
人手不足が続くなかで、製造業の現場では「今いる社員だけで、どうやって生産性を上げるか」が大きな課題になっています。
大阪府内で金属部品の加工を行う株式会社Aも、その課題に悩んでいた会社のひとつです。特に負担が大きかったのが、出荷前の検査工程でした。傷や欠け、寸法の異常を確認する作業は、長年現場を見てきたベテラン社員の目視確認に頼る部分が多く、繁忙期には検査作業がボトルネックになっていました。
そこで代表のMさんは、検査工程の省力化を目的に、画像検査装置の導入を検討します。ちょうどその時期に、2025年4月15日から中小企業省力化投資補助金(一般型)の第2回公募が始まり、4月25日から申請受付が開始されました。
株式会社Aは、2025年5月30日の締切に向けて申請準備を進め、同年8月8日に採択結果を確認することになります。
この記事では、人手不足に悩んでいた製造業の株式会社Aが、どのように中小企業省力化投資補助金(一般型)を知り、画像検査装置の導入に向けて申請を進めたのかを、体験談として紹介します。
検査工程に人手がかかり、ベテラン社員に負担が集中していた
株式会社Aは、大阪府内で金属部品の加工を行う中小製造業です。産業機械や工作機械に使われる部品を中心に、取引先から継続的に受注を受けていました。
仕事量は安定していたものの、代表のMさんが以前から課題に感じていたのが、出荷前の検査工程です。
加工した部品に傷や欠けがないか、寸法に大きなズレがないかを確認する作業は、ほとんどが目視による確認でした。特に細かな不良を見つけるには経験が必要で、長年現場を見てきたベテラン社員に頼る部分が大きくなっていました。
そのため、受注が増える時期になると、検査作業が追いつかず、現場全体の流れが止まってしまうこともありました。加工自体は終わっているのに、検査待ちの部品がたまり、出荷準備に時間がかかってしまうのです。
若手社員にも検査を任せたい気持ちはありましたが、判断基準を伝えるのは簡単ではありませんでした。同じ部品を見ても、経験のある社員と経験の浅い社員では、不良と判断する基準に差が出ることがありました。
また、繁忙期にはベテラン社員の残業が増え、Mさんとしても「このまま人の経験だけに頼る体制を続けてよいのだろうか」と不安を感じるようになっていました。
そんななか、取引先から短納期での対応を求められる機会も増えてきました。受注を増やすチャンスではあるものの、今の検査体制のままでは、品質を守りながら納期を短縮することは難しいと感じていました。
そこでMさんは、検査工程そのものを見直し、作業の一部を機械化・自動化できないか検討し始めます。人手を増やすだけではなく、今いる社員の負担を減らしながら、安定した品質を維持できる仕組みが必要だと考えたのです。
2025年4月の第2回公募を知り、画像検査装置の導入を検討
検査工程の負担をどうにかしたいと考えていたMさんは、以前から付き合いのある設備会社に相談しました。
そこで提案されたのが、カメラを使って部品の傷や欠けを確認する画像検査装置です。人の目だけに頼るのではなく、一定の基準で検査できる仕組みを作ることで、ベテラン社員の負担を減らせるのではないかと考えました。
ただし、株式会社Aが扱う金属部品は形状やサイズが一定ではありません。単純に既製品を入れればすぐに使えるというものではなく、自社の部品や検査基準に合わせた調整が必要でした。
そのためMさんは、画像検査装置だけでなく、検査結果を記録・確認できる管理システムも組み合わせて導入する計画を立てます。検査結果をデータとして残せれば、社内での確認だけでなく、取引先への品質説明にも役立つと考えたためです。
ちょうどその頃、2025年4月15日から中小企業省力化投資補助金(一般型)の第2回公募が始まりました。申請受付は2025年4月25日から開始され、締切は2025年5月30日17時でした。
Mさんは、今回の設備導入が「人手不足の解消」や「検査工程の省力化」に当てはまるのではないかと考え、補助金の活用を検討します。
一般型は、現場ごとの課題に合わせた省力化投資を行いやすい制度です。株式会社Aの場合も、単に機械を購入するだけではなく、検査工程全体を見直す計画だったため、一般型での申請を進めることにしました。
申請までの期間は長くありませんでしたが、Mさんは設備会社と相談しながら、見積書の取得や導入内容の整理を進めていきました。同時に、どの作業にどれだけ時間がかかっているのか、導入後にどの程度の省力化が見込めるのかを確認し、事業計画書にまとめる準備を始めました。
申請では「省力化」と「品質安定」を中心に事業計画を作成
中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請に向けて、Mさんがまず取り組んだのは、現在の検査工程を整理することでした。
これまでは、加工後の部品をベテラン社員が目視で確認し、不良がないかを判断していました。しかし、どの作業にどれくらい時間がかかっているのか、普段は細かく記録していませんでした。
そこでMさんは、1日に検査している部品数や、検査にかかる時間、繁忙期の残業時間などを改めて確認しました。感覚的に「大変だ」と感じていた作業を、できるだけ数字で説明できるようにしたのです。
事業計画書では、画像検査装置を導入することで、検査時間を短縮できることを中心にまとめました。あわせて、検査結果を管理システムに残すことで、確認漏れの防止や品質の安定にもつながる点を説明しました。
特に重視したのは、単に新しい設備を入れるのではなく、現場の人手不足をどう改善するのかという点です。
画像検査装置によって検査の一部を自動化できれば、ベテラン社員に集中していた確認作業を減らせます。また、若手社員でも検査結果を確認しやすくなり、作業の属人化を防ぐことにもつながります。
さらに、検査記録をデータとして残せるようになれば、取引先から品質確認を求められた際にも説明しやすくなります。Mさんは、省力化だけでなく、品質管理の強化にもつながる投資として計画を整理しました。
申請締切は2025年5月30日17時でした。準備期間は限られていましたが、Mさんは設備会社から見積書を取り寄せ、導入内容や期待できる効果を確認しながら、5月下旬に申請を完了しました。
申請を終えたMさんは、採択されるかどうか不安を感じながらも、「これをきっかけに現場の働き方を変えたい」という思いを強くしていました。
2025年8月に採択され、画像検査装置の導入準備を開始
2025年8月8日、中小企業省力化投資補助金(一般型)第2回公募の採択結果が公表されました。
Mさんは、採択結果の発表日を迎えるまで、何度も申請内容を思い返していたといいます。検査工程の省力化が会社にとって本当に必要な投資であることは確かでしたが、補助金の申請では必ず採択されるとは限りません。
採択結果を確認し、株式会社Aの計画が採択されていることを知ったとき、Mさんは大きく安心しました。同時に、ここからが本当のスタートだとも感じたそうです。
補助金は、採択されたからといってすぐに設備を発注できるわけではありません。採択後には、交付申請や必要書類の確認など、正式に事業を進めるための手続きがあります。
Mさんは、設備会社と改めて導入スケジュールを確認し、画像検査装置の仕様や設置場所、検査対象となる部品の条件などを整理していきました。
2025年9月から10月にかけては、装置の設置準備や社内の作業手順の見直しを進めました。これまでベテラン社員が目視で判断していた基準を、できるだけ明文化し、画像検査装置で確認する項目と、人が最終確認する項目を分けていきました。
その後、2025年11月ごろからテスト運用を開始しました。最初からすべてを機械に任せるのではなく、しばらくは従来の目視検査と画像検査装置を併用しながら、検査精度や作業の流れを確認しました。
導入直後は、部品ごとの設定や検査条件の調整に時間がかかる場面もありました。しかし、運用を続けるうちに、検査作業の流れが少しずつ安定していきました。
特に効果を感じたのは、ベテラン社員だけに負担が集中しにくくなったことです。画像検査装置によって確認すべきポイントが見える化され、若手社員も検査結果を確認しやすくなりました。
また、検査記録をデータとして残せるようになったことで、後から確認する作業もスムーズになりました。取引先から品質について問い合わせがあった場合にも、以前より説明しやすくなったといいます。
Mさんは今回の導入を通じて、設備を入れること自体が目的ではなく、現場の負担を減らし、安定した品質を維持する仕組みを作ることが大切だと実感しました。
まとめ:省力化投資は、人手不足に悩む製造業の現場改善につながる
今回ご紹介した株式会社Aの体験談は、人手不足に悩む製造業が、中小企業省力化投資補助金(一般型)を活用して、画像検査装置の導入に取り組んだ事例です。
株式会社Aでは、出荷前の検査工程に多くの時間がかかっており、特にベテラン社員に負担が集中していました。若手社員にも検査を任せたいと考えていたものの、目視による判断には経験が必要で、作業の属人化が大きな課題になっていました。
そこでMさんは、2025年4月に公募が始まった中小企業省力化投資補助金(一般型)第2回公募をきっかけに、画像検査装置と検査結果管理システムの導入を検討します。
申請では、単に新しい設備を導入するだけではなく、検査時間の短縮、ベテラン社員の負担軽減、品質の安定、若手社員でも確認しやすい体制づくりを重視しました。
2025年8月に採択された後は、交付申請や導入準備を進め、同年11月ごろからテスト運用を開始しました。導入後は、検査作業の一部が見える化され、ベテラン社員だけに頼らない体制づくりにつながっていきます。
人手不足は、採用だけで解決できるとは限りません。今いる社員の負担を減らし、限られた人員でも安定して業務を回せる仕組みを作ることも、大切な対策のひとつです。
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、こうした現場の課題に合わせて、省力化につながる設備導入やシステム構築を検討できる制度です。
製造業に限らず、作業が人に依存している、確認作業に時間がかかっている、繁忙期の残業が増えているといった課題がある場合は、自社の業務を見直すきっかけとして活用を検討してみてもよいでしょう。
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