※本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。税制・社会保険制度は今後も変更される可能性がありますので、最新情報は各省庁の公式発表でご確認ください。
30秒要約
- 年収の壁には「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類があり、それぞれ別のルールで動いています。
- 2025年分・2026年分と段階的に税金の壁(所得税)は引き上げられましたが、社会保険の壁・会社の手当基準は別ルールのままです。
- 給付付き税額控除は年収の壁を直接なくす制度ではありませんが、働いても手取りが増えにくい問題に対応する仕組みとして深く関わっています。
年収の壁とは?まず「2種類ある」と理解しよう
この記事では、パートなどで収入を調整している方を「本人」、その夫または妻を「パートナー」と表記します。なお、「配偶者控除」「配偶者特別控除」「配偶者手当」は制度の正式名称のため、そのまま使用します。
「年収の壁」という言葉をニュースや職場でよく聞くようになりましたが、実はこの言葉は、2つのまったく異なる仕組みをまとめて指しています。
ひとつは税金の壁です。本人の所得税・住民税の話と、パートナー側の税負担、つまり配偶者控除などの話を含みます。
もうひとつは社会保険の壁です。健康保険・厚生年金に加入するかどうか、またはパートナーの扶養から外れるかどうかに関係します。
この2種類は、まったく別のルールで動いています。「税金の壁が変わったから社会保険も安心」とはならない点が、混乱の大きな原因です。この記事では両方を整理して、2026年現在の状況と今後への影響をわかりやすく説明します。
| 種類 | 何が変わる? | 主な基準(2026年時点) |
|---|---|---|
| 税金の壁(本人の所得税) | 本人に所得税がかかり始める | 年収178万円が目安(令和8年分より) |
| 税金の壁(パートナー側の控除) | 配偶者控除・特別控除の額が変わる | 本人の給与収入136万円超で配偶者特別控除に移行し始める(令和8年分より) |
| 社会保険の壁(勤務先加入) | 勤務先の健保・厚年に加入するかどうか | 週20時間以上の勤務が主な判断軸(2026年10月に賃金要件撤廃) |
| 社会保険の壁(扶養から外れる) | パートナーなどの扶養から外れるかどうか | 年収130万円以上の見込みが基準 |
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税金の壁①:本人の所得税・住民税
なぜ「103万円の壁」と言われていたのか
令和6年分(2024年分)まで、パートで働く人の給与収入が103万円を超えると、本人に所得税がかかり始めていました。
なぜ103万円だったかというと、所得税の計算で使われる控除が合計103万円分あったからです。給与所得控除(最低55万円)と基礎控除(48万円)を足すと103万円。つまり、収入がこのラインまでなら税金の計算上の所得がゼロになり、所得税はかからなかったわけです。
これが「103万円の壁」と呼ばれていた理由です。なお、103万円のラインは、かつてパートナーの税計算でパートナーが配偶者控除を受けられなくなるラインでもあったことから、混同されやすい数字でもあります。
令和7年分(2025年)からは160万円が目安に
令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等により、令和7年分(2025年分)の所得税から基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。
- 給与所得控除の最低保障額:55万円 → 65万円
- 基礎控除:最大48万円 → 最大95万円(合計所得金額が132万円以下の場合)
この改正により、標準的なケースでは収入が約160万円まで所得税がかからない計算になりました。
令和8年分(2026年)からは178万円が目安に
さらに令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等により、令和8年分(2026年分)からは控除がもう一段階引き上げられました。
- 給与所得控除の最低保障額:65万円 → 74万円に引き上げ
- 基礎控除:令和8・9年分は最大104万円(所得水準により異なる)
これにより、標準的なケースでは収入が約178万円まで所得税がかからない計算になります。内訳としては、基礎控除62万円、特例加算42万円、給与所得控除74万円の合計です。
所得税の面だけで言えば、103万円を意識して働き控えをする必要は大きく薄れました。
ただし、住民税の非課税ラインはまた別です。住民税の均等割は、給与所得者・単身・標準的な社会保険料ありの場合、収入が119万円を超えると課税される水準が目安になっており、所得税よりも低い水準から課税される場合があります。住民税の基準は自治体によって異なるため、気になる場合はお住まいの市区町村で確認してください。
税金の壁②:パートナー側の税負担(配偶者控除・配偶者特別控除)
税金の壁は本人だけの話ではありません。パートナーの税負担にも関係します。
配偶者控除とは
本人の給与収入が一定以下であれば、パートナーの税計算で「配偶者控除」という控除が使えます。
令和8年分(2026年分)の所得税では、本人の給与収入が136万円以下(合計所得金額62万円以下)であれば、パートナーが配偶者控除を受けられます。控除を受けるパートナーの所得が900万円以下の場合、控除額は最大38万円です。令和8年分の所得要件の変更については、国税庁の源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)でも確認できます。
なお、令和7年分(2025年分)は基礎控除の見直しに伴い、本人の「合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)」が対象でした。令和8年分では、合計所得金額の基準が62万円以下(給与収入136万円以下)に変わっています。
配偶者控除を超えても、すぐゼロにはならない
「配偶者控除が使えなくなったら、一気に手取りが減る」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。
本人の収入が136万円を超えて配偶者控除の範囲から外れた後も、配偶者特別控除という仕組みにより、控除額が段階的に減っていきます。
令和8年分では、本人の合計所得金額が62万円超133万円以下、給与収入換算で136万円超207万円以下の範囲であれば、パートナーの所得が900万円以下の場合に3万円〜38万円の配偶者特別控除が受けられます。
つまり、収入が少し増えただけで突然控除がゼロになるわけではなく、なだらかに変化する仕組みになっています。本人の年収が207万円を超えると配偶者特別控除もなくなります。この「207万円前後のライン」は「201万円の壁」とも呼ばれています。
配偶者控除・配偶者特別控除の全体像をまとめると、次のようになります。
| 本人の給与収入(令和8年分) | パートナー側の控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 配偶者控除(最大38万円) |
| 136万円超〜207万円以下 | 配偶者特別控除(3万円〜38万円・段階的に減少) |
| 207万円超 | 控除なし |
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扶養控除(子ども・親など)との違い
「扶養控除」という言葉も混同されやすいですが、これはパートナーではなく、子どもや親などを扶養している場合に使う控除です。配偶者控除とは別の制度として整理しておきましょう。
会社の配偶者手当・家族手当も別のルール
税制上の基準が変わっても、会社が支給する配偶者手当や家族手当の基準は、会社ごとに独自に定められています。税制の改正が自動的に手当の支給条件に反映されるわけではありません。
パートナーの勤務先によっては、「配偶者(本人)の収入が103万円以下であること」などを手当支給の条件にしているところもあります。このような場合、税制上は問題がなくても、手当が打ち切られることで世帯の手取りが減る可能性があります。
税制上の壁だけでなく、パートナーの勤務先の就業規則や給与規程も必ず確認してください。
社会保険の壁①:106万円の壁(勤務先での加入)
ここからは「税金の壁」とは別の、社会保険の壁の話です。
106万円の壁とは
パートやアルバイトで働く方が、勤務先の健康保険・厚生年金保険に加入するかどうかの基準が、いわゆる「106万円の壁」です。社会保険の適用拡大については、厚生労働省の年収の壁への対応でも案内されています。
これまでは、次の条件をすべて満たすと加入対象になっていました。
- 従業員51人以上の企業に勤めている
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)
- 雇用期間が2か月超の見込み
この「月額8.8万円以上(年収約106万円)」という賃金要件が、名前の由来です。
【重要】2026年10月から賃金要件が撤廃されます
2025年に成立した年金制度改正法に基づき、月額8.8万円という賃金要件は、2026年10月から正式に撤廃されることが決定しました。
また、「従業員51人以上」という企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃されていく予定です。具体的には、36人以上が2027年10月、21人以上が2029年10月、11人以上が2032年10月、10人以下が2035年10月という流れです。
これにより、2026年10月以降は賃金ではなく、「週の所定労働時間が20時間以上かどうか」が、社会保険の加入判断の主な軸になっていきます。
社会保険に加入すると何が変わる?
勤務先の健康保険・厚生年金に加入すると、毎月の手取りが一時的に減ります。年収106万円のケースでは、社会保険料の本人負担が年間で約15〜16万円程度になる目安があります。
ただし、この金額は健康保険約4.95%、厚生年金約9.15%、介護保険約0.8%の料率をもとにした参考値です。実際の保険料は、加入制度・地域・年齢などによって変わります。
一方で、社会保険に加入することで、傷病手当金、出産手当金、将来の厚生年金といったメリットも得られます。病気やケガで働けなくなった時、出産前後に休む時、老後の年金を考える時には、会社の社会保険に入る意味は決して小さくありません。
そのため、「手取りが減る=損」と一概には言えません。短期的な手取りと、将来や万一の保障を分けて考えることが大切です。
社会保険の壁②:130万円の壁(扶養から外れる)
130万円の壁とは
パートナーや親族の健康保険の被扶養者(扶養に入っている人)として保険料を負担せずに済んでいる状態から、年収130万円以上になる見込みになると、扶養から外れる可能性があります。これが「130万円の壁」です。
ただし、「見込み年収が130万円以上かどうか」の判断方法に、最近重要な変更がありました。
労働契約の内容で判断する新しい仕組み(令和8年4月〜)
2026年4月以降、扶養認定にあたっては、労働契約の内容、つまり時給・所定労働時間・日数などをもとに算出した年間収入の見込み額を基準とする取り扱いが導入されました。詳しい取り扱いは、厚生労働省の労働契約内容による年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)で確認できます。
これが意味するのは、残業代などの臨時収入は年間収入の見込み額に含めないということです。
たとえば、労働条件通知書に記載された時給と所定労働時間から計算した年収見込みが128万円であれば、実際に残業して130万円を超えたとしても、その残業代が「労働契約に明確な規定がなく、労働契約段階では見込み難い臨時収入」にあたる場合は、扶養から外れない判断となり得ます。
ただし、この仕組みには重要な例外があります。次の場合はこの取り扱いは使えず、従来どおり給与明細や課税証明書で判断します。
- シフト制など労働時間の記載が不明確な契約の場合
- 契約期間が1年に満たない場合
- 複数事業所で勤務しているが一部の通知書が提出できない場合
- 給与収入以外の収入がある場合
また、実際の年収が社会通念上妥当な範囲を大きく超えて130万円以上となることが判明した場合や、意図的に賃金を低く記載していたことが判明した場合は、扶養認定が取り消される場合があります。
扶養から外れた後はどうなる?
扶養から外れた場合、次の2パターンに分かれます。
パターン①:勤務先の社会保険に入れる場合
週20時間以上働いていて勤務先の健康保険・厚生年金の加入要件を満たしている場合は、勤務先の社会保険に加入します。保険料は給与から天引きされ、事業主が半分を負担します。
パターン②:勤務先で加入できない場合
勤務先の社会保険に入れない場合は、国民健康保険・国民年金に自分で加入します。この場合、保険料は全額自己負担です。国民年金は定額、国民健康保険は自治体・所得・年齢によって異なります。
事業主負担がないため、勤務先の社会保険に入れるケースよりも、手取りへの影響が大きくなることが多いです。
同じ年収130万円台でも、勤務先の社会保険に入れるか入れないかで手取りへの影響が大きく異なります。どちらのパターンになるかは、自分の勤務条件を確認して判断する必要があります。
なぜこれが問題だったのか:働き控え・就業調整
上で説明した壁の存在が、長年「働き控え」や「就業調整」を生んできました。
内閣官房の給付付き税額控除についての資料によると、有配偶者、つまりパートナーがいる女性パートタイム労働者のうち21.8%が就業調整をしており、その57.3%が「130万円の壁」を理由として挙げています。
具体的には、次のような行動が起きていました。
- 年収が一定額を超えないように年末にシフトを減らす
- 時給が上がっても働く時間を減らす
- 収入を増やすと社会保険料の負担で手取りが逆に減る可能性があるので踏み出せない
本来なら、働きたい人が働いた分だけ収入を増やせるのが望ましい形です。しかし、制度上の境目によって「働きたいのに働けない」という状態が生まれていたわけです。
制度変更で何が変わった?変わらないことも整理する
制度の変更によって改善された点と、今も変わっていない点を整理します。
| 項目 | 変化の有無 | 現状(2026年5月時点) |
|---|---|---|
| 本人の所得税の壁 | 変わった | 令和7年分から160万円目安、令和8年分から178万円目安に引き上げ。税金面での働き控えは大きく緩和された |
| 住民税の非課税ライン | ほぼ変わっていない | 自治体によるが100万円台前半が目安(要確認) |
| 社会保険の加入基準(106万円) | 変わりつつある | 2026年10月に賃金要件撤廃。週20時間以上が主な軸に |
| 社会保険上の扶養から外れる基準(130万円) | 金額は変わっていない | 130万円ラインは維持。ただし見込み収入の判断方法が変わった(臨時収入は除外) |
| 会社の配偶者手当・家族手当 | 会社ごとに異なる | 税制改正が自動的に反映されるわけではない。就業規則の確認が必要 |
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給付付き税額控除との関係
最後に、現在議論が進んでいる「給付付き税額控除」と年収の壁の関係を整理します。
給付付き税額控除とは(簡単に)
給付付き税額控除は、税・社会保険料の負担と現金給付を総合的に捉え、所得に応じてなめらかに支援を届ける制度として設計が進んでいます。詳細はまだ確定していませんが、2027年度以降の導入が目標とされています。
給付付き税額控除の対象者や仕組みについて詳しく知りたい方は、関連記事も参考にしてください。
年収の壁を「直接なくす」制度ではない
給付付き税額控除は、106万円の壁や130万円の壁そのものをなくす制度ではありません。社会保険の加入基準や扶養認定の仕組みは、別の制度として引き続き存在します。
「働いた分だけ手取りが増えにくい」問題に対応する制度として関係する
ただし、内閣官房の有識者会議・実務者会議の給付付き税額控除の制度設計に向けた資料では、この制度の重要な目的のひとつとして「収入と手取りの関係の屈折(崖)の緩和を通じた就労促進」が示されています。
現行の仕組みでは、社会保険料の負担が生じる収入ラインを境に、手取りが一時的に減ることがあります。フルタイムへの移行が難しくパートタイムで働いている方、残業を控えて収入を調整してきた方など、「もう少し働きたいけれど手取りが増えないから踏み出せない」という状況にある方にとって、この制度が関係してきます。
給付付き税額控除は、所得に応じてなめらかに支援額が変化する設計を目指しています。低所得のほど支援が厚く、所得が増えるにつれて段階的に逓減・消失する形になれば、「ちょっと働きすぎると急に手取りが減る」という崖が和らぐ可能性があります。
ただし、具体的な設計はまだ確定していません。今後の議論の動向に注目が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「年収178万円まで扶養に入ったまま働けて、手取りも増える」という理解は合っていますか?
この理解は、正確ではありません。「178万円」という数字がひとり歩きしやすいポイントなので、整理します。
178万円というのは、令和8年分から「本人に所得税がかかり始めるライン」の目安です。「扶養から外れない上限」でも、「手取りが増える保証」でもありません。
所得税の話でいえば、給与所得控除(74万円)と基礎控除(最大104万円)を合計すると、標準的なケースで収入が約178万円まで所得税がかからない計算になります。この意味では、103万円を気にして働き控えをする必要は大きく薄れました。
税制上の扶養、つまり配偶者控除の話では、令和8年分では本人の給与収入が136万円以下であれば、パートナーが「配偶者控除」を受けられます。136万円を超えても、本人の収入が207万円以下の範囲では「配偶者特別控除」が段階的に適用されます。つまり、178万円まで配偶者控除がフルに使えるわけではありません。
社会保険の扶養、つまり健康保険の被扶養者の話では、健康保険の扶養基準は年収130万円未満のままで、今回の税制改正では変わっていません。年収が130万円を超えると扶養から外れる可能性があり、勤務条件によっては社会保険料の負担が新たに生じます。
まとめると、「178万円まで所得税がかからない」は正しいですが、「178万円まで扶養に入ったまま手取りが増え続ける」とは言えません。税と社会保険はそれぞれ別の基準で動いています。
Q. 年収178万円まで所得税がかからない基準は、今後もずっと続きますか?
実は、今回の「178万円の目安(基礎控除等の引き上げ)」は恒久的な制度ではなく、令和8年分・令和9年分(2026年・2027年)の2年限定の暫定措置として導入されています。
物価高騰の影響を受けやすい中間所得層(年収665万円以下の層など)に対する特例的な引き上げであるため、2028年以降もこの基準がそのまま維持されるかどうかは、今後の議論と法改正次第となります。
「ずっと178万円まで所得税がかからない」と思い込んで数年先の働き方を固定してしまうと、特例が終了した際に思わぬ税負担が生じる可能性があります。あくまで「今のところ2年間の期間限定のルールである」という前提に立ち、今後の税制改正のニュースにもアンテナを張っておくことが大切です。
Q. 住民税はどうなりますか?所得税と一緒に変わりましたか?
住民税の非課税ラインは、今回の税制改正でほぼ変わっていません。所得税の壁が引き上げられた一方で、住民税は別のルールで動いている点に注意が必要です。
住民税には「所得割」と「均等割」の2種類があります。標準的なケース(単身・社会保険料あり)では、給与収入が119万円を超えると均等割が課税される水準が目安になっています。所得税が非課税になる178万円よりも、かなり低いラインです。
つまり、「所得税はかからないが住民税はかかる」という収入帯が存在します。たとえば収入が150万円の場合、令和8年分の所得税はかかりませんが、住民税は課税対象になる可能性があります。
住民税の非課税ラインは自治体ごとに異なる場合があるため、気になる方はお住まいの市区町村に確認するのが確実です。
Q. 複数の職場で掛け持ちしている場合、年収はどう計算されますか?
社会保険の扶養判定では、2か所以上から給与を受け取る場合、全ての給与収入を合算して扶養判定を行います。合算額が130万円以上になる見込みの場合、扶養から外れる可能性があります。
たとえばA社で80万円、B社で60万円の場合、合計140万円となり、扶養から外れる可能性があります。1か所ずつでは130万円を超えていなくても、合算すると超えるケースがあるため注意が必要です。
社会保険への加入については、A社・B社の両方で社会保険の加入条件(週20時間以上など)を満たしている場合、両方の職場で社会保険に加入する必要があります。これを「二重加入(二以上事業所勤務)」と呼びます。保険料は2社の給与合算額をもとに計算され、それぞれの給与から按分して天引きされます。保険証は1枚です。
なお、扶養の判定方法や含まれる収入の範囲は健康保険組合ごとに細かく異なる場合があります。副業収入の扱いについて不安がある場合は、パートナーが加入している健康保険組合に直接確認するのが確実です。
Q. パートではなく、フリーランス・自営業の場合も関係しますか?
この記事で説明している制度の多くは、給与所得者を前提にしています。フリーランスや自営業の方には、いくつか異なる点があります。
まず、税金の壁について。給与所得者には「給与所得控除」が適用されますが、フリーランス・自営業の方の所得は事業所得として計算されるため、給与所得控除は使えません。基礎控除(令和8年分は最大104万円)は使えますが、控除の構造が異なります。
社会保険については、フリーランス・自営業の方は国民健康保険・国民年金に加入するのが基本です。勤務先の健康保険・厚生年金への加入を判断する「106万円の壁」は、会社員・パート等の被用者向けの制度であり、直接は適用されません。ただし、家族の健康保険の扶養に入っている場合は、130万円の扶養基準の影響を受ける場合があります。
給付付き税額控除については、制度設計の検討において「勤労性の所得」として事業所得も対象に含める方向で議論が進んでいます。ただし、詳細はまだ確定していません。
Q. 大学生年代の子どもや親族の年収の壁にも関係しますか?
はい、関係します。令和7年度税制改正では、19歳以上23歳未満の親族について「特定親族特別控除」が創設されました。
ここでいう親族は、子どもに限られません。納税者と生計を一にしている19歳以上23歳未満の親族であれば、孫や兄弟姉妹なども対象になる場合があります。
これまで、大学生年代の子どもや親族がアルバイト収入を増やして一定のラインを超えると、パートナーや親などが扶養控除を受けられなくなり、税負担が増えることがありました。
特定親族特別控除では、対象となる親族の合計所得金額が一定範囲内であれば、段階的に控除を受けられます。つまり、年収が少し増えたからといって、控除が一気にゼロになるわけではありません。
ただし、これは所得税の控除の話です。健康保険の扶養など、社会保険上の扶養とは別の制度なので、アルバイト収入が増える場合は、税金と社会保険の両方を確認する必要があります。
まとめ:自分のケースで何を確認すればよいか
この記事の内容を踏まえて、自分の状況に照らした確認ポイントをまとめます。
- 所得税の壁について
令和7年分(2025年分)から160万円、令和8年分(2026年分)から178万円が目安になりました。住民税の非課税ラインは自治体によって異なるため、気になる方はお住まいの市区町村に確認しましょう。 - 社会保険の加入について(106万円の壁)
2026年10月に賃金要件が撤廃されるため、今後は「週20時間以上働くかどうか」が主な判断軸になります。勤務先の規模と自分の所定労働時間を確認しておきましょう。 - 扶養の継続について(130万円の壁)
130万円という金額基準はまだ残っています。ただし残業代などの臨時収入は見込み年収に含めない取り扱いになりました。労働条件通知書等で判断できる場合があります。不安な方は勤務先や健康保険の保険者に確認するのが確実です。 - パートナー側の税負担について(令和8年分)
本人の給与収入が136万円以下ならパートナーが配偶者控除を受けられます。136万円を超えても配偶者特別控除がなだらかに変化するため、急激な税負担増にはなりません。本人の収入が207万円以下の範囲で控除が続きます。 - 会社の手当について
税制上の壁が変わっても、会社の配偶者手当・家族手当の支給条件は別です。パートナーの勤務先の就業規則や給与規程を確認してください。 - 給付付き税額控除について
2027年度以降の導入が目指されており、現在も制度設計が進んでいます。今からできる準備として、マイナポータルでの公金受取口座の登録をしておくことが推奨されています。
公金受取口座の登録方法はこちら
年収の壁は、ひとつの金額だけを見て判断すると誤解しやすいテーマです。所得税、住民税、社会保険、配偶者控除、会社の手当は、それぞれ別のルールで動いています。
とくに2026年以降は、所得税の壁が引き上げられる一方で、社会保険の加入基準も変わっていきます。自分に関係する壁を分けて確認し、必要に応じて勤務先や健康保険組合、自治体に確認しながら働き方を考えていきましょう。
参考リンク
- 厚生労働省「年収の壁への対応」
- 厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)」(令和8年3月9日)
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」
- 国税庁「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
- 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
- 内閣官房「給付付き税額控除について」(第1回実務者会議 資料5)
- 内閣官房「給付付き税額控除の制度設計に向けて④」(資料2)
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