「ひふみ投信」「ひふみプラス」「ひふみワールド」…レオス・キャピタルワークスの投資信託を調べようとすると、似た名前の商品がいくつも出てきて、どれが自分に合っているのか分かりにくいと感じることがあります。実はこの複雑さには理由があり、仕組みさえ理解すれば選びやすくなります。この記事では、公式情報にもとづいて、それぞれの商品の違いと、あわせて知っておきたい会社の現状を整理していきます。

1. レオス・キャピタルワークスとはどんな会社か

同社は東京都千代田区丸の内に本社を置く、投資信託の運用を専門に行う会社です。2003年4月に「レオス株式会社」として設立され、同じ年の9月に現在の社名になりました。事業内容は投資運用業・投資助言代理業・第二種金融商品取引業で、登録番号は関東財務局長(金商)第1151号です。

まず知っておきたいのが、経営体制が最近大きく変わったということです。看板ファンド「ひふみ投信」を立ち上げたことで知られる藤野英人氏は、2026年6月15日付で、代表取締役社長・取締役・ファンドマネージャーのすべてを退任し、同社を退社しています。現在の代表取締役社長兼最高投資責任者は湯浅光裕氏で、会長は朝倉智也氏です。なお、公式の会社情報では、湯浅氏も藤野氏と並ぶ共同創業者として位置づけられています。ファンドの運用も、現在は特定の1人が担うのではなく、ひふみ投信シリーズは内藤誠氏と大原健司氏、ひふみクロスオーバーシリーズは松本凌佳氏と渡邉庄太氏という、複数人によるチーム体制になっています。

グループ関係についても触れておきます。かつて存在した持株会社「SBIレオスひふみ株式会社」は、2025年12月1日にSBIグローバルアセットマネジメント株式会社へ吸収合併され、なくなりました。現在、レオス・キャピタルワークスはこのSBIグローバルアセットマネジメントのグループ会社として事業を続けています。さらに、2026年5月21日の株主総会で承認された内容として、2026年12月1日に社名を「SBIレオス・キャピタルワークス株式会社」へ変更する予定になっています。この記事を読んでいる時点で、すでに社名が変わっている可能性もあるので、正式な取引の際は最新の社名を確認してください。

投資信託で資産形成 ひふみ投信

会社全体で運用しているお金の規模(運用資産残高)は、2026年6月17日に1兆8,000億円を突破しました。これは会社が扱うすべての商品を合わせた金額であり、あとで紹介する「ひふみ投信」1本だけの金額ではありません。運用資産の規模が大きいことは、会社としての実績を示す一つの目安にはなりますが、元本が保証されることや、今後も利益が出ることを意味するものではない点は、あわせて理解しておく必要があります。

2. 「ひふみ」はなぜ複雑に見えるのか:3つの販売経路と主力ペアの違い

「ひふみ」という名前がついた商品が複数あって分かりにくい、という声はよく聞かれます。この複雑さの正体は、実は「販売経路の違い」です。同じレオス・キャピタルワークスの商品でも、次の3つの窓口のどこで買うかによって、名前も費用も変わってくる仕組みになっています。

  • レオスから直接買う「直販」
  • 銀行や証券会社を通じて買う「販売会社経由」
  • 会社の年金制度(企業型DC)や個人の年金制度(iDeCo)を通じて買う「確定拠出年金専用」

この記事では、まず一番わかりやすい「同じ中身なのに窓口が違うだけのペア」から見ていきます。

投資信託の値段(基準価額)が動く仕組みは、実際に株式などを売買している「マザーファンド」と呼ばれる本体があり、直販用と販売会社用、それぞれの窓口の商品は同じマザーファンドに投資する形になっています。つまり、運用している中身は同じでも、買う窓口によって手数料の仕組みが変わる、というのが「ひふみ投信」と「ひふみプラス」、「ひふみワールド」と「ひふみワールド+」の関係です。

項目ひふみ投信(直販)ひふみプラス(銀行・証券会社)
主な投資対象国内の成長企業株式(状況により海外株式も)ひふみ投信と同じマザーファンド
購入時手数料無料上限3.30%(販売会社が設定)
信託報酬(年率・税込)1.078%純資産額に応じて1.078%〜0.858%の段階制
NISAつみたて投資枠・成長投資枠の両方つみたて投資枠・成長投資枠の両方
長期保有特典あり(下記参照)なし

※横にスクロールして確認できます。

項目ひふみワールド(直販)ひふみワールド+(銀行・証券会社)
主な投資対象日本を除く世界の成長企業株式ひふみワールドと同じマザーファンド
為替ヘッジ原則なし原則なし
購入時手数料無料上限3.30%(販売会社が設定)
信託報酬(年率・税込)1.628%純資産額に応じて1.628%〜1.353%の段階制
NISAつみたて投資枠・成長投資枠の両方つみたて投資枠・成長投資枠の両方
長期保有特典あり(下記参照)なし

※横にスクロールして確認できます。

投資信託で資産形成 ひふみ投信

信託報酬とは、運用を任せている間ずっと基準価額から自動的に差し引かれ続ける、いわば「運用の管理費」のような費用です。これに対して購入時手数料は、買うときに一度だけかかる費用です。この2つは性質が違うので、混同せずに見る必要があります。販売会社経由の商品の信託報酬が「段階制」になっている点も注意が必要です。純資産総額がある金額を超えるたびに、その超えた部分にだけ低い料率が適用される仕組みで、預けているお金全体に一番低い料率が一律適用されるわけではありません。

もう一つの大きな違いが、直販商品だけに用意されている「資産形成応援団」という長期保有の優遇制度です。ひふみ投信の場合、5年以上保有すると信託報酬相当額の年0.2%分、10年以上保有すると年0.4%分が還元され、実質的な負担率の目安は10年以上で年0.678%程度まで下がります。ひふみワールドの場合は還元率が異なり、5年以上で年0.1%分、10年以上で年0.25%分の還元となり、実質負担率の目安は10年以上で年1.378%程度です。いずれも現金で受け取れるものではなく、原則としてその商品の追加購入(口数の上乗せ)という形で還元されます。この制度は販売会社経由のひふみプラス・ひふみワールド+には適用されません。

3. その他の商品ラインアップ:直販・販売会社・確定拠出年金

主力の2ペア以外にも、値動きの性質が異なる商品がいくつも用意されています。

まず、株式だけでなく債券を多めに組み入れることで値動きを抑えることを目指した「ひふみらいと」があります。直販のみで、購入時手数料は無料、信託報酬は年0.55%(投資先ファンドの費用を含めた実質負担の目安は年0.5522%程度)です。NISAは成長投資枠のみの対応です。債券を多く組み入れているといっても、元本が保証されている商品ではありません。

株式と債券の比率をあらかじめ選べるようにしたのが「まるごとひふみ」シリーズで、銀行・証券会社経由で購入します。株式15%・債券85%の「まるごとひふみ15」、株式50%・債券50%の「まるごとひふみ50」、株式100%の「まるごとひふみ100」の3種類があり、各ファンド自体の信託報酬はそれぞれ年0.660%、0.935%、1.320%です。ただし、これらはファンド・オブ・ファンズ(このファンド自体が、別の投資信託に投資する形式)のため、投資先ファンドの費用を含めた実質的な負担はこの数字より高くなります。この「15」「50」「100」という数字は、あくまで目標とする株式の比率を示すもので、元本が保証される割合や、損失の上限を示す数字ではありません。

国内の中小型の成長企業に投資する「ひふみマイクロスコープpro」は、直販でも銀行・証券会社でも購入でき、信託報酬は年1.485%です。大型株中心の商品と比べて、値動きが大きくなりやすく、銘柄によっては売買しにくい場合もあるとされています。

もう一つ特徴的なのが「ひふみクロスオーバーpro」です。国内の上場企業に加えて、投資事業有限責任組合などを通じて、証券取引所に上場していない企業(非上場企業)にも投資する商品です。非上場企業への投資には、市場での取引価格が存在しないため評価額の算定に不確実性があること、売却できる市場が限られていること、投資先が新規上場や買収によって現金化される見込みが実現しない可能性があることなど、上場株式とは異なるリスクがあります。2026年6月30日時点の月次レポートでは、純資産総額は521.45億円、設定来の騰落率は+41.22%とされていますが、これは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。信託報酬は年1.650%です。

もっとも新しいのが、2026年7月6日に設定された「ひふみポリシードライブpro」です。日本の政策や社会構造の変化から恩恵を受けると考えられる国内企業に投資する商品で、直販のみの取り扱いです。この商品は信託報酬の仕組みも独特で、基本報酬(年0.55%)に加えて、基準となる価格(ハイ・ウォーター・マーク)を上回った運用成果の22%を成功報酬として受け取る仕組みになっています。信託期間は2036年6月20日までの予定で、NISAの対象外です。設定されたばかりのため、他の商品のように長期の運用実績を比較できる段階ではありません。

このほか、会社の年金制度(企業型DC)や個人型の年金制度(iDeCo)を通じてしか買えない「確定拠出年金専用」の商品もあります。国内外の株式に投資する「ひふみ年金」(信託報酬年0.836%、2016年10月設定)、日本を除く世界株式に投資する「ひふみワールド年金」(年1.100%)、上場・非上場企業の両方に投資する「ひふみクロスオーバー年金」(年1.155%、2026年3月設定)の3本です。これらは一般の窓口から直接買えるものではなく、勤務先の企業型DCや、自分で加入しているiDeCoの運営管理機関がその商品を採用している場合に限り利用できます。

4. NISAでどの商品が使えるか

NISA(一定の範囲内で得た利益が非課税になる制度)を使って投資したい場合、商品によって対応している枠が異なります。

つみたて投資枠・成長投資枠の両方に対応しているのは、ひふみ投信・ひふみプラス・ひふみワールド・ひふみワールド+の4本です。一方、ひふみらいと、まるごとひふみ15・50・100、ひふみマイクロスコープpro、ひふみクロスオーバーproは、成長投資枠のみの対応となっています。もっとも新しいひふみポリシードライブproは、現時点でNISAの対象外です。

なお、販売会社によって、実際にNISA口座で取り扱っている商品が異なる場合があります。レオスの直販NISA口座では、レオスが提供する対象商品のみ購入でき、他社の投資信託や個別の株式は購入できません。NISAの対象になっている商品であっても、運用で利益が出ることが保証されているわけではない点は変わりません。

5. 口座開設・購入・解約の流れ

直販口座の場合、口座開設・維持にかかる手数料はいずれも無料です。開設の方法は主に2つあります。

  1. スマートフォンで本人確認 本人確認書類と顔写真をスマートフォンで撮影して提出する方法です。入力内容や画像に不備がなければ、最短で翌営業日に口座開設が完了するとされています。
  1. 画像をアップロードして提出 本人確認書類の画像を提出したあと、審査を経て、転送不要の簡易書留郵便を受け取る必要がある方法です。審査には通常1〜2営業日程度かかるとされていますが、不備や申込状況によってはさらに時間がかかる場合があります。

購入は、まとまった金額を一度に投資するスポット購入、毎月決まった金額を積み立てる積立購入のいずれも、1,000円以上1円単位で申し込めます。積立は原則として毎月5日に銀行口座から引き落とされ(休日の場合は翌営業日)、「自由つみたて」という仕組みを使えば、月や金額を都度調整することもできます(ただし年1回以上の引き落としが必要です)。

解約(換金)を申し込む場合、受付は営業日の15時30分までで、実際にお金が支払われるのは商品によって異なり、原則としてひふみ投信とひふみワールドは受付日から5営業日目、ひふみらいとは6営業日目とされています。解約を申し込んだその日にすぐ銀行口座へ振り込まれるわけではない点は覚えておくとよいでしょう。

6. 運用実績・評判をどう見るか

投資信託を検討するとき、「評判がいいらしい」という情報だけで判断するのは危険です。ここでは、いつ・誰が・何を評価したのかがはっきりしている情報だけを紹介します。

ひふみ投信は、投資経験のある個人投資家が投票できる「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year 2025」のアクティブ部門で4位(発表日2026年1月23日時点、基準価額93,875円、純資産総額2,078億円)を獲得しています。また、ひふみ投信とひふみプラスは、R&Iファンド大賞2025の投資信託10年・国内株式コア部門で優秀ファンド賞を受賞しています。この評価は過去の運用データにもとづくもので、投票や表彰の時点における実績であり、将来の成果を保証するものではありません。

基準価額についても補足しておきます。ひふみ投信は2026年2月10日に基準価額が初めて10万円を超えましたが、これは1口あたりの購入価格が10万円になったという意味ではなく、最低投資額(1,000円)が変わったわけでもありません。基準価額が高いこと自体が、割高か割安かを直接示すものでもない点は理解しておくとよいでしょう。

もう一つ知っておきたいのが、基準価額を動かす要因は運用成績だけではないということです。たとえばひふみワールドの2026年6月の月次レポートでは、円安による為替要因が基準価額に+447円分の押し上げ効果を与えた一方、株式運用そのものは-260円分のマイナス寄与だったことが示されています。つまり、株式運用の成果が振るわなくても、為替の動き次第で基準価額全体はプラスになることがある、ということです。数字の中身がどう構成されているかまで見る視点は、海外に投資する商品では特に大切です。

7. 投資リスクと信託報酬の考え方

投資信託である以上、レオス・キャピタルワークスのどの商品にも元本保証はありません。基準価額が購入時より下落し、投資した金額を下回る可能性があります。

リスクの中身は投資対象によって異なります。国内株式中心の商品には株価変動・信用・流動性のリスクが、海外株式を含む商品にはこれに加えて為替変動や投資対象の国・地域に関するリスクがあります。債券を組み入れる商品には金利変動のリスクが、中小型株を中心にする商品には値動きの大きさや売却のしにくさが、非上場企業を含む商品には評価額の不確実性や換金性の低さといった、それぞれ固有のリスクが伴います。

信託報酬についても、正しく理解しておきたい点があります。この費用は、運用の成績がプラスの年もマイナスの年も、保有している間はずっと差し引かれ続けます。アクティブ運用(市場平均を上回ることを目指す運用スタイル)だからといって、必ず市場平均を上回る成果が出るとは限らない、という前提で費用を見る必要があります。

資産の管理体制については、投資信託の資産は信託銀行において運用会社自身の資産とは区別して管理される仕組み(分別管理)になっており、レオスが直接販売する取引で預かるお金についても、同様に別に管理する信託の仕組みがあります。ただし、これは相場の下落や為替差損、運用による元本割れを防ぐための制度ではなく、あくまで「運用会社の財産と、預かっているお金を混同しない」ための仕組みである点は区別しておく必要があります。

8. よくある質問

「守りながらふやす」という言葉は、元本が守られるという意味ですか?

いいえ。「守りながらふやす」は同社が掲げる運用の考え方や姿勢を表す言葉であり、元本や損失額を保証する制度ではありません。投資信託である以上、基準価額が下落し、投資した金額を下回る可能性は他の商品と同様にあります。

ポリシードライブproの「ハイ・ウォーター・マーク」とはどんな仕組みですか?

ハイ・ウォーター・マークとは、成功報酬の計算の基準になる価格のことです。ひふみポリシードライブproの当初のハイ・ウォーター・マークは、過去の運用実績から決まったものではなく、1万口あたり20,000円という設定値です。毎回の計算日に、成功報酬等を差し引く前の基準価額がその時点のハイ・ウォーター・マークを上回った場合、その超過部分に対して22%の成功報酬が発生する仕組みになっています。

レオスのセミナーやYouTubeでの情報発信は、口座を持っていなくても見られますか?

公式サイトやYouTubeなどで、投資や経済に関するセミナー、金融経済教育、運用報告会といった情報発信が行われています。こうしたコンテンツの多くは口座を持っていない人でも視聴・参加できるため、購入前に運用の考え方を知る手段として活用できます。

NISA口座は、レオスと他の証券会社で同時に持てますか?

NISA制度上、1人が利用できるNISA口座は1つの金融機関に限られます。レオスの直販NISA口座では、レオスが提供する対象商品のみ購入でき、他社の投資信託や個別株式は購入できません。すでに他の証券会社でNISA口座を持っている場合、レオスの商品をNISA枠で購入するには、金融機関の変更手続きが必要になります。

解約するときに、購入時とは別の手数料はかかりますか?

商品によります。たとえばひふみ投信は、解約時手数料も、解約時に一部が差し引かれる信託財産留保額もかからないとされています。ただし、保有期間中はどの商品も信託報酬が継続的にかかっており、解約時の手数料がゼロでも、保有中のコストがゼロというわけではない点は区別しておく必要があります。

9. まとめ

レオス・キャピタルワークスの商品選びで最初に整理すべきは、「どこで買うか」と「どれくらいの値動きを受け入れられるか」の2つです。費用を抑えたい、長期保有の還元も受けたいという場合は直販のひふみ投信・ひふみワールドが候補になり、すでに使っている証券口座や銀行にまとめて管理したい場合はひふみプラス・ひふみワールド+のような販売会社経由の商品が選択肢になります。値動きを抑えたい場合はらいとやまるごとひふみ15、リターンを重視するなら投信・ワールド・クロスオーバーというように、リスク許容度に応じた選び方もできます。会社の年金制度やiDeCoで投資したい場合は、まず自分が加入している制度がひふみのDC専用商品を採用しているかどうかを確認するところから始めることになります。

なお、2026年6月の経営体制の刷新や12月の社名変更は、いずれも運用会社としての実施体制や社名の変更であり、既存の契約内容が自動的に変わるものではありません。ただし、正式な取引の際は最新の社名・体制を確認しておくと安心です。

口座開設・維持手数料はいずれも無料で、積立なら1,000円から始められます。まずは公式サイトで、自分の目的に合いそうな商品の最新の運用レポートを開いて、実際の基準価額や騰落率を確認してみることから始めてみてください。

この記事の著者

吉田 直樹

吉田 直樹(資金調達マップ編集部)

資金調達マップ編集部の編集責任者。ファクタリングや各種融資、補助金・助成金まで、資金調達に関する幅広いテーマの記事編集を統括している。金融・経済分野での長年の編集経験を活かし、専門的で複雑になりがちな情報を、事業者にとって正確でわかりやすいコンテンツに仕上げることを重視。編集部全体の記事品質と中立性の担保に努めている。

資金調達マップ編集部が厳選 優良ファクタリング
会社ランキング
ファクタリングシークで
今すぐ確認する