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自治体PayPay還元キャンペーンやLINEクーポンと並んで、最近じわじわと広がっているのが「デジタル地域通貨」です。世田谷区の「せたがやPay」、渋谷区の「ハチペイ」、千葉県市川市の「ICHICO」、尼崎市の「あま咲きコイン」、木更津市の「アクアコイン」など、人口の多い都市部でも導入されており、「知らなかっただけで自分の街にもあった」というケースが少なくありません。
デジタル地域通貨は、スマートフォンアプリや専用カードを使って地域の加盟店で支払いができる仕組みで、1ポイント=1円のように使えるものが多く、買い物の割引やポイント還元として機能します。PayPayや楽天ペイのような全国対応の決済サービスとは異なり、使える範囲が特定の地域内に限られているのが特徴です。
ただし、仕組みも名称も自治体によって大きく異なります。「地域通貨」という呼び方をするものもあれば、「電子商品券」「地域ポイント」「キャッシュレス決済アプリ」と案内されているものもあります。この記事では、デジタル地域通貨の基本的な仕組みから、代表的な自治体の実例、PayPay還元やLINEクーポンとの違い、自分の地域での探し方まで整理します。
30秒でわかる:デジタル地域通貨とは?
- 結論:デジタル地域通貨とは、特定の地域内で使える電子マネーやポイントのような仕組みです。自治体、商店街、地域金融機関、民間プラットフォームなどが連携し、地域内の買い物や行政施策に活用されています。
- つまずきやすい注意点:すべての自治体で使えるわけではありません。また、常設型の地域通貨、期間限定の電子商品券、物価高対策のポイント配布など、仕組みは自治体ごとに異なります。
- 次にやること:まずは「自治体名+地域通貨」「自治体名+電子商品券」「自治体名+地域ポイント」で検索し、公式サイトや専用アプリの情報を確認してください。
第1章 デジタル地域通貨とはどういう仕組みか
デジタル地域通貨とは、特定の市区町村や地域内の加盟店で使える電子マネー・ポイントのような仕組みです。PayPayや楽天ペイのように全国どこでも使える決済サービスではなく、使える地域や店舗が限定されている点が最大の特徴です。
形式はサービスによって異なり、スマートフォンアプリで使うもの、専用カードで使うもの、QRコードを読み取って決済するものなど、さまざまなタイプがあります。多くの場合、1ポイント=1円、1コイン=1円のように使えるシンプルな仕組みで、チャージして使うものや、行政からポイントが配布されるもの、キャンペーン時に還元されるものなど、入手経路にも複数のパターンがあります。
目的としては、地域内消費の促進、商店街支援、物価高対策、行政のデジタル化(DX)のほか、健康づくりや環境活動、ボランティア参加へのポイント付与といった幅広い施策に活用されています。
デジタル地域通貨は2023年6月時点で全国約60団体で運営されています。主な運営団体は市区町村群、商店街連合会、金融機関などです。
ひとつ注意しておきたいのは、「自治体が発行するデジタル通貨」といっても、自治体が単独で直接運営しているとは限らないという点です。商店街や商工会、地域金融機関、民間プラットフォームと連携して実施されるケースも多くあります。この記事では、自治体が関与・支援する地域限定のデジタル通貨、地域ポイント、電子商品券型の施策を広く取り上げます。
第2章 代表的なデジタル地域通貨の例
「大きな自治体には関係ない話」と思われがちですが、人口規模の大きい都市部でも数多く導入されています。自分の地域でも実施されている可能性があることを感じてもらうために、知名度の高い自治体を中心に5つ紹介します。
世田谷区「せたがやPay」
せたがやPayは、世田谷区のお店を応援する地域限定の通貨アプリとして提供されています。アプリをダウンロードしてアカウントを登録し、コンビニATMや銀行口座からチャージしたのち、お店のQRコードをスキャンして支払う仕組みです。区外の方も利用可能で、16歳以上が対象です。
世田谷区では、世田谷区商店街振興組合連合会が実施するキャッシュレス決済アプリ「せたがやPay」を区が支援しています。2026年度には、マイナンバーカード連携による世田谷区民認証(初回認証で500ポイント付与)、リピーター応援のポイント付与抽選キャンペーン、対象店舗でのポイント還元(最大3%)の3つの取り組みが実施されています。
世田谷区は人口が90万人を超える大規模な行政区ですが、地元の商店街や個人店を応援する「地域密着型」の地域通貨として運営されています。キャンペーン期間中には還元率が上がることもあり、日常の買い物を地元で済ませる機会に活用しやすい仕組みです。
渋谷区「ハチペイ」
渋谷区では、区内産業や地域コミュニティの活性化を図るため、デジタル地域通貨「ハチペイ」のサービス提供を開始しました。スマートフォン専用アプリを使って渋谷区内のハチペイ加盟店で利用できる電子通貨で、個人事業主や中小企業の加盟店からは手数料を取らず、売り上げが100%店舗へ振り込まれる仕組みになっています。
渋谷区民認証(マイナンバーカードを使った認証)を行うと初回1,000ポイントが付与されるほか、区民認証者を対象にしたお得なキャンペーンが実施されることもあります。また、ふるさと納税の返礼品として「ハチペイポイント」を選べる仕組みもあります。
なお、ハチペイとは別に「ハチポ」というコミュニティコインも存在しますが、こちらは地域活動や体験と結びつくポイントであり、ハチペイでの支払いに使うものとは異なります。混同しないよう注意が必要です。
千葉県市川市「ICHICO(イチコ)」
ICHICOは、地域経済と市民活動の活性化を目指して導入された、市川市独自のキャッシュレス決済です。スマートフォン専用アプリや専用カードを利用して、1ポイント=1円として市内の加盟店で使えます。チャージして使うだけでなく、地域に貢献する活動や健康づくりなどを通じてポイントを貯め、市内の加盟店で利用することもできます。
また、国からの物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、全市民に4,500円分のICHICOポイントが付与されたカードを発送する取り組みも実施されています。このように、生活支援策と地域通貨が結びついた形での活用例として注目されています。
アプリとカードの両方が用意されており、スマートフォンが苦手な方向けの入口が用意されている点も特徴のひとつです。
公式情報:市川市公式「ICHICO」
尼崎市「あま咲きコイン」
あま咲きコインは、専用アプリ・カードを利用して、市内取扱加盟店で1ポイント=1円として利用できるキャッシュレス決済サービスです。チャージして繰り返し使えるほか、健康づくりや環境に優しい活動、ボランティア活動などSDGsの達成につながる市の事業に参加するとポイントがたまる仕組みが用意されています。
「地域通貨=買い物だけ」ではなく、市民の日々の行動と連動している点がこのサービスの特徴です。たとえば健康づくりのイベントへの参加や、環境活動への参加でポイントが付与され、それを地元のお店で使える、という循環が設計されています。
2026年度は、アプリ利用者には10%分、カード利用者には5%分のプレミアムポイントが付くキャンペーンが実施されており(上限あり)、あわせて加盟店での利用に対して3%の利用還元ポイントが付与されます。ただしいずれも予算上限に達し次第終了します。
公式情報:尼崎市公式「あま咲きコインについて」
木更津市「アクアコイン」
アクアコインは、君津信用組合・木更津市・木更津商工会議所が連携して導入・普及に取り組む電子地域通貨です。木更津市内限定で1コイン=1円として利用でき、利用者はスマートフォンの専用アプリを使って加盟店に設置してある二次元コードを読み取り、キャッシュレスで決済します。地域内消費の促進や地域外からの消費の呼び込み、ボランティア活動へのポイント提供などに活用されています。
「自治体だけが運営している制度」ではなく、地域の金融機関・商工会議所・自治体が三位一体で取り組んでいる点がアクアコインの特徴です。観光客など地域外の人が使うことも想定されており、旅行や出張の際に活用する入口として機能することも期待されています。
公式情報:木更津市公式「アクアコイン」 / アクアコイン公式
第3章 自治体PayPay還元・LINEクーポン・東京アプリ生活応援事業との違い
同じく地域でお得に使える仕組みとして、自治体PayPay還元キャンペーンやLINEクーポン、東京アプリ生活応援事業があります。それぞれ仕組みや使える場面が異なるため、整理しておきます。
| 比較項目 | デジタル地域通貨 | 自治体PayPay還元 | 自治体LINEクーポン | 東京アプリ生活応援事業 |
|---|---|---|---|---|
| 使うもの | 自治体・地域独自のアプリ、カードなど | PayPayアプリ | LINEアプリ | 東京アプリ |
| 主な特徴 | 地域内の加盟店で使える電子マネー・ポイント | 対象店舗で支払うと後日ポイント還元 | クーポン提示でその場で割引 | 条件を満たして申請すると東京ポイント付与 |
| 向いている人 | 地元の店でお得に買い物したい人 | PayPayを普段から使う人 | LINEで手軽にクーポンを受け取りたい人 | 東京都在住でマイナンバーカードを持つ人 |
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デジタル地域通貨は、特定の地域に根ざしたアプリやカードが必要な点が他と異なります。PayPay還元は全国対応の決済サービスと地域キャンペーンの組み合わせで、LINEクーポンは既存のLINEアプリを使うため新たなアプリ登録が不要です。東京アプリ生活応援事業は申請が必要な給付型の制度で、受け取れるのが東京ポイントという都独自のポイントになります。
それぞれ使える場面が異なるため、住んでいる地域や使い方に応じて組み合わせて確認すると、取りこぼしを減らせます。
PayPayを使った自治体キャンペーンについては、別記事「自治体PayPay還元キャンペーンとは?対象地域の探し方・還元率・注意点を解説」で詳しく整理しています。
LINEで届く地域クーポンについては、別記事「自治体LINEクーポンとは?友だち追加で使える地域クーポンの探し方と注意点」で紹介しています。
東京都の東京ポイント付与制度については、別記事「東京アプリ生活応援事業とは?対象者・申請方法・ポイント交換先をわかりやすく解説」で解説しています。
第4章 デジタル地域通貨・地域ポイントを実施している自治体一覧
以下の一覧には、自治体が直接運営するデジタル地域通貨だけでなく、商工会、地域金融機関、民間プラットフォームと連携して提供されるものも含みます。また、常設型の地域通貨、電子商品券、地域ポイント、物価高対策のポイント配布など、仕組みは自治体によって異なります。利用前には必ず各自治体や公式サービスサイトで最新情報をご確認ください。
| 地域・自治体 | 名称 | 主な特徴 | 参照URL |
|---|---|---|---|
| 東京都世田谷区 | せたがやPay | 世田谷区商店街振興組合連合会が実施し、区が支援する地域通貨アプリ | 公式サイト |
| 東京都渋谷区 | ハチペイ | 渋谷区内店舗で使えるデジタル地域通貨 | 渋谷区公式 |
| 千葉県市川市 | ICHICO | 市川市独自のキャッシュレス決済。アプリ・カードで利用 | 市川市公式 |
| 兵庫県尼崎市 | あま咲きコイン | 1ポイント=1円で使える。健康・環境・ボランティア活動でもポイント付与 | 尼崎市公式 |
| 千葉県木更津市 | アクアコイン | 木更津市・君津信用組合・木更津商工会議所の連携型 | 公式サイト |
| 埼玉県深谷市 | ネギー | QRコード決済による深谷市地域通貨。1negi=1円 | 深谷市公式 |
| 岐阜県高山市・飛騨市・白川村 | さるぼぼコイン | 2市1村で使える電子地域通貨。観光利用にも向く | 公式情報 |
| 群馬県前橋市 | めぶくPay | 前橋市内限定で使える電子決済サービス | 前橋市公式 |
| 東京都国立市ほか | くにPay・Beコインほかchiicaプラットフォーム導入地域 | 全国50以上の自治体でchiicaを活用した地域通貨・電子商品券が運営されている | chiica導入実績 |
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第5章 デジタル地域通貨はどのくらい広がっているのか
デジタル地域通貨は、一部の自治体だけの珍しい取り組みではなく、すでに全国に広がっています。ただし、「どのくらいの数があるか」を正確に示す一つの数字はなく、何を含めるかによって数字が変わります。
NTT東日本が2023年6月時点で調べたところ、デジタル地域通貨の運営団体数は全国約60団体にのぼります。主な運営団体は市区町村群、商店街連合会、金融機関などです。これはあくまで「デジタル地域通貨」として運用されているものの数です。
一方、地域通貨を含むより広い意味での自治体向けデジタル施策のプラットフォームとしては、導入実績がさらに多くなります。chiicaというプラットフォームについては、累計で全国50以上の自治体に導入され、電子商品券事業、物価高騰対策、域内経済支援事業などに活用されていると公表されています。
ギフティが提供する「e街プラットフォーム®」は、2026年3月31日時点で累計246自治体・275事業に達しています。ただしこれは旅先納税、電子商品券、重点支援地方交付金活用事業など幅広い自治体デジタル施策を含む実績であり、純粋な「地域通貨」だけの数ではありません。
まとめると、デジタル地域通貨そのものの運営数としては全国約60団体(NTT東日本・2023年時点)、電子商品券や地域ポイント、給付金のデジタル配布まで含めた自治体向けプラットフォームの導入実績はさらに多くなっています。「自分の地域でも何かやっているかもしれない」と思って探してみることが出発点になります。
第6章 自分の地域でデジタル地域通貨を探す方法
デジタル地域通貨は、全国共通の一覧サイトひとつを見ればすべてわかる制度ではありません。自治体、商工会、商店街、地域金融機関などが連携していることも多いため、まずは自分の自治体名と以下のキーワードを組み合わせて検索するのが現実的です。
- 自治体名 地域通貨
- 自治体名 デジタル地域通貨
- 自治体名 電子商品券
- 自治体名 地域ポイント
- 自治体名 プレミアム商品券
- 自治体名 物価高 ポイント
- 自治体名 キャッシュレス 還元
- 自治体名 商店街 ポイント
確認する場所としては、自治体公式サイト、商工会・商工会議所の公式サイト、商店街連合会の公式サイト、地域通貨の専用公式サイト、専用アプリの公式ページ、自治体の広報紙・お知らせページが主な情報源です。
第7章 使う前に確認したい注意点
デジタル地域通貨を実際に使う前に、いくつか確認しておきたい点があります。
使える店舗が限られている
デジタル地域通貨は原則として対象地域の加盟店でしか使えません。同じ地域内でも、すべての店で使えるわけではないため、アプリや公式サイトの加盟店一覧を事前に確認することが必要です。大型チェーン店や大手企業が対象外になるケースもあります。
住民限定の場合と誰でも使える場合がある
せたがやPayのように区外の方も利用できるものもあれば、ポイント付与やプレミアム付き購入が住民限定になっているケースもあります。旅行先や勤務地の近くで使いたい場合は、対象者の条件を事前に確認してください。
アプリ型だけでなくカード型がある場合もある
ICHICOのようにスマートフォン専用アプリと専用カードの両方が用意されているものや、あま咲きコインのように専用アプリと専用カードの両方に対応しているものもあります。スマートフォンの操作が不安な方は、カード型に対応しているサービスがあるか確認してみてください。
ポイントには有効期限がある
せたがやPayでは、チャージした分(コイン)の有効期限は最終利用日から1年間ですが、キャンペーンで付与されたポイントは種類によって有効期限が異なります。あま咲きコインでも、プレミアム部分や還元ポイントの有効期限は2027年2月28日となっており、期限を過ぎると失効します。受け取ったポイントは有効期限を確認して計画的に使い切りましょう。
予算上限で終了する場合がある
あま咲きコインのキャンペーンも予算に達し次第終了すると明示されています。これはデジタル地域通貨全般に言えることで、期間内でも早期終了することがあります。使う予定があれば、開始後に間を置かずに確認・利用するのが安心です。
現金化や払い戻しができない場合が多い
地域通貨やポイントは、現金に換えられないケースが一般的です。チャージ後の払い戻し条件や、ポイントの有効期限・失効ルールは各サービスの利用規約で確認しておきましょう。
第8章 よくある疑問
Q1. デジタル地域通貨は誰でも使えますか?
A. 自治体やサービスによって異なります。地域外に住んでいても使えるものもありますが、ポイント付与やプレミアム購入は住民限定になることがあります。利用前に公式サイトで対象者を確認してください。
Q2. PayPayや楽天ペイとは何が違いますか?
A. PayPayや楽天ペイは全国の加盟店で使える決済サービスですが、デジタル地域通貨は特定の地域内の加盟店で使うことを前提にしています。地域内でお金を循環させることが目的のため、使える範囲がはっきりと限定されています。
Q3. スマートフォンがなくても使えますか?
A. 自治体によってはカード型を用意している場合があります。ただし、アプリ専用の地域通貨もあるため、スマートフォンなしで使えるかは各サービスの公式情報を確認してください。
Q4. デジタル地域通貨とプレミアム商品券は同じですか?
A. 完全に同じではありません。デジタル地域通貨は継続的にチャージして使えるものもあります。一方、プレミアム商品券は期間限定で販売され、購入額より多い金額分を使える仕組みが一般的です。ただし最近は、プレミアム商品券をデジタル化して地域通貨アプリ上で発行するケースも増えており、両者の境界線は曖昧になっています。
Q5. デジタル地域通貨は税金や公共料金の支払いに使えますか?
A. 多くの場合、地域内の加盟店での買い物やサービス利用が中心です。アクアコインのように税や手数料・使用料などの支払いへの活用を目指している取り組みもありますが、対応状況はサービスによって異なるため公式サイトで確認してください。
第9章 まとめ:まずはこれから始めよう
難しく考えなくて大丈夫です。まずは「自分の自治体名+地域通貨」「自分の自治体名+電子商品券」「自分の自治体名+地域ポイント」で検索してみてください。公式サイトに実施情報があれば、対象者・使える店舗・有効期限・アプリやカードの有無を確認するだけで、地域のお得な制度を取りこぼしにくくなります。見つからなければ、商工会や商店街の公式サイトも合わせて確認してみてください。
参考リンク
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