
「銀行の機能を、自社のサービスに組み込みたい」。そんな要望に応えられる銀行は、実はまだ多くありません。GMOあおぞらネット銀行は、35種類の銀行APIと、銀行機能を事業者のサービスに組み込める「BaaS」という仕組みを持ち、法人口座は20万件を突破しています。この記事では、公式情報にもとづいて、この銀行ならではの強みと、個人・個人事業主・法人それぞれの口座の特徴を整理していきます。
1. GMOあおぞらネット銀行とはどんな銀行か

同社は東京都渋谷区に本店を置く銀行です。設立は1994年2月で、当初は「日債銀信託銀行」として開業した信託銀行でした。2001年に「あおぞら信託銀行」へ商号変更したのち、2016年6月にあおぞら銀行・あおぞら信託銀行・GMOインターネットが資本業務提携を結び、2018年6月に現在の「GMOあおぞらネット銀行」へ商号変更しています。その後、同年7月にインターネット銀行事業を開始し、10月には信託業務を会社分割によりあおぞら銀行へ引き継いでおり、老舗の信託銀行としての歴史と、GMOグループのテクノロジーが組み合わさってできた銀行、というのがこの会社の成り立ちです。
代表取締役会長は金子岳人氏、代表取締役社長は水町哲氏で、資本金は266億2,998万円(2026年2月20日時点)です。株主構成は、持株比率であおぞら銀行50.00%、GMOインターネットグループ25.00%、GMOフィナンシャルホールディングス25.00%とされています(議決権比率では、あおぞら銀行が85.12%を占めています)。登録金融機関としては関東財務局長(登金)第665号、金融機関コードは0310です。
なお、GMOあおぞらネット銀行とあおぞら銀行は、資本関係はあるものの別々の金融機関です。これは、預金の保護の仕組みにも関わってきます。円普通預金、証券コネクト口座、円定期預金は預金保険制度の対象で、預金者1人につき元本1,000万円までとその利息が保護され、決済用預金であれば全額が保護されます(外貨普通預金・外貨定期預金は対象外です)。この1,000万円という上限は、GMOあおぞらネット銀行とあおぞら銀行、それぞれの銀行ごとに別々に計算されます。グループとしてのつながりがあるからといって、2つの銀行に預けた金額を合算して保護してもらえるわけではない、という点は誤解しないようにしたいところです。
2. 個人口座:預金金利とカスタマーステージ

個人向けの主な預金金利は、2026年7月8日時点で次のとおりです。
| 商品 | 金利(税引前) |
|---|---|
| 標準円普通預金 | 年0.300% |
| ハビト支店(残高100万円以下の部分) | 年0.700% |
| ハビト支店(残高100万円超の部分) | 年0.300% |
| 証券コネクト口座(標準) | 年0.300% |
| 証券コネクト口座(常設プログラム) | 年0.310% |
| 円定期預金(2年) | 年0.410% |
| 円定期預金(3年) | 年0.420% |
※横にスクロールして確認できます。なお、2026年8月1日に金利の改定が予定されているため、この時期以降に検討する場合は最新の金利を公式サイトで確認してください。
ハビト支店は、100万円までの部分に高めの金利が設定されている口座で、まとまりすぎない金額を預けたい人にとっては選択肢のひとつになります。ただし、この口座は通常の口座開設画面から単独で選べるものではなく、「Habitto」という別のアプリを利用することが前提の口座です。数字の高さだけを見て、一般の普通預金口座のように自由に選べると考えないよう注意してください。また、「つかいわけ口座」という仕組みもあり、1つの代表口座の中に、目的別に最大10個までの口座を作ることができます。旅行費用、税金の支払い、生活費など、用途ごとにお金を分けて管理したい場合に活用できるでしょう。
ATMの利用については、カスタマーステージという段階制の仕組みがあり、ステージによって無料で使える回数が変わります。
| カスタマーステージ | ATM入出金の無料回数 |
|---|---|
| 1テックま君 | 入出金合計で月2回 |
| 2テックま君 | 月5回 |
| 3テックま君 | 月7回 |
| 4テックま君 | 入金は無料、出金は月20回 |
※横にスクロールして確認できます。無料回数を超えた場合は1回110円です。
他行宛ての振込についても、同行宛ては無料で、他行宛てはカスタマーステージに応じて月1回から20回まで無料になり、無料回数を超えると1件75円です。カスタマーステージは、Mastercardプラチナデビットカードの契約、外貨普通預金の残高、デビットカードの利用額などによって判定される仕組みなので、無料回数を増やしたい場合はこうした条件を満たしているかどうかを確認しておくとよいでしょう。
3. 個人事業主・法人口座:オンライン完結とBaaS・API連携という強み

この銀行の核となる強みは、個人事業主・法人向けの機能の豊富さにあります。
まず個人事業主として口座を作りたい場合、見逃せない強みがあります。2025年2月10日から、個人の口座を先に持っていなくても、個人事業主口座だけを単独で申し込めるようになったことです。以前は個人口座があることが前提になっているサービスも多いなかで、これから初めて銀行と取引する個人事業主でも、事業用の口座だけをまず作れる、という選択肢が用意されています。個人事業主口座は屋号付きの口座に対応しており、事業用のビジネスデビットカードも利用できますが、個人口座で適用されるカスタマーステージによる優遇は、この口座には適用されません。
必要な書類は、本人確認書類に加えて、事業内容を確認できる書類です。締結済みの契約書、請求書や発注書、許認可証、事業内容がわかるWebサイト、事業計画書などが例として挙げられています。2025年2月9日以降は、青色申告承認申請書や納税証明書は受付対象外になり、郵送での提出も廃止されました。オンラインで完結する提出方法に一本化された、ということです。手数料については、ATMの入金・出金がそれぞれ1回110円、同行宛ての振込は無料、他行宛ての振込は現在1件130円で、2026年8月17日以降は1件100円に改定される予定です。
法人口座も同様にオンラインで完結し、来店は不要です。代表者と取引責任者が同一で、マイナンバーカードの読み取りやスマートフォンでの本人確認(eKYC)を利用する場合は最短当日、それ以外の方法では最短4営業日が目安とされています。公式では、2026年2月に申し込んだ法人の平均開設日数が1.6日という数字も示されていますが、これはあくまで自社集計の平均であり、個々の審査状況によって前後する点は理解しておくとよいでしょう。法人登記が完了する前から、事前に審査を進められる予約申込サービスも用意されています。こうした使いやすさもあり、2025年6月時点で法人口座数は20万件を突破し、預金残高も1兆円を超えたと発表されています(2025年7月2日発表)。
さらに特徴的なのが、銀行機能をAPI(外部のシステムから銀行の機能を呼び出せる仕組み)として公開している点です。合計35種類のAPIがあり、無料で使えるスタンダードAPIが28種類、有料のオプションAPIが7種類とされています。「国内銀行で最多の公開数」ともうたわれていますが、これは同社自身の調査によるもので、第三者機関が認定した数字ではありません。
このAPIを土台にしているのが「BaaS byGMOあおぞら」という仕組みです。BaaSとは、銀行の機能を部品のように切り出して、他の会社が自分たちのサービスに組み込めるようにする考え方です。たとえば、ある事業者が自社のアプリの中に振込機能や口座管理機能を持たせたい場合、専用の画面や専用の支店、専用のデビットカード、バーチャル口座といった形で、銀行の機能をそのサービスに組み込むことができます。2025年12月時点でBaaSの契約数は1,000件を突破し、2026年5月時点では1,100件を超えたと発表されています。「国内最多水準」という表現も、こちらは自社発表にもとづくものです。
つまり、単なる「ネットで使える銀行」ではなく、「他の事業者が自分のサービスに組み込める銀行機能そのものを提供している」という点が、この銀行を他の銀行と分ける一番の特徴だと言えます。
4. デビットカードとセキュリティ

個人向けには、Visaデビットカード(年会費無料、カスタマーステージに応じて0.6%から1.2%の現金還元、Apple Payにも対応)と、Mastercardプラチナデビットカード(年会費3,300円、原則1.2%の現金還元、海外加盟店で外貨決済をした場合は最大1.5%還元、ATM出金と他行振込がそれぞれ月20回無料)の2種類が用意されています。個人事業主・法人向けには、Visa・Mastercardのビジネスデビットカードがあり、代表口座での新規発行は無料、年会費もかからず、通常1%の現金還元、Mastercardの海外加盟店利用では最大1.5%の還元が受けられます(条件は個人向けのカードとは案内が異なります)。利用代金は口座から即時に引き落とされる仕組みです。
セキュリティ面では、2026年7月22日にインターネットバンキングへパスキー認証が導入されています。これは、スマートフォンなどの端末に登録した顔認証や指紋認証を使って、パスワードを入力せずにログインできる仕組みで、パスワードを盗み取られて不正ログインされるリスク(フィッシング)への耐性を高める効果があるとされています。このほか、ワンタイムパスワードや取引ごとの認証、生体認証、不審な取引やログインを検知するシステムなど、複数の対策が組み合わされています。また、取引の認証に一定回数失敗した場合には、取引ロックが自動でかかる仕組みも用意されています。
5. 口座開設の流れとサポート体制

個人の口座開設は、次のいずれかの方法で申し込みます。
- マイナンバーカードの読み取り、またはセルフィー(自撮り)による本人確認 1口座目の開設であれば、この方法が使え、最短で当日中に利用を開始できます。平日14時までに申し込めば、原則としてその日のうちに審査が行われます。
- 本人確認書類の画像アップロード 本人確認書類を2点提出する方法で、開設までは最短4営業日程度が目安です。
申し込みは15歳以上であれば本人が行え、15歳未満の場合は、同行の個人口座を持つ親権者がインターネットバンキングから手続きします。15歳以上であれば、Visa口座とMastercardプラチナ口座をそれぞれ1つずつ、最大2口座まで持つことができます。
法人の場合も、代表者と取引責任者が同じでeKYCを利用すれば最短当日、それ以外の方法では最短4営業日が目安です。
サポート体制については、カスタマーセンターが平日9時から16時まで対応しており、カードの盗難・紛失・不正利用に関する連絡は24時間365日受け付けています。問い合わせフォームも24時間受付ですが、回答は営業時間内に順次行われます。有人チャットは平日9時から17時までで、本人確認を伴わない一般的な案内に限られます。土日祝日や平日16時から翌9時までの時間帯には、有人のオペレーターにはつながらない「AIオペレーター電話」による自動音声の案内が用意されています。
6. よくある質問

住宅ローンや投資信託は、この銀行で申し込めますか?
自行で提供する住宅ローンや投資信託の購入サービスは、現在の公式商品一覧では確認できません。ただし、提携サービスとして、GMOあおぞらネット銀行を通じてSBIアルヒが提供する住宅ローンへ申し込むことができます。預金や振込以外に、住宅ローンや投資信託まで1つの銀行でまとめたい場合は、この点を踏まえて検討するとよいでしょう。
個人事業主口座も、即日で開設できますか?
セルフィーによる本人確認を利用する場合、開設完了当日から利用できることがあるとされています。本人確認書類の画像をアップロードして提出する方法では、最短4営業日程度が目安です。
証券コネクト口座とは何ですか?
GMOクリック証券の口座と連携させる口座です。GMOあおぞらネット銀行の預金残高を、GMOクリック証券での現物取引の買付余力に反映させたり、取引代金を自動で振り替えたりできる仕組みとされています。詳しい金利の条件は、2章の表を確認してください。
外貨預金も利用できますか?
はい。外貨普通預金、外貨定期預金、外貨積立といった商品も用意されているとされています。円建ての預金とは為替変動リスクなど性質が異なる商品なので、検討する際は条件を確認しておくとよいでしょう。
口座開設後に使えるキャンペーンはありますか?
新規口座開設者向けのVisaデビット特典や、外貨定期預金を利用した際の特典など、複数のキャンペーンが実施されているとされています。内容や条件は変更される場合があるため、申し込み前に公式サイトで最新の情報を確認することをおすすめします。
7. まとめ

GMOあおぞらネット銀行の一番の強みは、個人向けの使いやすさというより、法人・個人事業主向けの機能の豊富さにあります。オンラインだけで完結する口座開設、35種類の銀行API、事業者が自社のサービスに銀行機能を組み込めるBaaSという体制は、他の銀行にはあまり見られない特徴です。実際に法人口座は20万件、預金残高は1兆円を超えており、多くの事業者に選ばれている実績もあります。
個人口座を検討する場合も、標準の普通預金金利年0.300%や、ハビト支店の年0.700%は確認しておく価値のある水準です。ただし、住宅ローンや投資信託を自行で扱っていない点、預金保険による保護がGMOあおぞらネット銀行単体で計算される点は、他の銀行と比較する際に押さえておく必要があります。
事業でオンライン完結の口座やAPI連携を求めている方は、まずは公式サイトで法人口座やBaaSのページを開き、自分の事業に必要な機能がそろっているかを確認することから始めてみてください。
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