2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新市場や新たな分野への事業拡大を検討する中小企業や個人事業主にとって、「新事業進出補助金」は成長と変革を後押しする重要な資金源です。本記事では、補助金の概要や目的、申請の要件と手続き、審査のポイント、金額や補助率の具体的条件、活用・失敗事例、そして2025年最新の公募スケジュールまで、独自の視点と豊富な事例を交えながら徹底解説します。どのような企業・プロジェクトが対象となり、どのような戦略で申請を成功させられるのか――これを知れば、事業の飛躍的な拡大も現実的なものとなります。今後のビジネス展開に欠かせない情報を、根拠と実績をもってお届けします。

第1章 新事業進出補助金の概要と目的

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新事業進出補助金は、中小企業や個人事業主がこれまでに取り組んだことのない新分野・新市場に進出する際に必要となる経費の一部を公的に支援する制度です。主に中小企業庁が中心となって運用しており、例えば新たな製品開発、サービス開始、IT導入、事業所の設立、既存事業の拡張や異業種参入など、多様なビジネス展開が対象になります。補助の対象となる経費は、設備投資や外注費、試作費、人件費、原材料費、場合によっては広告宣伝費や市場調査費など多岐にわたります。

申請手続きは「要件の確認」「事業計画の作成」「必要書類の準備」「申請」「審査」「採択・交付決定」「事業の実施」「実績報告・精算」と進み、最終的に補助金が交付されます。

新事業進出補助金の目的は、日本経済の持続的な成長と地域経済の活性化です。企業の成長や新たな雇用の創出、生産性の向上、そして競争力の強化が期待されます。近年は特に、少子高齢化や人材不足、経営環境の急速な変化に対処するために、企業の新規分野への進出やデジタル化・DX推進、グリーン成長分野への参入を後押しする意味合いが強まっています。

この補助金を活用することで、企業は自己資金の負担を減らしながら新しい挑戦がしやすくなります。また、新事業が軌道に乗ることで地域全体の産業基盤強化や雇用創出、技術の継承・発展にもつながります。社会的な意義としては、国や自治体の産業政策目標の達成にも寄与します。

中小企業新事業進出補助金の目的イメージ

第2章 公募スケジュールと申請要件

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

公募スケジュールと申請期間

新事業進出補助金の2025年度第1回公募は、
公募開始:2025年4月22日
申請締切:2025年7月10日(電子申請は17時まで)
※第1回公募はすでに終了しています。

今後の公募回数やスケジュールについては公式発表はありませんが、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の過去事例では、年度内に約3~4か月ごと、年間4回程度の公募が行われています。
このため新事業進出補助金でも同様の複数回(年間4回程度)の公募が予想されます。
※必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

回次公募開始(予想)締切(予想)
第1回2025年4月22日2025年7月10日
第2回2025年9月上旬~中旬2025年10月下旬~11月上旬
第3回2025年12月中旬~下旬2026年2月上旬
第4回2026年3月2026年4月下旬

申請要件と対象者

  • 日本国内に本社および補助事業実施場所を有していること
  • 中小企業基本法に定める中小企業者または個人事業主(みなし大企業を除く)
  • 補助事業を遂行できる体制・能力があること
  • 暴力団等の反社会的勢力でないこと
  • 法人税、消費税、地方税等の未納がないこと
  • 公募要領で定める対象外業種でないこと
  • 過去に不正受給等がないこと
  • 必要書類をすべて提出できること

※詳細や最新の条件・例外規定は公式公募要領・公式サイト参照

第3章 補助金の金額と補助率

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新事業進出補助金の金額や補助率は、公式の公募要領で明確に規定されています。2025年度の場合、補助金の上限額は申請企業の従業員数ごとに次のように定められています。

従業員数別 補助金上限額と特例適用時上限
従業員数通常の上限額賃上げ特例適用時の上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

補助金の下限額は750万円です。補助率は原則1/2(50%)で、特例要件を満たしても補助率自体は変わりません。
特例要件(賃上げ要件等)を満たした場合は、上限額が増額されます。

具体例:賃上げ特例が適用されるケース

例えば、従業員が40人の企業が新事業進出補助金に申請した場合、通常の上限額は4,000万円です。
しかし、賃上げ特例要件(例:事業実施期間中に給与支給総額を年平均6%以上増加させる、最低賃金+50円を達成する等)を満たせば、上限額は5,000万円に引き上げられます。

この企業が計画する補助対象経費が4,800万円であれば、補助率1/2(50%)が適用されるため、2,400万円が補助金として支給され、残りの2,400万円が自己負担となります。
なお、補助対象経費が上限(この場合5,000万円)を超える場合、補助金の支給上限は5,000万円×1/2=2,500万円です。

賃上げ特例の主な要件

  • 事業終了時点で、給与支給総額を年平均6%以上増加させること
  • 事業場内の最低賃金を+50円以上引き上げること

【参照】
新事業進出補助金 令和7年度公募要領(PDF)(P2・P5等)
※申請時には、必ず最新の公式要領をご確認ください。

補助金を使用した例:自己資金と補助金のバランス図

第4章 申請方法と必要書類

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新事業進出補助金の申請は、毎年定められる公募期間中に、公式サイトの電子申請システム(Jグランツ等)を通じて行います。手続きや必要書類は年度ごとに細かく変更されるため、最新の公募要領・ガイドの熟読が不可欠です。早めの準備を心がけ、ミスや不備のない申請を目指しましょう。

申請手続きの主な流れ

  1. 公式サイトで公募情報・提出期限を確認
  2. 事業計画書や決算書など必要書類を準備
  3. 電子申請システムに登録しIDを取得
  4. 申請内容・書類を最終チェックし、電子申請フォームから提出
  5. 受理後、事務局からの追加資料依頼等に対応
  6. 採択後は指示に従って事業実施・報告書類も提出

よくあるミス・注意点

  • 提出期限ギリギリの申請は、再提出やシステムトラブルで間に合わないリスクが高いので余裕を持った準備を
  • 記載漏れや添付書類の不備(未記入・未署名・様式違い・PDF化忘れ等)は不採択の原因に
  • 納税証明書・登記簿謄本など、証明書類は取得に時間がかかるため早めの手配を
  • 最新版の公募要領・ガイドを必ず確認し、前年度や他制度の書式流用はNG
  • 電子申請時のファイル名・形式・容量など、データ提出の細部にも注意

必要書類の一例(2025年度)

  • 事業計画書(定型様式)
  • 直近期の決算書または確定申告書
  • 納税証明書(国税・地方税)
  • 履歴事項全部証明書(法人の場合)
  • 役員名簿
  • 誓約書・反社会的勢力でないことの誓約書
  • 賃金台帳や給与支給根拠資料(賃上げ特例申請の場合)
  • その他、加点要件や特例申請に必要な追加書類

これらの書類は多くがPDFなどの電子データでの提出が求められます。ファイル名や提出形式も公募要領の指示に従いましょう。

トラブル防止のポイント

  • 提出前に「書類チェックリスト」で抜け・漏れを確認
  • 疑問点は公式FAQや事務局に必ず確認し、自己判断しない
  • 控えやデータを保存しておき、追加資料の要請に迅速に対応

申請の基本を丁寧に押さえ、計画的に進めることで不採択やトラブルのリスクを減らせます。必ず最新の公募要領を手元に置き、書類や手順を一つずつクリアしていきましょう。

必要書類は、公式サイトの資料ダウンロードから取得できます。

資料ダウンロードページ(添付書類確認シート等)

  • 公募要領(PDF)
  • 応募申請ガイド(PDF)
  • 電子申請システム操作マニュアル
  • 添付書類確認シート(必須書類一覧)
  • 金融機関による確認書 / 賃上げ計画表明書 など
新事業進出補助金申請プロセスの流れ

第5章 審査基準と評価ポイント

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新事業進出補助金の審査は、単なる形式確認を超えて、申請内容の本質的な質や実現性、社会的意義、経営改善・成長力まで多面的に評価されます。審査で高評価を得るには、各項目ごとに具体的なデータやストーリーを示し、加点措置を最大限活用する工夫が重要です。

事業計画の具体性・実現性

  • 例:製造工程フロー、年間スケジュール、担当者配置、導入機械名や見積書の添付、資金調達・工程管理の明記。
  • よくあるミス:抽象的な記述、根拠不明の工程、設備や人員が不明確。
  • 評価される工夫:業務ごとのマイルストーンやPDCAサイクルの運用計画を盛り込む。

新規性・独自性

  • 例:特許取得済み独自技術、地元JA・大学との共同開発協定書、比較表や第三者評価レポートの添付。
  • よくあるミス:「品質が良い」など曖昧な表現のみ。
  • 評価される工夫:特許番号・意匠登録証、第三者機関評価の提示。

市場性・成長性

  • 例:市場規模データ、競合リスト、売上目標、販売ルートの具体的計画。
  • よくあるミス:市場ニーズやターゲットが漠然。
  • 評価される工夫:調査会社や統計データをグラフで示し、ターゲット別売上計画を作成。

収益性・持続可能性

  • 例:収支計画(5年分)、資金繰り表、複数資金調達手段の明示。
  • よくあるミス:単年度計画のみ、自己資金や融資調達の根拠が薄い。
  • 評価される工夫:補助金終了後の自立計画やリスクシナリオ分析。

雇用創出・地域経済への波及効果

  • 例:新規雇用人数、地元採用率、賃上げ率、地域団体連携書の添付。
  • よくあるミス:「期待します」など抽象的表現。
  • 評価される工夫:数値目標や地域連携の具体的な合意文書の添付。

社会的意義・課題解決力

  • 例:フードロス削減、SDGs貢献、CO₂削減量、女性管理職比率などの具体的数値や実績。
  • よくあるミス:社会貢献を抽象的にしか記載しない。
  • 評価される工夫:削減率、女性比率など達成度を数値で明記。
審査項目・加点措置・減点措置の具体例一覧
審査項目加点措置の例減点措置の例
事業計画の具体性・実現性根拠資料の添付、マイルストーン明示、PDCA運用抽象的記述、工程や担当不明、根拠不足
新規性・独自性特許・意匠登録、第三者評価、技術比較表他社との差異が不明確、アイデアのみ
市場性・成長性統計・リサーチ資料添付、ターゲット別売上計画データ・市場分析なし、ターゲット曖昧
収益性・持続可能性5年計画、補助後の自立戦略、複数資金調達収益根拠なし、単年度のみ、資金繰り不明
雇用創出・地域波及効果新規雇用人数、地元連携協定書、雇用率明記数値計画なし、地域貢献根拠なし
社会的意義・課題解決力SDGs実績、CO₂削減量明記、自治体コメント抽象記述のみ、達成度数値なし
加点全般賃上げ・女性活躍・金融機関確認書・DX推進書類不備・違反歴・申請規定違反

【参照】
応募申請ガイド(PDF)

第6章 新事業進出補助金の活用事例

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

成功事例の紹介(A社:東京都内 中小製造業)

東京都内で金属部品加工を行う「A社」は、受注の偏りと旧態化した設備からの脱却を目指し、2025年度新事業進出補助金の採択を目指しました。
A社は、コロナ禍で既存取引先からの受注が激減したことをきっかけに、「新たな業種・取引先への販路開拓」と「差別化できる新商品開発」を両輪とした成長戦略を立案。
社内会議を重ね、従来の技術を活かせる医療機器部品分野への新規進出を目標とし、同分野に特化した最新CNC加工機と検査機器、業務効率化のための生産管理システムの導入を計画しました。

  • 製造工程フロー:現状の工程図と導入後の新工程図を併記し、効率化・高度化のポイントを明確化
  • 年間スケジュール:機械納入~試作~量産開始~販路開拓までをガントチャートで図示
  • 設備導入:メーカー見積書、導入時期、現有設備との連携図を詳細に添付
  • 資金調達・事業体制:自己資金・補助金に加え、信用金庫の融資内定通知書、設備導入責任者や担当者リストを提出
  • 新規雇用計画:品質管理部門に女性技術者2名、検査スタッフ1名の新規採用など具体的な数値目標を明記
  • 加点要件:女性管理職登用、SDGs視点でのCO₂削減計画、商工会・金融機関の推薦書も添付
  • 販路戦略:新規開拓のための展示会出展計画や営業研修、販路多様化案も詳細に記載

さらに、補助金採択後も工程ごとにKPIを設けて進捗管理を徹底し、事業効果の検証報告や地元自治体への成果共有も積極的に実施しました。
この結果、A社は新分野での年間売上を従来比120%増に伸ばし、新規取引先12社の獲得に成功。新規雇用も当初計画以上の4名を創出し、地元経済への波及効果も高評価を得ています。事業後も新規取引が持続的に増加し、従業員満足度や地元との産学官連携にもプラスの影響が広がっています。

失敗事例から学ぶポイント(B社:地方サービス業)

地方都市で飲食店と特産品販売を手がける「B社」は、コロナ後の客足減少対策としてEC事業への本格参入を企画し、新事業進出補助金に挑戦。しかし初回の申請は「不採択」となりました。

  • 計画の抽象性:「地元の良さを全国へ伝える」というスローガンのみで、販売ターゲットや運営体制、在庫管理などの具体性が不足
  • 市場調査・根拠不足:自社アンケートやSNS反応のみで、市場規模・競合調査・価格競争力の外部データが不十分
  • 設備投資・人員計画:何名採用し、どの業務にどのように配置するか明細がなく、「雇用創出に期待」と記載
  • 数値計画の弱さ:売上・利益目標が「前年比○%アップ」と書かれているだけで裏付けがなく、月別計画や現実的なシナリオも不足
  • 地域連携・加点要素:団体や金融機関との協力体制や女性活躍・賃上げなど加点施策が薄い
  • 提出資料の不備:決算書最新版未添付、申請様式のミス、電子申請ファイル名ルール違反など細かな不備が重複

事務局からは「計画の具体性・実現性が確認できない」と評価されてしまいました。

その後、B社はフィードバックをもとに次のような改善策を実施しました。

  • ターゲット別に商品ラインナップ・価格帯を設計し、競合分析データ・需要予測も資料化
  • 新規採用や人材育成計画、業務分担フロー図、システム導入時の外部業者見積・工程管理体制を明確化
  • 地元観光協会やJAとの連携協定書を新たに取得
  • 賃上げ・女性登用など加点となる施策を年度計画に盛り込み
  • 提出前のセルフチェックや第三者レビューを徹底し、誤字・脱字を防止

これにより翌年度には「採択」となり、事業開始から半年で新規受注20%増・雇用2名増・地域メディア掲載多数という成果を挙げています。

事例から学ぶポイント

  • 成功事例は「計画の具体性」「数値データ」「連携・証明書類」が採択の決め手
  • 失敗例は「抽象的な記載」「資料の不足」「エビデンスの弱さ」が減点要因
  • 公式の審査基準ごとに、事業計画や資料を“証拠立て”できる工夫が必須
新事業進出補助金 成功事例のフローチャート

第7章 まとめと今後の展望

2025年最新版|新事業進出補助金の全て ~申請の流れ・審査ポイント・活用事例と最新公募スケジュール~

新事業進出補助金の意義

新事業進出補助金は、中小企業や個人事業主が既存事業の枠を超え、新たな市場や分野に挑戦する際の大きな後押しとなる制度です。単なる設備投資や販路拡大への資金援助にとどまらず、持続可能な経営基盤の強化や雇用の創出、地域経済の活性化、さらにはSDGsやカーボンニュートラルといった社会課題の解決にもつながる仕組みとなっています。

申請においては、「自社の強みや社会的な意義の明確化」「具体的かつ実現可能な事業計画の策定」「数値目標と進捗管理の仕組みづくり」が求められます。補助金を活用して新事業分野で成功した企業は、事業の安定と拡大だけでなく、従業員のモチベーション向上や地域社会との連携強化、パートナー企業との関係強化など、多くの波及効果を得ています。

まとめ

新事業進出補助金は、激しく変化する時代に適応し、持続的な成長を目指す中小企業や個人事業主にとって、極めて有効な成長の「追い風」となる制度です。申請や活用には煩雑な準備や一定のハードルもありますが、しっかりと事業計画を練り、情報収集と準備を怠らなければ、その効果を最大限に活かすことができます。常に最新の公式情報を確認し、自社の未来ビジョンに照らして次の一手を着実に検討していくことが、これからの企業発展の大きなカギとなるでしょう。