しているとされています。万が一、資産の返還に不足が生じた場合に備えて投資者保護基金にも加入しており、顧客1人あたり1,000万円を上限に補償される仕組みです。これは、銀行預金が一定額まで保護される預金保険制度と似た位置づけの制度と考えるとイメージしやすいでしょう。ただし、貸株サービスで貸し出している株式は、この分別管理と投資者保護基金の保護対象外とされているため、貸株を利用している場合は覚えておきたい注意点です。財務の健全性を示す指標としては、自己資本規制比率(証券会社の財務の安定度を示す規制上の指標)が2026年3月末時点で308.2%とされています。

9. 他の証券会社・FXサービスとの違いから見えてくる特徴

FXや証券サービスを提供する会社は複数ありますが、松井証券を他社と並べてみると、いくつか際立つ特徴が見えてきます。

もっとも大きな違いは、日本株・米国株・投資信託・FX・NISA・iDeCoまで、幅広い商品をひとつの証券会社でカバーしている総合証券会社である点です。FXやNISAなど単体のサービスに強みを持つ会社とは異なり、資産運用全体をひとつの会社にまとめたい人には選択肢になりやすいでしょう。また、日本株は25歳以下の手数料が無料、FXは全32通貨ペアで1通貨単位から取引できるなど、始めやすさを重視した設計になっている点も特徴です。

一方で、FXそのものの取引条件(スプレッドやスワップポイントなど)は、FX専業のサービスと比べてどちらが有利かは通貨ペアや取引スタイルによって変わってきます。サクソバンク証券GMO外貨ウィブル証券みんなのFXヒロセ通商(LION FX)についてもそれぞれ記事で条件を整理していますので、FXだけを重視するのか、株式投資などとあわせて口座をまとめたいのか、自分の使い方に応じて比較してみてください。

10. よくある質問

FX専用口座と総合口座、どちらを開設すればいいですか?

FXだけを利用したい場合はFX専用口座、株式投資などもあわせて利用したい場合は総合口座を選ぶのが基本的な考え方です。総合口座を持っていれば、株式とFXの間で資金を振り替えて利用することもできます。どちらの口座も開設手数料はかかりません。

PTS(夜間取引)を使うと何が便利ですか?

取引所の立会時間が終わったあと、17時から翌2時まで取引できる点が特徴です。決算発表やニュースは取引所の時間外に出ることも多いため、それを見てから当日中に売買の判断を反映させたい場合に活用できます。夜間取引での約定は、翌営業日の取引として扱われるとされています。

一日信用取引で、その日のうちに決済し忘れたらどうなりますか?

インターネット経由で新規に建てた信用取引を当日中に決済できなかった場合、松井証券側で任意に決済される扱いになり、1注文あたり3,575円(税込)の任意決済手数料が発生するとされています。当日決済であれば手数料・金利・貸株料はいずれも0円になる商品なので、デイトレード目的で使う場合は決済を忘れないようにしたいところです。

NISA口座と課税口座、投信残高ポイントの貯まり方に違いはありますか?

いずれの口座で保有していても、投信残高ポイントの対象になるとされています。ただし還元率はファンドごとに異なり、毎月エントリーが必要な点は共通の条件です。口座の種類による還元率の差というより、保有しているファンドそのものによって還元率が変わる仕組みだと理解しておくとよいでしょう。

米国株を取引するとき、為替手数料がかからない方法はありますか?

あらかじめ円を米ドルに両替してから米国株を購入する場合、為替手数料は0銭とされています。一方、円のまま取引できる「円貨決済」を選ぶと、1米ドルあたり25銭の為替手数料が別途発生するとされているため、取引頻度が多い人は両替のタイミングや方法によってコストが変わる点を意識しておくとよいでしょう。

11. まとめ

米国株の1株単位での購入、投資信託の低コストな積立、iDeCoの運営管理手数料無料、一日信用取引やPTS夜間取引といったデイトレード向けのサービスまで、資産運用の目的に応じて使い分けられる選択肢がそろっています。分別管理の徹底や投資者保護基金への加入など、資産を預ける先としての体制も確認できます。

松井証券は、1918年創業の独立系証券会社で、日本株・米国株・投資信託・FX・NISA・iDeCoまで、ひとつの証券会社で幅広くカバーしています。日本株は25歳以下の手数料が無料になる仕組み、FXは全32通貨ペアで1通貨単位からの取引に対応するなど、始めやすさを重視した設計になっている点が特徴です。

FXを中心に検討している方も、株式投資やNISA・iDeCoとあわせて口座をまとめたい方も、まずは公式サイトで自分が重視する条件を確認したうえで、他のサービスとも比較しながら検討してみてください。

この記事の著者

中村陽介

中村陽介(資金調達マップ編集部)

資金調達や売掛債権の活用法など、経営者が抱える資金課題をテーマに編集・執筆を担当。元ファクタリング会社に勤務していた経験を活かし、ファクタリングの仕組みや活用ポイントについて、実務的な視点から分かりやすく伝えることを重視している。

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