この記事の監修者
松倉 良平
松倉 良平
コネクトプラス行政書士事務所
行政書士|登録番号:第25080177号

大学卒業後、税理士法人・会計コンサルティング会社にて、延べ100社超の事業計画・会計財務支援を経験。
補助金・助成金・融資の申請支援を中心に、法人設立・許認可申請等、各専門チーム体制で事業主のお悩みについて幅広くサポートを行っている。

お店や会社を始めたばかりの頃は、やることが多すぎて、目の前の仕事をこなすだけで精一杯になりがちです。そんな中でも「創業したばかりの人向けに、最大200万円の補助金がある」と聞けば魅力的ではないでしょうか?

ただ、この補助金には少し複雑な条件があります。「創業してから1年以内なら誰でも申請できる」というものではなく、厳格な条件があります。この記事では、小規模事業者持続化補助金<創業型 第4回>について、公式情報をもとに、対象になる人・金額と使い道・申し込みの流れを説明していきます。すでに事業を続けている方向けの「通常型」については、別の記事でくわしく解説しています。

1. どんな補助金なのか、誰が使えるのか

まず、この補助金は、創業してまもない事業者が、経営計画を立てたうえで、お客さんを増やすための取り組み(販路開拓)や、それに合わせた業務の効率化に使うお金の一部を、国が補助してくれる制度です、「創業型」という名前のとおり、対象になるのは創業1年以内の事業者の方に限られます。

「創業から1年以内」の意味を、正しく理解する

この補助金の対象になるには、次の2つの日付が、どちらも申請の締切日の1年以内に入っている必要があります。

  • 特定創業支援等事業による支援を受けた日
  • 開業日、または会社を設立した日

聞き慣れない言葉が出てきたので、1つずつ説明します。

「特定創業支援等事業」というのは、市区町村や、市区町村が認めた機関が行っている、創業希望者向けの支援プログラムのことです。単発の創業セミナーに1回参加しただけでは、これに該当しないことがあり、この支援を受けたことを証明するには、市区町村が発行する証明書が必要です。第4回で、具体的に「いつからいつまでに支援を受け、創業していれば対象になるのか」という正確な日付は、2026年8月の時点ではまだ公表されていません。公式の参考資料が公開されてから、あらためて確認する必要があります。

創業日は、どうやって決まるのか

「法人であれば、登記事項証明書に書かれている「会社成立の年月日」が創業日になり、個人事業主であれば、開業届に書いた「開業・廃業等日」です。証明書を取得した日や、法人登記を申請した日、税務署に開業届を出した日ではありません。

ここで、多くの方が誤解しやすい点があります。個人事業主として活動していた方が、途中で法人化(いわゆる法人成り)した場合です。「法人を作ったのだから、そこから改めて1年間、創業型の対象になれるはずだ」と考えてしまいがちですが、法人化したからといって創業日がリセットされるわけではありません。個人事業を始めた日からすでに1年以上経っていれば、法人の設立が最近であっても、創業型の対象にはなりません。

「誰が」支援を受けたかも問われる

もう1つ、見落としがちなのが、特定創業支援等事業の支援を受けた人物についての条件です。法人の場合、支援を受けたのが会社の代表者本人でなければなりません。代表者以外の役員や、社員が代わりに支援を受けていた場合は、対象になりません。個人事業主の場合も同じで、事業主本人が支援を受けている必要があり、家族(配偶者や、いずれ事業を継ぐ予定の親族など)が代わりに支援を受けていた場合は、対象外になります。

まだ商品を売っていなくても大丈夫な場合がある

一方で、少し安心できる情報もあります。会社の設立や開業の手続きはすでに終えているけれど、実際の商品やサービスの提供はまだ始めていない、という段階でも、申請できる場合があります。ただし、補助金を使った取り組みが終わるまでには、実際に商品やサービスの提供を始めている必要があります。

従業員数の要件

創業の条件とは別に、業種ごとに常時使用する従業員の人数にも上限があります。

業種従業員数の上限
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

※横にスクロールして確認できます。

開業したばかりだと、家族や身内に手伝ってもらっている、という方も多いと思います。実は、そうした家族従業員や、個人事業主本人、役員は「常時使用する従業員」には含まれません。パートやアルバイトも、働く時間や期間が短ければ同様です。つまり、開業直後の体制であれば、この従業員数の要件は自然とクリアしやすくなっています。 

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2. 何にお金を使えるのか

補助金の対象になる費用(経費)は、次の8つの種類に分かれています。

区分目的上限単独使用の可否
機械装置等費販路開拓に必要な機械・設備の購入特になし(50万円税込超は2者以上見積が必要)
広報費パンフレット・チラシ・広告等での告知30万円(税込)不可(他の区分と組み合わせが必要)
ウェブサイト関連費ホームページ・ECサイト・予約システム等の構築30万円(税込)不可(他の区分と組み合わせが必要)
展示会等出展費見本市・商談会への出展特になし
旅費展示会・商談等のための移動・宿泊特になし(経済的・合理的な範囲)
新商品開発費試作品の開発(原材料・設計・デザイン等)特になし
借料必要な機器・設備のリース・レンタル特になし
委託・外注費自社で実施できない業務の委託(店舗改装工事等)特になし

※横にスクロールして確認できます。

新しく事業を始めたばかりの方を例に、それぞれの区分を見ていきます。

機械装置等費

創業した事業に直接必要な、機械や設備を購入する費用です。新しく飲食店を開く方であれば厨房機器、美容室を開く方であれば施術用のチェアやシャンプー台などが当てはまります。ただし、パソコンやスマートフォンのように、業種を問わず普段使いできてしまうものは対象になりません。1件の発注総額が50万円(税込)を超える場合は、2者以上から見積もりを取る必要があります。開業したばかりで、どの業者に頼めばよいか分からない、という場合でも、見積先は自分で選べます。

広報費

開店を知らせるチラシやポスター、SNS広告、Google広告などが対象です。ただし、広報費だけを単独で申請することはできず、機械装置等費など他の区分とあわせて申請する必要があります。補助金の上限は30万円(税込)です。開業したばかりだと、まず「お店ができたことを知ってもらう」ところから始める方が多いと思いますが、その広報活動自体はこの区分で支援を受けられます。

ウェブサイト関連費

開業にあわせたホームページの制作や、予約システム、ネットショップ(ECサイト)の構築などが対象です。こちらも単独では申請できず、上限は30万円(税込)です。実際に使い始めていることが条件になるため、作っただけで公開していないサイトは対象になりません。

展示会等出展費

業界の見本市や商談会への出展料です。開業したばかりで取引先がまだ少ない場合、こうした場に出展して新しい販路を見つける、という使い方が考えられます。一方、その場で消費者に直接販売するだけの即売会などは、対象にならない場合があります。

旅費

展示会や商談のための移動・宿泊費です。最も経済的で合理的な経路を使うことが前提ですが、必ず最安の手段を選ばなければならない、という意味ではありません。日当やタクシー代、レンタカー代は対象外です。

新商品開発費

新しい商品やメニューの試作にかかる、材料費や金型代、デザイン費用などです。開業したばかりの飲食店が、看板メニューを試作するために材料を仕入れる、というような使い方が該当します。

借料

必要な機器や設備を、購入ではなくレンタル・リースで揃える場合の費用です。開業直後で自己資金に余裕がない場合、まずは借りて始める、という選択肢もあります。通常の事務所家賃や駐車場代は対象になりません。

委託・外注費

自分では対応できない工事や作業を、専門の業者に依頼する費用です。開業にあわせた店舗の内装工事や、看板の設置工事などが当てはまります。

このほか、どの区分にも共通する注意点があります。フリマアプリやオークションサイトを通じた購入、家族や関連会社への発注、正式な交付決定が出る前に発注・契約・支払いをしてしまった経費は、対象になりません。専門家へ申請の支援を依頼した場合の報酬も、この補助金ではまかなえません。

創業型を検討している方に、特に伝えておきたいことがあります。「創業のために必要なお金」であれば何でも対象になる、というわけではない、ということです。開業前後にかかる、いわゆる運転資金(仕入れや家賃など、日々の事業運営に使うお金)、法人登記や開業の手続き費用、営業に必要な許認可を取るための費用などは、対象になりません。あくまで、経営計画にもとづいた「お客さんを増やすための取り組み」に直接必要な費用であることが条件です。

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3. いくら受け取れるのか

補助金の上限額は、次のとおりです。

区分上限額
基本200万円
インボイス特例利用時250万円

※横にスクロールして確認できます。補助率は3分の2です。

基本の上限額が200万円というのは、通常型(50万円)と比べてかなり大きい金額です。さらに上限金額を引き上げることができる特例措置があります。

インボイス特例を使うには、補助金を使った取り組みが終わる時点で、適格請求書発行事業者として登録(所謂インボイス登録)されている必要があります。単に「上限額が増えるから」という理由だけで選ぶのではなく、実際にその時期までに登録する予定があるかどうかを確認してから選んでください。もし条件を満たせなかった場合、上乗せされた50万円だけでなく、補助金全体を受け取れなくなる可能性があります。 

4. 申し込みから入金までの流れ

申請には、地域の商工会または商工会議所が発行する「事業支援計画書」という書類(様式4と呼ばれます)が必要です。この様式4の発行を依頼できる期限は2026年12月4日で、実は、申請そのものの締切(12月15日17時)より11日も早く設定されています。12月4日を過ぎると、どんな理由があっても発行を依頼できません。

準備から入金までの大まかな流れと用意しないといけないものは、次のとおりです。

時期用意するもの行動
今すぐ〜10月中特定創業支援等事業の支援を受けた日と、開業日・会社成立日が、申請締切から過去1年以内に収まっているかを確認する
10月中を目安にマイナンバーカード等(オンライン申請の場合)GビズIDプライムを取得する(オンラインなら最短即日、書類申請だと1週間〜1か月ほど)
10月中〜11月上旬までに特定創業支援等事業の証明書、法人は発行3か月以内の登記事項証明書、個人事業主は開業届の写し経営計画・補助事業計画を作成し、必要書類をそろえる。購入予定品の価格確認も済ませておく
11月5日ここまでに準備した書類一式電子申請システムに経営計画・補助事業計画・経費等を入力する
11月中旬〜下旬を目安に入力済みの申請内容商工会・商工会議所へ様式4の発行を依頼する(発行までさらに数日〜2週間ほどかかる場合があります)
12月4日様式4の発行依頼ができる最終日
12月15日17時申請の受付締切
12月〜2027年3月頃審査が行われる(書類のみ、面談なし)
2027年3月頃採択の結果が発表される
採択後すぐ使う予定の経費についての正式な見積書事務局へ提出する
2027年4〜5月頃経費審査を経て交付決定。ここで初めて発注・契約ができるようになります(「採択」と「交付決定」がなぜ別なのかは、別の記事でくわしく説明しています)
交付決定日〜2028年3月31日計画した取り組みを実施する(発注、契約、支払いまで完了させる)
事業終了から30日以内(遅くとも2028年4月10日)見積書、発注書、請求書、振込記録、成果物等実績報告を提出する
実績報告後補助金の金額が確定し、支払われる

※横にスクロールして確認できます。

2027年4〜5月頃という交付決定の時期は目安であり、公式に確定しているわけではありません。

採択された、という連絡が来た時点では、まだ何も発注できません。交付決定の前に発注・契約・支払いをしてしまった分は、原則として補助の対象外になります。また、この補助金はいわゆる後払いです。事業者がいったん全額を自分で支払い、あとから補助金を受け取る仕組みなので、支払いのタイミングが遅くなりすぎないよう気をつけてください。

もし、誰かに申請を手伝ってもらった場合は、有料・無料にかかわらず、「誰に、どんな支援を受けたか」を申請の画面で報告する必要があります。これを黙っていた場合、不採択になったり、あとから交付決定を取り消されたりすることがあります。

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まとめ

創業型は、基本上限200万円という金額の大きさが魅力ですが、実際に申請を考え始めると、「自分の創業日は、法律上いつになるのか分からない」「受けた支援が特定創業支援等事業に当てはまるのか分からない」「通常型と創業型、どちらを選べばいいのか判断できない」といった疑問が、必ずと言っていいほど出てきます。

資金調達マップでは、提携する行政書士が、創業日や支援を受けた日の確認、必要書類の整理、経営計画の作成まで、申請の準備をサポートしています。「自分が対象になるのかどうか、まず知りたい」という段階でも構いません。まずは、今の状況を聞かせてください。

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この記事の著者

吉田 直樹

吉田 直樹(資金調達マップ編集部)

資金調達マップ編集部の編集責任者。ファクタリングや各種融資、補助金・助成金まで、資金調達に関する幅広いテーマの記事編集を統括している。金融・経済分野での長年の編集経験を活かし、専門的で複雑になりがちな情報を、事業者にとって正確でわかりやすいコンテンツに仕上げることを重視。編集部全体の記事品質と中立性の担保に努めている。

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