親の年金、年6万円損してるかも|申請しないともらえない年金生活者支援給付金の確認方法

「うちの親、もしかしたら年金でもっとお金をもらえるかもしれない」——そう気づく人は、残念ながらあまり多くありません。実は、年金とは別に毎月一定額が上乗せされる給付金制度があり、条件を満たしているにもかかわらず申請をしていないために、一円ももらえていない方が相当数いると見られています。

その制度が「年金生活者支援給付金」です。令和8年度(2026年度)の老齢年金生活者支援給付金の満額給付は月額5,620円です。1年間受け取れた場合の目安は年間約67,000円になります。タイトルで「年6万円」という表現を使っていますが、これはあくまで満額に近い場合の目安です。実際の金額は保険料納付済期間等に応じて算出され、保険料納付済期間に基づく額と保険料免除期間に基づく額の合計額となります。保険料を納めた期間が短い場合や、免除を受けていた期間がある場合は、受け取れる金額が変わります。

この制度が特徴的なのは、知っている人は毎年自動的に受け取れる一方、知らない人には一円も支給されないという点です。年金生活者支援給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要です。原則、請求した月の翌月分からのお支払いとなりますので、速やかな請求手続きが必要です。

この記事では、「親が対象かどうかをどう確認するか」「申請はどうすればよいか」「子どもが代わりに手続きできるか」について、順を追って解説します。ご自身が年金を受け取っている方にとっても確認の参考になる内容です。

30秒でわかる要点

  • 年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者を支えるため、年金に上乗せして支給される給付金です。
  • 令和8年度の老齢年金生活者支援給付金は月額5,620円が基準で、満額に近い場合は年間約67,000円になります。
  • 対象になっていても、請求書を提出しなければ受け取れません。親の家に緑色の封筒が届いていないか確認することが大切です。
  • 子どもが親の代わりに確認する場合は、本人と代理人それぞれの基礎年金番号が必要になることがあります。

年金生活者支援給付金とは?まず3分で理解する

年金生活者支援給付金とは年金に上乗せされるお金

年金に「上乗せ」されるお金

年金生活者支援給付金は、消費税率引き上げ分を活用し、年金を含めても所得が低い方の生活を支援するために、年金に上乗せして支給するものです。年金本体と同じ口座に振り込まれるため、「受け取っているのに気づいていない」という方もいれば、「そもそも制度を知らなかった」という方もいます。

この制度が始まったのは2019年10月のことです。当時、消費税が10%に引き上げられたタイミングで、低所得の年金受給者の生活への影響を和らげる目的で作られました。一時的な給付金ではなく、支給要件を満たす場合、2年目以降のお手続きは原則不要となります。条件を満たす限り毎年継続される恒久的な制度である点が、この給付金の大きな特徴です。

金額はいくら?

令和8年度(2026年度)の支援給付金の給付基準額は、老齢年金生活者支援給付金が月額5,620円です。12か月受け取れた場合、年間では約67,440円になります。ただし、これはあくまで基準額です。

保険料納付済期間に基づく額(月額)は、5,620円に保険料納付済期間を掛けて480月で割った金額となります。つまり、国民年金保険料を40年間(480か月)フルに納めた方が満額を受け取れる計算です。たとえば納付済期間が240か月(20年)の場合、保険料納付済期間に基づく部分は5,620円の半額となります。

以下は受給パターン別の目安です。

受給パターン月額(目安)年間(目安)
本人のみ対象(満額の場合)5,620円約67,000円
夫婦2人とも対象(それぞれ満額の場合)11,240円約134,000円
1人が10年間受け取り続けた場合約67万円

※横にスクロールして確認できます >

10年間で約67万円というのは、決して小さくない金額です。「自分には関係ない」と思って申請しないまま過ごすのは、非常にもったいないことです。

申請しないとゼロ円・さかのぼりは原則できない

支給要件に該当する方が請求書を提出した場合、原則として請求した月の翌月分からのお支払いとなります。年金本体は一定の手続き後に自動支給されますが、この給付金は別途申請しなければ一円も受け取れません。スマートフォンで例えるなら、本体(年金)は自動でセットアップされているのに、追加の便利機能(給付金)は自分でオンにしなければ使えない——そんなイメージです。

過去にさかのぼって受け取ることも原則としてできません。1年間気づかなければ約67,000円、5年間見過ごしていれば30万円以上が受け取れないまま時間が過ぎていきます。「いつかやろう」ではなく、対象かもしれないと思ったら今すぐ確認することが大切です。

うちの親は対象?3つの条件を確認しよう

年金生活者支援給付金の対象条件を確認する

条件はシンプルです。次の3つをすべて満たしていれば、対象になる可能性があります。

条件1:65歳以上で老齢基礎年金を受給している

65歳以上の老齢基礎年金の受給者であることが必要です。

ここで一つよくある誤解があります。「うちの親は厚生年金をもらっているから関係ない」と思っている方も多いのですが、会社員として働いていた方でも、老齢基礎年金(国民年金部分)は受け取っています。厚生年金と老齢基礎年金はセットで受給しているケースがほとんどです。年金証書や年金振込通知書に「老齢基礎年金」という記載があれば、この条件を満たしている可能性が高いです。

条件2:世帯全員が住民税非課税

同一世帯の全員が市町村民税非課税であることが必要です。

これが最も見落としやすい条件です。本人だけでなく、住民票上の世帯全員が住民税を払っていない必要があります。住民税とは、一定の収入がある方に課される税金で、会社員であれば毎月の給与から天引きされているものです。

たとえば、親本人の年金収入は少なくても、同居している子どもが働いて住民税を払っている場合は、この条件を満たさないため対象外になります。一方で、別居している場合は世帯が別になるため、子どもが住民税を払っていても親の受給資格には影響しません。親が一人暮らしをしている場合は、この条件の確認がいちばん簡単です。

条件3:前年の収入・所得が基準額以下

前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以後に生まれの方は909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は906,700円以下であることが必要です。

生年月日によって基準額がわずかに異なる点に注意が必要です。また、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。障害年金や遺族年金を受け取っていても、それらはこの計算に含まれないため、条件をクリアしやすくなっています。

なお、所得基準を少し超える場合でも「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度があります。昭和31年4月2日以後生まれの方であれば809,000円を超え909,000円以下の方が対象で、満額より少ない金額が支給されます。該当するかもしれないと思ったら、専用ダイヤルに問い合わせてみてください。

親に確認してみよう:チェックリスト

帰省したときや電話のついでに、次のことを親に聞いてみてください。

  • 65歳以上かどうか
  • 老齢基礎年金(国民年金)を受け取っているかどうか
  • 一人暮らし、または同居している家族全員が住民税を払っていないかどうか
  • 前年の年金収入とその他所得の合計がおおむね91万円以下かどうか

すべてに「はい」と答えられる場合、申請できる可能性があります。

どうやってもらう?申請の仕組みをわかりやすく解説

年金生活者支援給付金の申請方法と緑の封筒

ハガキが届いている場合——これが一番簡単

基礎年金を受給している方で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方へ、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)を毎年9月の第1営業日から順次送付しています。この請求書は緑色の封筒に入って届きます。

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に氏名などを記入のうえ同封の目隠しシールを貼り、切手を貼って郵便ポストに投函してください。所要時間は5分もあれば十分です。

また、令和7年1月以降に日本年金機構より「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請により提出することが可能です。電子申請はマイナポータルとねんきんネットを連携して行うもので、24時間いつでも手続きでき、郵便切手も不要です。スマートフォンとマイナンバーカードがあれば対応できます。

さらに便利なのは、送付している年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に、請求した場合に支給される見込額(月額)が記載されています。送られてきたはがきを確認すれば、自分がいくら受け取れるかの目安が一目でわかります。

ハガキが届いていない・紛失した場合

ハガキが届いていないからといって、必ずしも対象外というわけではありません。住所変更の届出が済んでいない、市区町村との所得情報の連携がうまくいっていないなど、さまざまな理由が考えられます。

封筒や請求書を紛失した場合は、年金生活者支援給付金請求書(A4型)をダウンロードし、必要事項を記載のうえ、お近くの年金事務所にご提出ください。また、専用ダイヤルに電話して状況を確認することもできます。「ハガキが届いていない=対象外」ではないことを覚えておいてください。

2年目以降はどうなる?

一度申請して受給が始まると、翌年以降は手続きなしで自動的に継続されます。ただし、支給要件を満たさなくなった場合は年金生活者支援給付金は支給されません。その際は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送られます。毎年所得の審査があり、収入が基準を超えた年は支給が止まります。翌年に再び基準を満たせば、改めて請求書を提出することで給付が再開できます。

「申請さえしてしまえば、あとは基本的に自動」という仕組みです。最初の一歩が大切なのはそのためです。

親の代わりに子どもが動ける?代理での問い合わせ方法

親の代わりに子どもが年金生活者支援給付金を確認する方法

代理人(二親等以内)の方からお問い合わせいただく場合は、ご本人の基礎年金番号に加え代理人の方の基礎年金番号も必要となります。基礎年金番号は、年金手帳や「ねんきん定期便」に記載されています。

なお、目の見えない方や肢体の不自由な方、闘病中の方など自筆で書くことが困難な場合は、代理人などが代筆によりご本人の氏名などを記入することで請求手続きができます。また、成年後見人等に選任されている方が年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の提出等を行う場合は、請求書面の「氏名」欄には年金受給者の氏名を記入し、「電話番号」欄には成年後見人等の電話番号を記入してください。

帰省前にやっておくべきこと

実家に帰る前に、電話で親に次のことを確認しておくと話がスムーズです。「年金以外に、給付金とか別のお金をもらっている?」「緑色の封筒、来てなかった?」この二つを聞くだけで、だいたいの状況が把握できます。

帰省した際には、通帳を一緒に確認するのも有効です。年金生活者支援給付金は年金と同じ口座に振り込まれるため、通帳の摘要欄に「給付金」などの記載があれば、すでに受給中です。記載がなければ、受給していない可能性があります。

ハガキが見つかれば一緒に記入してポストへ投函する、または電子申請で手続きする。ハガキがなければ専用ダイヤルに電話して確認する。それだけです。

よくある疑問Q&A

年金生活者支援給付金のよくある疑問

Q. 年金を繰り上げ受給している。65歳前でも申請できる?

65歳になるまでは、老齢年金生活者支援給付金を受け取ることはできません。

65歳より早く年金を受け取り始める「繰り上げ受給」を選んでいる方は、65歳になるまで給付金を受け取ることができません。ただし、老齢基礎年金を繰り上げて受け取っている方で、かつ65歳時に年金生活者支援給付金を受け取ることができる方には、65歳を迎える誕生月の初め頃に、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)を郵送しています。65歳になるタイミングで自動的に案内が届く仕組みになっているため、見落とさないよう注意してください。もし封筒が届いたにもかかわらず手続きしていない場合は、専用ダイヤルに確認することをおすすめします。

Q. 給付金はいつ振り込まれる?年金と同じ日?

年金と同じ受取口座に、年金とは別に振り込まれます。

振込のタイミングは年金と少し異なります。年金生活者支援給付金のお支払いは、原則として偶数月の中旬に2カ月分(前月および前々月)を年金と同じ受取口座に、年金とは別途お支払いします。例えば、10月分と11月分は12月中旬に振り込まれます。つまり年金と同じ口座に入金されますが、振込の明細は年金とは別になっています。通帳で確認する際は、年金の入金とは別の行に「給付金」として記載されていることがあります。初回振込の前には、初回お支払い月の上旬に日本年金機構から振込通知書が届きます。通帳に見慣れない入金があっても、この通知書が届いていれば安心して確認できます。

Q. マイナンバーカードを持っていないと申請できない?

マイナンバーカードがなくても、はがきで申請できます。

カードがなくても申請できます。年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に氏名などを記入のうえ同封の目隠しシールを貼り、切手を貼って郵便ポストに投函する郵送での手続きが基本であり、マイナンバーカードは必須ではありません。マイナンバーカードが必要になるのは電子申請を利用する場合のみです。電子申請はマイナンバーカードの「署名用電子証明書のパスワード」の設定、マイナポータルの利用者登録、マイナポータルとねんきんネットの連携が必要です。スマートフォンやパソコンの操作が難しい方、マイナンバーカードを持っていない方は、従来どおりはがきを郵送する方法で問題なく手続きできます。封筒を紛失した場合はA4型の請求書を年金事務所で入手するか、専用ダイヤルに相談してください。

まとめ——今すぐできること

年金生活者支援給付金で今すぐできること

年金生活者支援給付金は、条件を満たしているにもかかわらず申請していない方に対して、制度側から自動的に手を差し伸べてくれる仕組みにはなっていません。申請してはじめて受け取れる給付金です。知っている人だけが毎年受け取り続け、知らない人にはゼロ——という現実があります。

帰省前に5分だけ時間を作って、親に電話してみてください。「緑の封筒来てる?」「年金以外にお金もらってる?」というたった二つの質問から始められます。

今すぐできる3つのアクションは、次のとおりです。

  • 親に電話して確認する:「年金と別のお金もらってる?」「緑の封筒来てない?」と聞いてみる
  • 専用ダイヤルに問い合わせる:疑問があれば給付金専用ダイヤル(0570-05-4092)に問い合わせる。二親等以内であれば子どもが代わりに電話して確認することも可能(その際は本人と代理人それぞれの基礎年金番号が必要)
  • 通帳を一緒に確認する:振込履歴の摘要欄に「給付金」の記載があるか確認する

基準額どおり受け取れれば年間約67,000円、10年で約67万円になりうる制度です。ご自身が対象かもしれないと思った方も、この機会にぜひ確認してみてください。

参考リンク

この記事の著者

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mcnconety_m0wmxqtz(資金調達マップ編集部)

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