デジタル化・AI導入補助金 セキュリティ対策推進枠の申請体験談|電気設備工事会社が情報管理体制の見直しに取り組んだ事例

図面データや見積書、請求書、現場写真、顧客情報など、電気設備工事会社が日々扱う情報は少なくありません。

愛知県名古屋市で電気設備工事業を営む株式会社Nでも、元請け会社や協力会社とのやり取りにメールやクラウドストレージを使う機会が増え、以前よりも情報管理の重要性を感じるようになっていました。

代表のH.Y.さんは、これまで市販のウイルス対策ソフトを入れる程度の対策はしていたものの、社内全体のルールや万が一の対応までは十分に整えられていないと感じていました。

そんな中、2026年4月ごろに取引先から情報管理体制について確認されたことをきっかけに、セキュリティ対策の見直しを検討することになります。

そこで知ったのが、デジタル化・AI導入補助金 セキュリティ対策推進枠でした。

今回は、株式会社Nが2026年6月15日の2次締切に向けて、セキュリティ対策推進枠の申請準備を進めた体験談を紹介します。

なお、この記事では採択結果や導入後の成果ではなく、申請までの流れに絞ってまとめています。

デジタル化・AI導入補助金 セキュリティ対策推進枠の申請体験談|電気設備工事会社が情報管理体制の見直しに取り組んだ事例

検査工程に人手がかかり、ベテラン社員に負担が集中していた

株式会社Nは、愛知県名古屋市で電気設備工事業を営む小規模企業です。

店舗やオフィス、工場などを対象に、照明工事、電気設備工事、LAN配線、防犯カメラの設置などを行っており、従業員は9名ほどです。

代表のH.Y.さんは、現場での作業だけでなく、見積書の作成、元請け会社との打ち合わせ、協力会社への連絡、請求対応まで幅広く担当していました。

以前は、図面や工事内容の確認も紙の資料や電話で行うことが多かったものの、最近ではメールやクラウドストレージを使ってデータをやり取りする機会が増えていました。

工事図面、現場写真、見積書、請求書、顧客情報などをパソコン上で管理するようになり、業務は便利になった一方で、H.Y.さんは少しずつ不安を感じるようになります。

たとえば、現場担当者がスマートフォンで撮影した写真を共有したり、外出先からノートパソコンでメールを確認したりすることもありました。

そのため、「もし不審なメールを開いてしまったらどうなるのか」「図面データや顧客情報が外部に漏れたらどう対応すればよいのか」と考える場面が増えていきました。

これまで株式会社Nでは、市販のウイルス対策ソフトを入れる程度の対策は行っていました。

しかし、パスワードの管理方法やデータ共有のルール、万が一トラブルが起きたときの相談先までは、社内で明確に決められていませんでした。

そんな中、2026年4月ごろ、取引先の元請け会社から情報管理体制について確認される機会がありました。

「うちのような小さな会社でも、きちんと対策を考えないといけない時期に来ているのかもしれない」。

そう感じたH.Y.さんは、自社のセキュリティ対策を見直す必要性を強く意識するようになりました。

IT事業者に相談し、セキュリティ対策推進枠を知る

情報管理体制について見直す必要性を感じたH.Y.さんでしたが、最初は何から始めればよいのかわかりませんでした。

セキュリティ対策と聞くと、専門的なシステムや高額なサービスを導入しなければならないイメージがあり、自社のような小規模な会社には少しハードルが高いと感じていたからです。

そこでH.Y.さんは、普段からパソコンや社内ネットワークの相談をしているIT事業者に、現状の不安を相談することにしました。

相談した内容は、主に不審メールへの対応、図面データや顧客情報の管理、外出先からのメール確認、パスワード管理などです。

IT事業者からは、まず市販のウイルス対策ソフトだけではなく、不審な通信の検知や、トラブルが起きたときに相談できる体制を整えることが大切だと説明を受けました。

その中で紹介されたのが、デジタル化・AI導入補助金2026の「セキュリティ対策推進枠」でした。

この枠は、中小企業がサイバーセキュリティ対策を進めるために、対象となるセキュリティサービスの導入を支援する制度です。

H.Y.さんにとって意外だったのは、大きな会社だけでなく、株式会社Nのような小規模な会社でも申請を検討できることでした。

また、IT導入支援事業者と相談しながら申請を進められるため、すべてを自社だけで調べて準備する必要がない点も安心材料になりました。

費用面の不安を抑えながら、取引先に対しても説明しやすいセキュリティ体制を整えられるかもしれない。

そう考えたH.Y.さんは、2026年6月15日の2次締切に向けて、セキュリティ対策推進枠の申請準備を進めることにしました。

申請に向けて必要な準備を進める

セキュリティ対策推進枠の申請を進めるにあたり、H.Y.さんはまず、IT事業者と一緒に自社の課題を整理することから始めました。

株式会社Nでは、工事図面、見積書、請求書、現場写真、顧客情報などをパソコンやクラウド上で管理していました。

しかし、どの情報を誰が扱っているのか、外出先からアクセスする場合のルールはどうするのか、不審メールを受け取ったときに誰へ相談するのか、といった点は明確に決まっていませんでした。

そこで、まずは現在の業務の中で、どのような情報を扱っているのかを洗い出しました。

そのうえで、セキュリティサービスを導入することで、どのような不安を減らしたいのかを整理していきました。

申請に向けて確認した主な内容は、次のようなものです。

確認したこと内容
導入するサービス補助対象となるセキュリティサービスかどうかを確認
費用の内容月額費用や補助対象になる範囲を確認
導入目的図面データや顧客情報を安全に管理したい理由を整理
社内の運用不審メールやトラブル時の相談先を明確にする方針を確認
事前準備申請に必要な情報や手続きについて確認

H.Y.さんが特に難しいと感じたのは、セキュリティ対策の専門用語ではなく、自社の課題をわかりやすく言葉にすることでした。

「不安だから導入したい」というだけではなく、どの業務でどのような情報を扱っていて、なぜ対策が必要なのかを整理する必要があったからです。

たとえば、現場写真を共有する場面、元請け会社から図面データを受け取る場面、請求書をメールで送る場面など、日常業務の中にあるリスクを一つずつ確認していきました。

その作業を進める中で、H.Y.さんは、セキュリティ対策は特別な会社だけに必要なものではないと感じるようになります。

小規模な会社であっても、取引先の情報や顧客情報を扱っている以上、最低限の対策を整えることは、会社の信用を守ることにもつながると考えるようになりました。

2026年5月下旬には、導入予定のサービス内容や見積内容、申請に必要な情報がある程度まとまり、H.Y.さんはIT導入支援事業者と一緒に、申請内容の最終確認へ進むことになりました。

2025年8月に採択され、画像検査装置の導入準備を開始

2026年6月上旬になると、株式会社Nではセキュリティ対策推進枠の申請内容を最終確認する段階に入りました。

H.Y.さんは、IT導入支援事業者と一緒に、導入予定のセキュリティサービスの内容や費用、申請に記載する自社の課題を一つずつ確認していきました。

特に意識したのは、なぜ今セキュリティ対策が必要なのかを、できるだけ具体的に説明することでした。

株式会社Nでは、元請け会社から受け取る工事図面、現場写真、見積書、請求書、顧客情報などを日常的に扱っています。

そのため、万が一情報が漏えいしたり、パソコンがウイルスに感染したりすれば、自社だけでなく取引先にも迷惑をかけてしまう可能性がありました。

申請内容を整理する中で、H.Y.さんは「セキュリティ対策は、単にパソコンを守るためだけではない」と感じるようになりました。

取引先との信頼関係を守るためにも、情報管理のルールや相談できる体制を整えておくことが大切だと考えるようになったのです。

また、申請前には、導入後に社内でどのように運用していくかについても確認しました。

不審なメールを受け取ったときの対応、パスワード管理の見直し、現場写真や図面データを共有する際の注意点など、日々の業務に関わるルールを少しずつ整えていく方針です。

これまでH.Y.さんは、セキュリティ対策というと専門的で難しいものだと感じていました。

しかし、申請準備を進める中で、自社の業務を振り返り、守るべき情報を整理すること自体が、情報管理体制を見直すきっかけになりました。

最終的に株式会社Nは、2026年6月15日の2次締切に向けて、交付申請を完了しました。

採択結果や導入後の効果はまだこれからですが、H.Y.さんにとっては、これまで後回しにしていたセキュリティ対策に向き合う大きな一歩となりました。

まとめ:小規模な会社でも、情報管理の見直しは早めに進めたい

まとめ:小規模な会社でも、情報管理の見直しは早めに進めたい

今回ご紹介した株式会社Nの体験談は、電気設備工事会社がデジタル化・AI導入補助金 セキュリティ対策推進枠の申請に取り組んだ事例です。

株式会社Nでは、元請け会社や協力会社とのやり取りにメールやクラウドストレージを使う機会が増え、工事図面、現場写真、見積書、請求書、顧客情報などを日常的に扱うようになっていました。

便利になった一方で、情報漏えいや不審メールへの不安もあり、代表のH.Y.さんは「このままで大丈夫なのか」と感じるようになります。

特に、取引先から情報管理体制について確認されたことは、自社のセキュリティ対策を見直す大きなきっかけになりました。

最初は何から始めればよいのかわからなかったH.Y.さんでしたが、IT事業者に相談したことで、セキュリティ対策推進枠を知り、申請に向けて準備を進めることができました。

申請準備では、導入するサービスの確認だけでなく、自社がどのような情報を扱っているのか、なぜ対策が必要なのかを整理することも重要でした。

今回の体験談からわかるのは、セキュリティ対策は大企業だけのものではないということです。

小規模な会社であっても、取引先の情報や顧客情報を扱っている以上、情報管理体制を整えることは、会社の信用を守るためにも欠かせません。

株式会社Nにとって、今回の申請は採択結果を待つ前の段階ではありますが、これまで後回しにしていたセキュリティ対策に向き合う大きな一歩となりました。

「まだ大きなトラブルが起きていないから大丈夫」と考えるのではなく、早めに自社の情報管理を見直すことが、取引先との信頼を守ることにもつながります。

この記事の著者

高橋美咲

高橋美咲(資金調達マップ編集部)

助成金や補助金制度に関する情報をリサーチ・編集。制度の概要や申請時の注意点などを、わかりやすくまとめることを得意とし、事業者や個人に役立つ情報提供を目指している。

資金調達マップ編集部が厳選 優良ファクタリング
会社ランキング
ファクタリングシークで
今すぐ確認する