
証券会社選びで「結局どこが一番お得なのか」と迷ったとき、手数料の仕組みが複雑だとそれだけで疲れてしまいます。三菱UFJ eスマート証券は、2026年5月から特定の注文方法を選ぶだけで国内株式の手数料が無料になるという、大きな変更がありました。この記事では、公式情報にもとづいて、その条件と、Pontaポイントを使った投資など、この会社ならではの特徴を整理していきます。
1. 三菱UFJ eスマート証券とはどんな会社か

同社は東京都千代田区霞が関に本社を置く証券会社で、公式の会社概要上の設立日は1999年11月19日です。もっとも、この会社にたどり着くまでの歴史は少し複雑です。1999年11月に設立された会社が同年12月に商号を変え、2001年4月には別の会社(1999年4月設立)と合併して「カブドットコム証券」となり、さらに2006年1月には、2000年3月に「東京三菱ティーディーウォーターハウス証券」として設立された会社とも合併しています。いくつかの前身企業が合流してできあがった会社、というのが実態に近い理解です。
その後、2019年12月にKDDIとMUFGの資本提携にともなって「auカブコム証券」へ商号変更し、au経済圏向けの金融サービスを担ってきました。2025年1月には三菱UFJ銀行の100%子会社となり、同年2月1日に現在の「三菱UFJ eスマート証券」へ商号変更しています。ここで押さえておきたいのは、現在の株主にKDDIは含まれていないものの、Pontaポイントを使った投資や、auじぶん銀行との連携サービスといった、au関連のサービス自体は名称変更後も続いているという点です。「MUFGグループの証券会社になったから、auのサービスは終わった」というわけではありません。
代表取締役社長は飛松一樹氏、資本金は71.96億円です。登録は関東財務局長(金商)第61号で、第一種金融商品取引業・第二種金融商品取引業・投資助言代理業を行っており、日本証券業協会や資産運用業協会などに加入、日本投資者保護基金にも加入しています。公式サイトでは、MUFGグループの中で唯一のインターネット専業証券という位置づけが示されています。
2. 国内株式の手数料としくみ

この記事で最初に伝えたいのが、2026年5月18日の約定分から始まった手数料の変更です。「SOR注文」という注文方法を選ぶと、国内の現物株式・信用取引の取引手数料が無料になります(プチ株の手数料は、SOR注文の選択にかかわらずもともと無料です。詳しくは次の章で説明します)。SORとは、複数の取引の場(証券取引所やPTSと呼ばれる私設取引システムなど)の価格を比較し、より有利な条件で約定するように注文を自動的に振り分ける仕組みのことです。いわば、複数のお店の値段を自動で比較して一番安いところに発注してくれる、という機能だと考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、この無料化には条件があります。対象になるのはSOR注文を選んだ場合のみで、名古屋・福岡・札幌といった地方市場への注文、電話オペレーターを通した注文、信用取引の強制返済といった一部の注文は対象外です。SORを利用しない場合の国内現物取引手数料は、次のとおりです。
| 約定代金 | 手数料(税込、SOR非選択時) |
|---|---|
| 5万円以下 | 55円 |
| 10万円以下 | 99円 |
| 20万円以下 | 115円 |
| 50万円以下 | 275円 |
| 100万円以下 | 535円 |
| 100万円超 | 約定代金×0.099%+99円(上限4,059円) |
※横にスクロールして確認できます。
信用取引についても同様に、SOR利用時は手数料が無料になり、利用しない場合は10万円以下99円から50万円超385円までの段階制です。2026年6月1日以降の金利・貸株料は、制度信用の買方金利が年2.80%、一般信用(長期)の買方金利が年2.79%、貸株料はいずれも年1.10%とされています。その日のうちに新規建てから決済まで終える「デイトレ信用」であれば、取引手数料・買方金利・貸株料のすべてが0円になりますが、当日中に決済できず強制決済となった場合は1注文あたり2,200円などの費用が発生する点は注意が必要です。
同社は、SBI証券・マネックス証券・松井証券・楽天証券という主要ネット証券4社との比較(2026年5月時点、自社調べ)をもとに「業界最低水準」という位置づけを示していますが、これはあくまで自社による比較であり、第三者機関による認定ではない点は理解しておくとよいでしょう。
3. プチ株・投資信託・NISA・Pontaポイント投資

少額から投資を始めたい人にとって特徴的なのが、「プチ株」と呼ばれる単元未満株サービスです。通常、国内株式は100株単位で取引されますが、プチ株を使えば1株単位で購入でき、取引手数料も無料、手数料に相当するようなスプレッドの上乗せもありません。対象は東京証券取引所(プライム・スタンダード・グロース)や名古屋証券取引所が中心ですが、投資法人や整理銘柄、会社が指定する一部の銘柄などは対象外になる場合があります。
投資信託は1,800本以上を取り扱い、購入時手数料はすべて無料です。最低購入金額は商品の型によって異なり、「累投型」と呼ばれる商品は100円以上1円単位で購入できますが、「一般型」は前営業日の基準価額以上、1,000円単位での購入になるとされています。すべての投資信託が100円から買えるわけではない点は、商品を選ぶ際に確認しておくとよいでしょう。また、購入時の手数料が無料でも、保有している間の信託報酬や、商品によっては解約時の信託財産留保額が別途かかる場合がある点は、これまでの証券会社の記事でも触れてきたとおり、押さえておきたいポイントです。
NISA(一定の範囲内で得た利益が非課税になる制度)については、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円、国内株式・プチ株・米国株式・投資信託・ETFなどが対象)の両方が用意されており、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)です。国内現物株式・プチ株・米国株式・投資信託の購入時手数料はNISA口座であればいずれも無料ですが、米国株式については為替手数料が別途発生します。
そして、この会社ならではの特徴が「Pontaポイント投資」です。Pontaポイントを1ポイント=1円として、投資信託やプチ株の購入に使える仕組みで、利用にはau IDとの連携が必要です。現金とポイントを併用することもできます。投資信託は100円以上1円単位で利用できますが、外貨建MMFや公社債投資信託、ETF・ETNなどは対象外です。さらに、投資信託を保有し続けることでポイントが還元される制度もあり、2026年7月1日の改定後は、対象ファンドの区分によって還元率が変わります。
| 区分 | 月間平均保有残高1,000万円未満 | 1,000万円以上 |
|---|---|---|
| プレミアムA | 年0.20% | 年0.40% |
| 通常銘柄 | 年0.10% | 年0.24% |
| 指定銘柄 | 年0.005% | 年0.005% |
※横にスクロールして確認できます。(プレミアムBはファンドごとに還元率が異なります)
この還元を受けるにも、au IDとの連携が条件になっています。ポイントで投資できるだけでなく、保有し続けることでポイントが戻ってくる仕組みまで用意されているのは、普段からPontaポイントやau関連のサービスを使っている人にとっては見逃せない特徴でしょう。
4. 米国株式の手数料と為替コスト

米国株式は、NYSE・NYSE Arca・NYSE American・NASDAQという主要市場の中から同社が選定した銘柄を、1株単位で購入できます。取引手数料は約定代金の0.495%(税込、上限22米ドル、最低0米ドル)で、NISA口座であれば取引手数料は無料です。ただし、円で米国株式を売買する際には、1米ドルあたり20銭の為替手数料が別途かかり、これはNISA口座であっても発生します。「NISAだから手数料がすべて無料」というわけではない点は覚えておくとよいでしょう。
なお、取扱銘柄は「数千銘柄の中から独自の基準で選定している」と案内されていますが、これは数千銘柄すべてを取引できるという意味ではなく、実際に売買できるのはその中から選ばれた銘柄に限られます。新規の取扱銘柄も継続的に追加されているため、目当ての銘柄があるかどうかは、その都度、公式の銘柄一覧で確認するのが確実です。手数料水準についても、SBI証券・松井証券・マネックス証券・楽天証券との比較(2025年5月時点、自社調べ)にもとづく位置づけが示されています。
5. 先物・オプション・株365(CFD)という上級者向け商品

株式投資に慣れてきた人向けに、先物・オプション取引や、取引所CFD「株365」も用意されています。先物・オプションでは、日経225先物やそのミニ・マイクロ版、TOPIX先物、日経225オプションなどを取引でき、手数料は商品によって異なります(日経225先物は1枚275円、日経225miniは38.5円、日経225マイクロは11円など)。これらは証拠金(担保となるお金)を預けて、その何倍もの金額を取引する仕組みのため、預けた証拠金を超える損失が発生する可能性がある点は、通常の株式投資とは大きく異なります。
株365は、日経225やNYダウ、DAX、金・銀・プラチナ・原油のETFなど11銘柄を対象にした取引所CFD(差金決済取引)です。手数料は銘柄ごとに1枚16円から156円で、口座開設・管理料はかかりませんが、こちらも証拠金以上の損失が生じる可能性がある商品です。株式投資の延長で気軽に手を出せる商品ではなく、通常の株式口座とは別に、取引を始めるための条件や審査がある点も理解しておく必要があります。
6. auじぶん銀行との連携(auマネーコネクト)

auじぶん銀行の口座を持っている場合、「auマネーコネクト」という連携サービスを使うことができます。証券口座への自動入金や、余った資金の自動出金、銀行口座の残高を買付可能額に反映させる機能などがあり、こうした自動での資金移動には手数料がかかりません。
このサービスを利用するメリットは、資金移動の手間が省けることだけではありません。2026年2月1日時点の情報では、auじぶん銀行の円普通預金金利は通常年0.31%(税引前)ですが、auマネーコネクトと連携するだけで年0.10%が上乗せされ、合計年0.41%になります。さらに、auじぶん銀行が提供する他の優遇条件もあわせて満たせば、最大で年0.51%まで上乗せされる場合があるとされています。ただし、この0.51%はauマネーコネクトの連携だけで得られる数字ではなく、他の条件と組み合わせた場合の上限である点は正確に理解しておきたいところです。
7. 口座開設の流れとサポート体制

口座開設は、本人確認の方法によって主に3パターンに分かれます。
- スマートフォンでの本人確認 マイナンバーカード、または通知カードと運転免許証などを使い、申込者本人の顔写真とあわせてオンラインで本人確認を行う方法です。
- 本人確認書類の画像アップロード 書類を画像で提出したあと、審査を経て、口座番号やパスワードなどが簡易書留で郵送されます。公式では、申込から4営業日目以降に発送される案内がされています。
- 郵送での申込み 外国籍の方や法人など、条件によっては郵送での申込みが必要になります。
開設までの所要日数については、公式サイトのページによって「最短翌営業日」という案内と、「最短3営業日以内」という案内の両方が見られました。申込方法や審査状況によって変わる可能性があるため、正確な目安は申込時に確認するとよいでしょう。年齢については、成人の総合口座は原則18歳以上を対象とし、18歳未満の場合は親権者の同意などの条件を満たせば、郵送で未成年口座を申し込めます。なお、FXや信用取引、先物・オプションといった商品は、総合口座とは別に審査や条件が設けられています。
サポート体制としては、口座開設前の問い合わせ用に電話窓口(0120-390-390、IP電話03-4221-1224、平日8時から17時)が用意されているほか、パスキーや二要素認証に関する専用の電話窓口、AIチャット、オペレーターチャット(平日8時から17時)、メールでの問い合わせにも対応しています。
8. よくある質問

Pontaポイントは、投資信託とプチ株以外にも使えますか?
いいえ。Pontaポイント投資の対象は投資信託とプチ株に限られており、外貨建MMFや公社債投資信託、ETF・ETNなどは対象外とされています。また、通常の単元株(100株単位)の購入にPontaポイントを使うこともできません。
株365や先物・オプションの取引手数料は、SOR注文で無料になりますか?
いいえ。SOR注文による手数料無料化の対象は、国内の現物株式と信用取引に限られています。株365や先物・オプションはそれぞれ独自の手数料体系になっており、SOR注文を選んでも無料にはなりません。
auじぶん銀行の口座を持っていなくても、この証券会社は利用できますか?
はい。auマネーコネクトはauじぶん銀行との連携機能であり、利用は任意です。auじぶん銀行の口座がなくても、通常の入出金方法で三菱UFJ eスマート証券の口座を利用できます。
投資信託は、どの商品も100円から購入できますか?
いいえ。100円以上1円単位で購入できるのは「累投型」と呼ばれる商品で、「一般型」は前営業日の基準価額以上、1,000円単位での購入になるとされています。すべての投資信託が100円から買えるわけではないため、購入前に商品の型を確認しておくとよいでしょう。
kabuステーションなどの取引ツールは、誰でも無料で使えますか?
PC向けの高機能ツール「kabuステーション」の基本利用料は無料です。ただし、Professional・Premiumといった上位機能は、信用口座の有無や取引実績、預かり資産などの条件によって利用できるかどうかが決まるとされています。通常の株式取引だけであれば無料の範囲で十分使えますが、より高度な機能を求める場合は条件を確認しておくとよいでしょう。
9. まとめ

三菱UFJ eスマート証券を検討する際は、まず2026年5月から始まったSOR注文の無料化を押さえておくとよいでしょう。SOR注文を選べば、国内の現物株式・信用取引の手数料がかからなくなります(プチ株はSOR注文にかかわらずもともと手数料無料です)。auじぶん銀行やPontaポイントを普段から使っている人であれば、auマネーコネクトによる資金移動のしやすさや、ポイントでの投資信託・プチ株購入といった連携のメリットも受けやすくなるでしょう。一方、先物・オプションや株365のようなレバレッジ商品は、通常の株式投資とは異なる審査やリスクがともなうため、興味がある場合は条件を個別に確認する必要があります。
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