
子育てをしながら、自分の美容室・サロンを始めたい。
神奈川県藤沢市に住むSさんは、38歳の主婦でした。会社員の夫と小学2年生の長女と暮らしながら、子育てをしながら、昔からの夢である自分の店を持つために、2025年の夏ごろから、自宅の一部を改築して小さな美容室・サロンを開く準備を進めていました。
もともとSさんには、美容や接客に関わってきた経験がありました。子どもが小学生になり、平日の午前中から午後にかけて少しずつ時間を作れるようになったことで、「今なら家庭と両立しながら、自分の仕事を始められるかもしれない」と考えるようになったそうです。
ただ、実際に開業準備を始めてみると、自宅の一部をサロンとして使えるようにするための改築費や、シャンプー台・椅子・鏡などの設備費、ホームページ制作費、チラシや広告費など、想像以上に多くの費用が必要になることがわかりました。
見積もりを取ってみると、改築工事や設備の導入だけでも150万円を超える見込みになり、Sさんの自己資金を考えると、初期費用は賄えても、運転資金が心許ないと思いました。
そこで、Sさんは知人を介して、私に相談があり、小規模事業者持続化補助金 創業型があることを伝え、Sさんは早速資料を取り寄せ提出資料の準備をはじめました。
ただ、補助金は採択されたらすぐにお金が振り込まれる制度ではありません。基本的には、事業者が先に対象経費を支払い、事業を実施したあとに実績報告を行い、内容が確認されてから補助金が支払われる仕組みです。
そのため、Sさんの場合も、改築費や設備費をどのように準備するのか、自己資金でどこまで対応するのか、補助金の対象として申請できる費用はどれなのかを、ひとつずつ整理していく必要がありました。
とくに美容室・サロンの開業では、内装工事や設備の導入だけでなく、開業後の広告宣伝費、予約導線の整備、ホームページ制作なども重要になります。Sさんも、「お店を作ること」だけでなく、「どうやってお客様に知ってもらうか」まで考えながら、事業計画をまとめていきました。
Sさんが申し込んだのは、「小規模事業者持続化補助金 創業型」の第2回公募です。公募要領は2025年6月30日に公開され、申請受付は2025年10月3日から、申請締切は2025年11月28日17時までと案内されていました。
締切まで時間があるように見えても、実際には見積書の取得、事業計画書の作成、必要書類の確認、商工会・商工会議所への相談など、早めに進めておきたい作業が多くあります。
今回は、自宅の一部を改築して美容室・サロンを開業しようとしたSさんの体験をもとに、小規模事業者持続化補助金 創業型に申請するまでの流れや、準備で感じた不安、注意しておきたい点を、資金調達マップ編集部の高橋美咲がわかりやすくまとめます。
自宅サロンの開業を考えたきっかけ
Sさんが本格的に創業を考え始めたのは、2025年7月ごろのことでした。
神奈川県藤沢市で、会社員の夫と小学2年生の長女と暮らしていたSさんは、以前から「いつか自分の美容室・サロンを持ちたい」という思いを持っていました。
結婚や出産、子育てを優先する中で、その夢はいったん後回しになっていましたが、長女が小学校生活に慣れてきたことで、少しずつ自分の時間を作れるようになってきたそうです。
平日の午前9時から午後2時ごろまでであれば、予約を受けられる日もある。学校行事や急な体調不良などで予定が変わることはあるものの、自宅の一部を使った予約制のサロンであれば、家庭と両立しながら始められるのではないかと考えるようになりました。
最初は、空いている部屋に鏡や椅子を置けば始められるのではないかと考えていたそうです。しかし、実際に美容室・サロンとして使うことを考えると、床や壁の改装、水まわりの確認、照明、収納、シャンプー台や施術用の椅子など、整えなければならないものが思った以上に多くありました。
また、自宅で開業するとはいえ、お客様に安心して来てもらうためには、生活感をできるだけ抑えた空間づくりも必要です。家族が使う場所とサロンとして使う場所を分けることや、近隣への配慮、予約時間の管理なども考えなければなりませんでした。
見積もりを取ってみると、改築工事や設備の導入だけでも150万円を超える見込みになりました。さらに、ホームページ制作、チラシ作成、SNS広告、予約導線の整備なども考えると、開業前に必要な費用はさらに増えていきます。
Sさんは、自己資金である程度の準備はできると考えていました。しかし、開業後すぐに安定して売上が立つとは限りません。材料費や広告費、光熱費などの運転資金も残しておく必要があります。
「お店を作るためにお金を使い切ってしまったら、その後の運営が不安になる」
そう感じたSさんは、開業費用をすべて自己資金だけでまかなうのではなく、使える支援制度がないか調べることにしました。
その中で候補に上がったのが、「小規模事業者持続化補助金 創業型」でした。
ただし、補助金は先にお金がもらえる制度ではありません。採択された場合でも、原則として先に事業者が支払いを行い、事業実施後に実績報告をして、内容が確認されてから補助金が支払われます。
そのためSさんは、「補助金があるから開業資金を用意しなくてよい」という考えではなく、自己資金をどう残すか、どの費用を補助対象として申請できるのか、開業後の運転資金をどう確保するのかを整理しながら、準備を進めていくことにしました。
小規模事業者持続化補助金 創業型を知ってから準備したこと
Sさんが「小規模事業者持続化補助金 創業型」を知ったのは、2025年8月ごろでした。
自宅サロンの開業費用について相談を受けた際、まず確認したのは、Sさんがどのような事業を始めたいのか、どの費用にいくら必要なのかという点でした。
改築工事や設備の導入だけでも150万円を超える見込みがあり、さらにホームページ制作、チラシ作成、広告宣伝費、予約管理の導線づくりなども必要になります。
そこで、補助金の対象になりそうな費用と、自己資金で準備しなければならない費用を分けて整理することから始めました。
たとえば、サロンを知ってもらうためのチラシやホームページ制作、広告宣伝に関する費用は、申請内容と合えば検討しやすい項目です。一方で、自宅の改築費や設備費については、内容によって対象になるもの・ならないものが分かれる可能性があります。
そのためSさんには、「補助金でまかなえる前提」で計画を立てるのではなく、まずは自己資金で支払える範囲を確認し、そのうえで補助対象として申請できる可能性がある費用を慎重に見ていくように伝えました。
次に進めたのが、見積書の準備です。内装工事、シャンプー台や椅子などの設備、ホームページ制作、チラシ印刷、広告費など、必要な項目ごとに金額を出してもらい、事業計画に反映できるようにしました。
Sさんは、子どもが学校に行っている平日の午前中や、夜に家事が落ち着いた時間を使って、業者への問い合わせや資料の確認を進めていました。
ただ、見積もりを取るだけでも思った以上に時間がかかったそうです。工事内容を説明したり、設備の型番を確認したり、ホームページで何を掲載するかを考えたりと、ひとつ決めるたびに次の課題が出てきました。
また、申請には事業計画の作成も必要です。単に「美容室を開業したい」と書くだけではなく、どのようなお客様に来てもらいたいのか、藤沢市内でどのように集客するのか、開業後にどのくらいの売上を目指すのかを整理する必要がありました。
Sさんの場合は、子育て中の女性や、近隣に住む主婦層を主な対象として、完全予約制で落ち着いて利用できる小さなサロンを目指す方向で計画をまとめていきました。
第2回公募は、申請受付が2025年10月3日から始まり、締切は2025年11月28日17時まででした。まだ時間があるように見えても、実際には商工会・商工会議所への相談や、事業支援計画書の発行依頼も必要になります。
この段階でSさんが感じていたのは、「補助金の申請は、書類を出すだけではなく、自分の事業を一度きちんと言葉にする作業なのだ」ということでした。
開業に向けた不安は残っていましたが、必要な費用や集客方法を整理していくうちに、Sさん自身も少しずつ「どんなサロンにしたいのか」がはっきりしてきたそうです。
事業計画書の作成で大変だったこと
Sさんが特に時間をかけたのが、事業計画書の作成でした。
見積書を集めることも大変でしたが、それ以上に難しかったのは、自分が始めたい美容室・サロンの内容を、申請書の中でわかりやすく説明することだったそうです。
たとえば、Sさんの中では「子育て中の女性が、短い時間でも安心して通えるサロンにしたい」という思いがありました。
しかし、それをそのまま書くだけでは、事業としての具体性が足りません。誰を主なお客様にするのか、どのようなメニューを用意するのか、どのくらいの単価を想定するのか、どの方法で集客するのかまで整理する必要がありました。
そこでSさんは、まずサロンの利用イメージを具体的に書き出していきました。
たとえば、平日午前10時から午後2時までを中心に予約を受けること、近隣に住む30代から50代の女性を主な対象にすること、カットやカラーだけでなく、短時間で利用できるヘッドスパやケアメニューも用意することなどです。
売上の見込みについても、最初はかなり悩んでいました。
開業直後から毎日予約が入るわけではありません。そこで、1日1〜2名の予約から始め、客単価を6,000円から8,000円ほどに設定し、リピート利用を増やしていく形で、無理のない売上計画を考えることにしました。
また、集客方法については、近隣へのチラシ配布、Googleビジネスプロフィールの整備、Instagramでの発信、ホームページからの予約導線づくりを中心にまとめました。
特に自宅サロンの場合、場所がわかりにくかったり、初めてのお客様が不安を感じたりすることもあります。そのため、ホームページにはサロンの雰囲気、施術スペースの写真、予約方法、駐車場の有無、子育て中の方でも来店しやすい時間帯などを丁寧に掲載する方針にしました。
一方で、申請書を書いている途中で、Sさんが何度も手を止めたのは「なぜこの費用が必要なのか」を説明する部分でした。
単に「ホームページを作りたい」「チラシを作りたい」と書くだけではなく、それが売上や販路開拓にどうつながるのかを説明しなければなりません。
たとえば、ホームページ制作費については、サロンの信頼感を高め、初めてのお客様が予約しやすい導線を作るため。チラシ作成費については、近隣の主婦層や子育て世代にサロンの存在を知ってもらうため。広告費については、開業初期に認知を広げ、初回予約につなげるため、という形で整理しました。
Sさんは「自分では当たり前だと思っていたことでも、文章にしようとすると意外とうまく説明できない」と話していました。
ただ、事業計画書を作る中で、開業後に何を優先すべきかも少しずつ見えてきました。
内装や設備を整えることも大切ですが、それだけではお客様は来てくれません。どのように知ってもらい、どう予約してもらい、どのようにリピートにつなげるかまで考えることが、創業時には重要だと感じたそうです。
結果として、事業計画書の作成は大変な作業でしたが、Sさんにとっては、自分のサロンの方向性を整理する良い機会にもなりました。
商工会議所への相談と、申請前に確認したこと
事業計画書の内容がある程度まとまってきたあと、Sさんは地域の商工会議所へ相談することにしました。
小規模事業者持続化補助金 創業型の申請では、事業計画を作成するだけでなく、商工会・商工会議所に相談し、必要に応じて事業支援計画書の発行を依頼する流れがあります。
Sさんも、締切直前になって慌てないように、2025年10月中旬ごろには相談の予約を取りました。
相談当日は、作成途中の事業計画書、改築工事や設備導入の見積書、ホームページ制作やチラシ作成の見積書、開業後の売上見込みをまとめたメモを持参しました。
最初は「まだ内容が不十分だったらどうしよう」と不安もあったそうですが、相談では、事業の内容や対象となるお客様、集客方法、補助金で申請したい経費について、ひとつずつ確認してもらえました。
特に指摘されたのは、補助金の対象経費と、自己資金で準備する費用をきちんと分けて考えることでした。
自宅の一部を改築する場合、工事内容によっては補助対象として認められるか慎重に確認が必要です。また、家族が使う生活スペースと、事業として使うスペースの区分もわかりやすく説明する必要があります。
Sさんは、サロンとして使う部屋の範囲や、設置する設備、来店時の動線などを図にして整理しました。生活スペースとは分けて利用すること、予約制で来店時間を管理すること、近隣への配慮を行うことも、計画書に追記しました。
また、補助金は後払いであるため、支払いのタイミングについても確認しました。
採択されたとしても、すぐに補助金が入金されるわけではありません。Sさんの場合も、改築費や設備費の支払いを一時的に自己資金で対応する必要があり、開業後の運転資金を残せるかどうかが大切なポイントになりました。
そこで、当初予定していた工事内容を見直し、開業時に必要なものと、開業後に少しずつ整えていくものを分けることにしました。
たとえば、シャンプー台や施術椅子、鏡、照明など、営業に欠かせない設備は優先して準備します。一方で、装飾や収納まわりの一部は、売上の状況を見ながら後から追加する方針にしました。
申請前には、見積書の内容や金額、支払先、対象経費の区分も再確認しました。小さなミスでも差し戻しや確認が必要になる可能性があるため、Sさんは提出前に何度も書類を見直したそうです。
子どもが寝たあとにパソコンを開き、夜11時すぎまで書類を確認する日もありました。思うように時間が取れず大変な時期でしたが、商工会議所に相談したことで、申請までに何を整えるべきかがはっきりしたといいます。
Sさんはこの段階で、「補助金の申請は、制度を知るだけでなく、自分の事業とお金の流れを現実的に考える作業なのだ」と感じたそうです。
まとめ|補助金は「開業資金の代わり」ではなく、事業を続けるための支えになる制度
今回のSさんの体験を通じて感じたのは、創業時には想像以上に多くの準備と費用が必要になるということです。
自宅の一部を改築して美容室・サロンを始める場合でも、改築工事や設備の導入、ホームページ制作、チラシ作成、広告宣伝費など、開業前にまとまった支出が発生します。
Sさんも、最初は「自宅で小さく始めるなら、そこまで大きな費用はかからないかもしれない」と考えていました。しかし、実際に見積もりを取ってみると、改築工事や設備費だけでも150万円を超える見込みとなり、開業後の運転資金まで考えると、自己資金だけで進めることに不安を感じるようになりました。
そこで検討したのが、「小規模事業者持続化補助金 創業型」です。
ただし、補助金は採択されたらすぐにお金が入る制度ではありません。原則として、先に事業者が支払いを行い、事業を実施したあとに実績報告を行い、内容が確認されてから補助金が支払われます。
そのため、補助金を使う場合でも、自己資金や一時的な資金繰りの準備は必要です。Sさんにとっても、「補助金があるから安心」ではなく、「自己資金をどう残しながら、必要な投資を行うか」を考えることが大きなポイントになりました。
また、申請準備を進める中で、Sさんは自分のサロンの方向性を改めて整理することができました。どのようなお客様に来てほしいのか、どのように集客するのか、開業後にどのくらいの売上を目指すのかを考える作業は、申請書を書くためだけでなく、創業そのものを見直す良い機会にもなったそうです。
子育てをしながらの創業準備は、思うように時間が取れない日もあります。だからこそ、補助金の公募スケジュールを早めに確認し、見積書の取得や商工会・商工会議所への相談、事業計画書の作成を少しずつ進めておくことが大切です。
小規模事業者持続化補助金 創業型は、創業時の負担を軽くする可能性がある制度です。ただし、対象経費や申請条件、支払いのタイミングなどは事前にしっかり確認しておく必要があります。
これから美容室・サロンなどを開業しようと考えている方は、「補助金が使えるかどうか」だけでなく、「先に支払う資金をどう準備するか」「開業後の運転資金をどう残すか」まで含めて、早めに資金計画を立てておくと安心です。
小規模事業者持続化補助金 創業型の最新情報や申請条件については、以下のページでも詳しくまとめています。
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