妊婦のための支援給付とは?給付額・申請方法・対象者を徹底解説

妊娠がわかったとき、うれしい気持ちと同時に「出産費用は大丈夫かな」「どんな手続きが必要なんだろう」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

そんな妊婦さんを経済的・精神的にサポートするため、2025年4月から「妊婦のための支援給付」が法律に基づく制度として正式にスタートしました。この記事では、制度の概要から給付額、申請の流れまでを、公式情報をもとにわかりやすく解説します。

30秒でわかる要約

  • 妊婦のための支援給付は、2025年4月から制度化された妊婦向けの経済的支援です。
  • 1回目は妊婦給付認定後に5万円、2回目は妊娠しているこどもの数×5万円が支給されます。
  • 1人妊娠なら合計10万円、双子なら合計15万円が目安です。
  • 対象は日本国内に住民票がある妊婦で、一定の在留資格を持つ外国籍の方も含まれます。
  • 制度上の妊娠は、医師等による胎児心拍の確認をもって判断されます。
  • 胎児心拍が確認されていれば、流産・死産・人工妊娠中絶の場合も対象になります。
  • 申請先は住民票のある市区町村で、自治体によって独自の上乗せ支援がある場合もあります。
  • 給付金は原則非課税・差押禁止とされており、安心して受け取れる制度です。

妊婦のための支援給付とは

妊婦のための支援給付とは

制度の背景と目的

「妊婦のための支援給付」のルーツは、2022年度の補正予算から始まった「出産・子育て応援交付金事業」です。妊娠中と出産後にそれぞれ給付金を支給し、伴走型の相談支援とあわせて実施してきた取り組みで、全国の自治体で好評を博してきました。

この実績を受け、国は「こども未来戦略」(2023年12月22日閣議決定)において、2025年度から法律に基づく制度として位置づけることを決定。2025年4月に「子ども・子育て支援法」と「児童福祉法」の改正が施行され、全国すべての市区町村で実施される法定給付となりました。

この給付の目的は、妊娠中の身体的・精神的・経済的な負担を和らげること。そして「お金の心配をせずに、安心して子どもを産み育てられる環境をつくる」ことです。

給付の財源は、子ども・子育て支援金です。これは全世代・すべての企業から広く拠出いただく資金で、費用は全額国が負担します。市区町村や都道府県の財政負担は生じません。

2本柱の構造:「給付」+「相談支援」

この制度は、お金の給付と伴走型の相談支援の2つをセットで届けることが大きな特徴です。

  • 妊婦のための支援給付:給付金を支給する経済的支援
  • 妊婦等包括相談支援事業:妊娠中から出産後まで、保健師等が継続的に相談に応じる伴走型相談支援

法律(子ども・子育て支援法第10条の3)では、市区町村がこの2つを効果的に組み合わせて実施するよう定めています。「給付金をもらって終わり」ではなく、妊娠中から出産後まで、継続して寄り添ってもらえる仕組みです。

給付の内容・金額

妊婦のための支援給付の給付額

いくらもらえるの?

給付金は2回に分けて支給されます。

タイミング支給額
妊婦給付認定後(1回目)5万円
妊娠しているこどもの数の届出後(2回目)こどもの数 × 5万円

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たとえば、赤ちゃんが1人(医療の場では「単胎」といいます)の場合は合計10万円。双子・三つ子など2人以上を妊娠している場合(「多胎」といいます)は、人数に応じて変わります。

「単胎」「多胎」ってどういう意味? 医療の場では、赤ちゃんが1人のことを「単胎」、2人以上(双子・三つ子など)を「多胎」といいます。この記事では以降「1人妊娠」「双子妊娠」のような表現を使います。

妊娠人数別の給付額一覧

妊娠人数1回目2回目合計
1人5万円5万円10万円
双子5万円10万円15万円
三つ子5万円15万円20万円

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給付は原則として現金で支給されます。ただし自治体の取り組みによっては、受給者が希望した場合にクーポン等での給付を選ぶこともできます。現金を希望している方が強制的にクーポンになることはありません。

自治体による独自の上乗せ・追加給付

国の給付(1人妊娠の場合:合計10万円)に加え、お住まいの自治体によってはさらに手厚い支援を受けられる場合があります。以下は2025年5月時点でウェブ上から確認できた自治体の例です。

掲載にあたっての重要な注意事項

  • これはウェブ上で確認できた範囲の情報であり、すべての実施自治体を網羅したものではありません
  • 掲載されている自治体でも、制度の内容・金額・条件は変更されることがあります
  • 掲載されていない自治体でも独自の上乗せを行っている場合があります
  • 実際の受給可否や金額は、必ずお住まいの市区町村窓口に直接ご確認ください

妊婦支援給付金への直接上乗せ・追加給付が確認できた自治体

自治体上乗せの名称上乗せ内容
栃木県鹿沼市いちごっこ出産・子育てかぬまプラス給付金妊娠時+5万円、出産時(子1人)+5万円。国と合わせて計20万円の現金給付
神奈川県横須賀市出産子育て応援祝い金妊娠時+5万円、出産時(子1人)+5万円。国と合わせて計20万円の現金給付(2025年10月〜)
千葉県木更津市妊婦のための支援給付金追加給付事業2026年中に妊娠届を出した妊婦に、妊娠している子の数×2万円を追加給付
岡山県浅口市あさくちママ・パパ応援給付金妊娠1回につき2万円+生まれた子1人につき3万円
和歌山県上富田町かみとんだ未来応援給付金2万5,000円×2回(国と合わせて計15万円)
富山県氷見市ひみっこギフト第2子+5万円、第3子以降+15万円(2回目に上乗せ)
徳島県北島町町独自上乗せ双子妊娠(多胎)の場合+5万円
埼玉県さいたま市たまポン・子育て世帯応援キャンペーンデジタル地域通貨選択時に1回+5,000円相当。2回目にさらに子1人あたり+1万円相当
群馬県伊勢崎市ISECA上乗せ電子地域通貨「ISECA」選択時に子1人につき+500ポイント(500円相当)
大阪府豊中市はぐくみポイント加算地域ポイント選択時に1回目で5万ポイント+5,000ポイント
佐賀県武雄市たけおPay上乗せ地域通貨「たけおPay」選択時に5%上乗せ(5万円→5万2,500円相当)

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妊婦支援給付金とは別枠で、妊娠期に独自支援を行っている自治体

自治体支援の名称内容
東京都東村山市ゆりかごギフト妊婦面談後にこども商品券1万円相当
東京都町田市しっかりサポート面接後の支援面接後にこども商品券1万円分
東京都千代田区妊婦面談後の育児支援面談後にこども商品券1万円分
東京都練馬区育児パッケージ妊娠中面談後に1万円相当のギフト
神奈川県綾瀬市あやせ子育てスタート応援給付金妊娠1回につき1万5,000円(別枠給付)

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対象者と「妊娠」の定義

妊婦のための支援給付の対象者と妊娠の定義

誰がもらえるの?

日本国内に住民票がある妊婦が対象です。申請時点の住民票所在地の市区町村から支給されます。なお、父親・祖父母など妊婦本人以外は対象になりません。

この制度における「妊娠」の定義

日常的には「妊娠検査薬が陽性になったとき」「胎嚢(赤ちゃんの袋)が確認できたとき」から妊娠と感じる方も多いですが、この制度では医師等による「胎児心拍の確認」をもって妊娠と定義しています。

「胎嚢」「胎児心拍」ってどういう意味? 胎嚢(たいのう)とは、赤ちゃんを包む袋のこと。妊娠4〜5週ごろに超音波検査で確認できます。胎児心拍は、赤ちゃんの心臓の動き(心音)のこと。一般的に妊娠6〜7週ごろに確認されます。

申請できる・できないケースの整理

状況対象
胎児心拍が確認できた✅ 対象
胎嚢は確認できたが心拍未確認❌ 対象外
異所性妊娠(子宮外妊娠)で心拍確認❌ 対象外

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流産・死産・人工妊娠中絶の場合は?

胎児心拍が確認されていれば、流産・死産・人工妊娠中絶の場合も給付対象です。悲しい経験をされた方も、ぜひ申請を検討してください。

  • 流産・死産の場合:流産等が医療機関で確認された日以降に届出ができます
  • 人工妊娠中絶の場合:手術の前でも後でも申請可能です。手術後に申請する場合は、医師の診断書(胎児心拍の確認が記載されたもの)が必要になります

また、妊娠届を出す前に流産等をしてしまった場合も、医師の診断書があれば申請できます。

申請の流れと手順

妊婦のための支援給付の申請の流れ

ステップ1:1回目の申請(妊婦給付認定申請)

項目内容
申請できる時期胎児心拍が確認された後から
申請期限胎児心拍確認日から2年
申請先住民票のある市区町村の「妊婦のための支援給付」担当窓口
もらえる金額5万円

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妊娠届と同時に申請するのが一般的です。窓口では、保健師等との面談とあわせて手続きを案内してもらえます。マイナンバーに紐づく公金受取口座を活用することもできます。

ステップ2:2回目の届出(胎児の数の届出)

項目内容
届出できる時期出産予定日の8週間前の日から
届出期限出産予定日の8週間前の日から2年
届出先同じく住民票のある市区町村の担当窓口
もらえる金額赤ちゃんの数 × 5万円

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出産予定日の8週間前というのは、おおよそ妊娠32〜33週ごろにあたります。妊娠後期に入ったら忘れずに届出しましょう。「妊娠8か月ごろの面談」のタイミングで案内される自治体も多いので、あわせて確認してみてください。

転居(転出・転入)した場合は?

申請・届出が「不備なく受理された」時点の住民票所在地の市区町村が支給を担当します。申請後に転出しても、受理した転出元の市区町村が給付してくれます。1回目を転出元で受け取り、2回目を転入先で申請するケースでも、それぞれの届出時点の住民票所在地の市区町村が対応します。

伴走型相談支援(妊婦等包括相談支援事業)

妊婦等包括相談支援事業とは

どんなサポートが受けられるの?

妊娠中〜出産後を通じて、保健師などの専門家が継続的に面談・相談に応じてくれます。具体的には以下のタイミングで面談が行われます。

  • 妊娠届出時(妊娠初期)
  • 出産前(妊娠8か月ごろが目安)
  • 出産後(乳児家庭全戸訪問等と組み合わせた形で)

相談では、妊娠・出産・子育てに関する不安や困りごとのほか、利用できる制度やサービスも紹介してもらえます。配偶者やパートナーの同席も歓迎されています。

面談の方法

対面が基本ですが、オンライン(映像と音声でお互いの顔が見えるビデオ通話)も可能です。体調や地域の事情によっては、電話での対応に準じた形でも受け付けてもらえます。妊婦さんの状況に合わせて柔軟に対応してもらえるので、遠慮なく相談してください。

面談は給付の必須条件ではありません

「面談を受けないと給付金がもらえない」と思っている方もいるかもしれませんが、それは法律上、誤りです。

面談は給付の条件ではなく、あくまで妊婦さんをより手厚くサポートするために組み合わせる仕組みです。「面談しないと申請できない」と説明する運用は認められていません。

ただし、法律の趣旨として給付と相談支援を一体的に行うことが求められているため、窓口ではぜひ相談支援も活用してみてください。

よくある疑問Q&A

妊婦のための支援給付のよくある疑問

本文で説明しきれなかった細かな疑問にもお答えします。

Q. 双子のうち1人が流産した場合、2回目の給付額はどうなる?

2回目の給付は「実際に妊娠しているこどもの数」ではなく、「胎児心拍が確認された数」に基づきます。双子で心拍が2人分確認されていれば、その後1人が残念な結果になっても2人分(10万円)が支給されます。

Q. 自治体によって給付金の名前が違うのはなぜ?

市区町村は親しみやすい名称(例:「出産・子育て応援給付金」など)を独自に設定することが認められています。ただし「妊婦支援給付金と同一のものである」と妊婦にわかるようにする必要があります。名前が違っても、国の制度に基づく同じ給付です。

Q. 給付金は差し押さえされることはある?

ありません。この給付金は特定公的給付として、法律で差押えが禁止されています。借金などがあっても、給付金は守られます。

Q. 申請にうっかり気づかなかった場合は?

申請には時効(2年)があります。具体的には以下のとおりです。

  • 1回目(妊婦給付認定申請):胎児心拍確認日から2年
  • 2回目(胎児の数の届出):出産予定日の8週間前の日から2年
  • 流産・死産等の場合:流産等が医療機関で確認された日から2年

「出産後に知った」という場合でも、2年以内であれば申請できます。

Q. 妊娠届を出していなかった場合も申請できる?

申請自体は可能です。ただし、流産や人工妊娠中絶等で妊娠届を出していない場合は、妊娠の事実確認のために医師が作成した診断書(胎児心拍の確認が記載されたもの)の提出を求められることがあります。

Q. 人工妊娠中絶をした場合、給付はどんな流れになる?

手術前に申請するか、手術後に申請するかで流れが異なります。

手術前に申請する場合(医師の診断書は不要)

  1. 医師が胎児心拍を確認
  2. 市区町村窓口で面談・1回目の申請
  3. 1回目の給付金(5万円)を受取
  4. 手術
  5. 市区町村窓口で面談・胎児の数の届出
  6. 2回目の給付金を受取

手術後に申請する場合(医師の診断書が必要)

  1. 医師が胎児心拍を確認
  2. 手術
  3. 市区町村窓口で面談・1回目の申請と胎児の数の届出を同時に行う
  4. 1回目・2回目の給付金をまとめて受取

まとめ

妊婦のための支援給付のまとめ

妊婦のための支援給付について、要点を整理します。

  • もらえる金額:1人妊娠なら合計10万円(2回に分けて支給)、双子なら15万円
  • 対象者:日本国内に住民票がある妊婦(一定の在留資格を持つ外国籍の方も含む)
  • 申請のタイミング:母子健康手帳をもらいに役所へ行く際に窓口で案内されることが多い
  • 2回目の届出:出産予定日の8週間前(妊娠32〜33週ごろ)から忘れずに
  • 流産・死産・中絶の場合も対象:胎児心拍が確認されていれば申請できる
  • 給付金は原則非課税・差押禁止:安心して受け取れる
  • 自治体によって上乗せあり:国として一覧の公表はないので、気軽にお住まいの窓口に問い合わせてみよう

妊娠がわかって、うれしさの中にもさまざまな不安を抱えているあなたへ。この給付金は、そんな妊娠期の負担を少しでも和らげるために、社会全体でつくった仕組みです。

難しく考えなくても大丈夫です。母子健康手帳をもらいに役所へ行ったとき、窓口のスタッフが給付の手続きをいっしょに案内してくれることも多くあります。「うちの自治体は上乗せがあるのかな?」と気になったときも、遠慮なく窓口に電話一本入れてみてください。

妊娠中も、出産後も、あなたのペースで、無理せず一つひとつ進めていきましょう

参考資料(いずれも公式)

この記事の著者

高橋美咲

高橋美咲(資金調達マップ編集部)

助成金や補助金制度に関する情報をリサーチ・編集。制度の概要や申請時の注意点などを、わかりやすくまとめることを得意とし、事業者や個人に役立つ情報提供を目指している。

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