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「フリーランス法」という名前は聞いたことがあっても、自分や自社がどこまで対応する必要があるのか、いまひとつつかみきれないという方は多いはずです。書面による条件の明示、60日以内の支払い、ハラスメント対策や契約を途中で終わらせるときの30日前予告まで、実務上どこまでカバーすべきなのか、整理しにくいのも無理はありません。
この記事では、フリーランス法の基本的な考え方から、実務に直結する義務と禁止行為、さらにフリーランス側・発注側それぞれが押さえておくべきポイントまでを、できるだけわかりやすく解説します。
30秒要約:フリーランス法
結論(最重要の1行): 特定受託事業者(フリーランス)との取引において、「契約条件の明示」「60日以内の報酬支払い」「ハラスメント対策等の就業環境整備」を義務付け、立場による不利益を解消するための法律です。
つまずきやすい注意点: 報酬の支払期限(60日以内)は、請求書の受領日ではなく「成果物を受け取った日(役務提供日)」が起算点となるため、従来の「月末締め・翌々月払い」といったサイクルでは法令違反になる傾向があります。また、発注側の規模に関わらず、従業員を一人でも雇用していれば適用対象となる点に注意が必要です。
次にやること: ・発注時に業務内容・報酬額・支払期日などをメールやチャット等の記録に残す体制を整える。 ・社内の支払サイトが「受領日から60日以内」に収まっているか、決済フローを再点検する。 ・6か月以上の継続契約を終了・不更新とする際の「30日前予告」の手順をマニュアル化する。
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第1章 フリーランス法とは何か
フリーランス法はどんな法律か
フリーランス法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」とも呼ばれ、2024年11月1日に施行されました。「フリーランス新法」「フリーランス保護法」という呼び方も広まっています。この記事では、最もわかりやすい通称として「フリーランス法」と表記します。
本法律の主な担当省庁は、公正取引委員会と中小企業庁、厚生労働省です。公正取引委員会と中小企業庁は取引の適正化にかかわる規定を、厚生労働省は就業環境の整備にかかわる規定を担当します。ひとつの法律に対して複数の省庁が関与するというのは珍しいことで、フリーランス法がいかに多面的な目的を持っているかを示しています。
何のための法律なのか
フリーランスは、労働基準法が適用されないため、取引上弱い立場に置かれています。そのため、業務を委託する企業から一方的に契約内容を変更されたり、報酬の支払いが遅れたりするなどのトラブルに巻き込まれがちです。
たとえば、あるWebデザイナーが企業のサイトリニューアルを任され、完成品を納品したにもかかわらず「イメージと違う」という理由で一方的に報酬を減額されたとします。会社員であれば労働法で保護されますが、フリーランスとして仕事を受けている場合はそうした法的保護がなく、泣き寝入りするしかないというのが従来の実情でした。フリーランス法は、こうした不公平な立場を是正するために作られた法律です。
単なる取引ルールの整備だけでなく、育児・介護との両立への配慮やハラスメント対策体制の整備といった「就業環境の整備」まで目的に含まれている点が、他の類似する法律とは大きく異なります。
まず押さえたい全体像
フリーランス法は、大きく分けて「フリーランスと発注事業者間の取引の適正化」と「フリーランスの就業環境の整備」の2つのことを定めています。
前者は主に契約時の書面明示や報酬の支払期日といった経済的な取引条件の話であり、後者はハラスメント対策や育児・介護との両立配慮、契約終了時の予告義務といった、働く環境そのものに踏み込んだ話です。取引ルールのみを対象とした取適法(旧下請法)と比べると、フリーランス法は個人が安心して働き続けられる環境の整備まで責任を課しているという点で、より広い意味での「働き方の適正化」を目指した法律といえます。
第2章 フリーランス法で何が義務化されたのか
取引条件の明示が必要になった
フリーランスに対して業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で取引条件を明示しなければなりません。口頭でだけで伝えることは認められません。
これは思っているよりずっと厳しい要件です。発注後にまとめて条件を伝える、詳細は追って連絡する、といった対応では足りません。「直ちに」というのは、業務委託をした時点で速やかに、という意味です。取引条件として明示すべき事項は、業務内容、報酬額、支払期日、給付の提供場所や方法など多岐にわたります。
また、発注時点で金額が確定しないケースもあります。たとえば、プロジェクトの最終的な規模が決まる前に着手するような場合です。そのような場合であっても、未定である理由と確定予定時期を明記した上で、決まり次第ただちに補充明示することが厳格に求められます。「後から条件を詰めよう」という慣行が通用しにくくなっているということです。
60日以内の支払い義務がある
報酬の支払期日は発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定め、定めた支払期日までに報酬を支払わなければなりません。
ここで大切なのは、起算点が「請求書の受取日」でも「月末の締め日」でもなく、「受領した日(役務の提供を受けた日)」だということです。月末締めで翌々月末払いという支払いサイクルを設けている企業では、受領日によっては60日を超えてしまい法令違反になります。支払サイクルが法令上の起算点と合っているかどうか、改めて確認が必要です。
なお、元委託者から受けた業務を発注事業者がフリーランスに再委託をした場合には、元委託業務の支払期日から起算して30日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることができます(再委託の場合における支払期日の例外)。 これについては次章で詳しく触れます。
就業環境にも配慮が必要になった
就業環境の整備を図るため、発注事業者に対し、フリーランスの育児介護等に対する配慮やハラスメント行為に係る相談体制の整備等を義務付けています。
具体的には、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどに対する相談体制の整備、妊娠・出産・育児・介護などと業務を両立できるように配慮する義務が定められています。さらに、発注事業者は、6か月以上の業務委託を中途解除する場合や、更新しないこととする場合は、原則として30日前までに予告しなければならないとされています。また、予告の日から契約満了までの間に、フリーランスが契約の中途解除や不更新の理由の開示を請求した場合には、発注事業者はその理由を開示することが義務付けられています。
長期の取引が突然打ち切られると、フリーランスは翌月からの収入見通しが立たなくなります。この規定は、フリーランスが次の仕事を探すための時間的な余裕を確保するためのものです。
第3章 フリーランス法の対象になるのは誰か
特定受託事業者とは何か
フリーランス法における「フリーランス」の定義は、法律上「特定受託事業者」という言葉で表されます。フリーランス法の第2条では、フリーランスを「業務委託の相手方である事業者であって」個人であって従業員を使用しないもの、または法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないものと定義しています。
一人社長でも、スタッフを一人でも雇っていれば「フリーランス」には当たりません。自分はフリーランスだと思っていても、アルバイトを雇っている場合は保護対象外になる可能性があります。逆に、法人格を持っていても、代表者一人だけの会社でスタッフを雇っていなければフリーランスに該当します。
なお、従業員の定義にも注意が必要です。「従業員」には、短期間・短時間などの一時的に雇用される者は含まれません。具体的には「週所定労働20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる者」が「従業員」となります。 週に数時間だけ手伝ってもらっているような場合は、従業員のカウントに含まれないということです。
発注者側はどこまで対象になるのか
フリーランス・事業者間取引適正化等法は業種や資本金の金額にかかわらず従業員を使用している全ての発注事業者が規制の対象になります。
これが取適法との大きな違いです。取適法は発注者の資本金や従業員数に応じた規模要件があり、小さな会社は対象外になることもあります。しかしフリーランス法には、そのような規模の足切りはありません。従業員を一人でも雇っていれば、資本金が100万円の小さな会社でも、フリーランスに仕事を発注した瞬間から規制の対象になります。「うちは小さな会社だから関係ない」という判断は通用しないのです。
対象となる業務委託の考え方
フリーランス法の対象は、発注事業者からフリーランスへの「業務委託」(事業者間取引、BtoB)です。フリーランス同士の業務委託も含まれますが、消費者との取引(BtoC)は対象外です。
また、フリーランス法は取適法と異なり、物品の製造や情報成果物の作成だけでなく、広い範囲の役務提供が対象です。さらに重要な特徴として、発注事業者が自社のために使うサービスを外注する「自家利用役務」の委託も対象に含まれます。自社のホームページ制作をフリーランスのエンジニアに依頼する場合や、社内研修の講師をフリーランスに頼む場合なども、フリーランス法の適用対象になりえます。取適法では対象外となるこうした取引をカバーしている点が、フリーランス法の射程の広さを物語っています。
第4章 フリーランス法で取引実務はどう変わるのか
書面・メールでの条件明示が前提になる
フリーランス法が実務に与える最も直接的なインパクトのひとつが、書面や電子メールによる取引条件の明示が義務付けられた点です。「とりあえず作業を進めてもらって、詳細はあとで」という口約束だけの発注は、それ自体が法律違反になりえます。
LINEやSlackでのやりとりも電磁的方法として認められますが、重要なのは内容の正確さと網羅性です。業務内容、報酬額、支払期日、成果物の提供方法といった事項を漏れなく、かつ「直ちに」伝えることが求められます。後から「そんな条件は聞いていなかった」というトラブルを防ぐためにも、発注書のフォーマットを整備して自動的に必要事項が記載される仕組みを作っておくことが実務上の最善策です。
支払サイトを長く引き延ばしにくくなる
60日以内支払いの原則が適用されるため、発注側の資金繰りの都合で支払いを先延ばしにすることが難しくなります。ここで見落としやすいのが起算点の問題です。60日を数え始めるのは「請求書が届いた日」や「月末の締め日」ではなく、あくまで成果物や役務を「受領した日」です。
よくある支払条件として「月末締め・翌々月末払い」があります。この場合、たとえば月の初日に納品を受けたとすると、翌々月末の支払いまでに2ヶ月以上かかることになり、60日を超えてしまいます。社内の請求書基準の支払ルールを今すぐ点検し、受領日基準で60日を守れているかどうか確認することが急務です。
再委託や長期契約では特に運用差が出やすい
発注事業者が、他の者から受けた業務委託をフリーランスに再委託する場合は、他の者から発注事業者への報酬の支払期日から起算して30日の期間内に、発注事業者からフリーランスへの報酬の支払期日を定め、その支払期日までに報酬を支払うことができます。 放送や映像制作の現場など、元請けからの入金が成果物完成後になるケースで特に問題になりやすい部分です。この特例を使う場合は、発注時の明示の中に「再委託である旨」「元委託者の名称」「元委託業務の支払期日」の3点を明記する必要があります。
また、6ヶ月以上継続する契約では、中途解除や不更新の際に30日前予告が必要であることは前述の通りです。長期の取引を結んでいる場合、契約書にこの予告条項が盛り込まれているかどうかを確認し、もし盛り込まれていなければ早急に見直す必要があります。
第5章 フリーランス法で問題になりやすい行為は何か
報酬の減額や不当な受領拒否
フリーランスへの業務委託(1か月以上のもの)において、特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること、特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること、特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと、通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること、正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制することが禁止されています。
なかでも「費用を負担せずに不当な内容変更ややり直しを求めること」は、クリエイティブや制作の現場で特に起きやすいトラブルです。「なんとなくイメージと違う」という漠然とした理由で何度もやり直しを要求し、最終的な支払い額が当初の約束より大幅に下がるというのは、正当な理由がない限り禁止行為にあたります。
買いたたきや支払遅延
コストが上昇しているにもかかわらず、フリーランス側の実情を無視して著しく低い報酬を押し付ける行為は「買いたたき」として禁止されています。「このくらいの単価でやってくれる人はほかにもいる」「仕事を続けたければ条件をのんでほしい」といった言い方で、力関係を背景に不当な条件を飲ませることが典型的なケースです。また、60日ルールに反する支払い遅延も禁止行為に含まれます。
ハラスメントや一方的な契約終了
発注事業者には一定の禁止行為や義務が定められており、正当な理由なく報酬を減額する行為、納品物の受領拒否や返品、特定の物品購入を強要する行為などは禁止されています。加えて、ハラスメントについては相談体制の整備など就業環境への配慮が求められます。また、6か月以上の継続的な業務委託について中途解除や不更新を行う場合は、原則として30日前までの予告と、求められた場合の理由開示が必要です。
フリーランスは会社員ではないため、ハラスメントを受けても社内の相談窓口に訴えるということができません。フリーランス法では、発注事業者がハラスメント対策の相談体制を整備することを義務づけることで、フリーランスが安心して働ける環境を保障しようとしています。また、継続的に業務委託を行う場合、契約を中途解約するとき又は当該契約の期間満了後にその更新をしないときは、原則として、中途解約日又は契約期間満了日の30日前までに予告しなければならないと定められています。この規定は、一定期間継続する取引において、フリーランスが次の取引に円滑に移行できるようにすることを目的として設けられたものです。
第6章 フリーランス側は何を理解しておくべきか
契約条件を必ず記録に残す
フリーランス法は、フリーランス自身を守るための法律です。ただ、法律があっても使い方を知らなければ意味がありません。最もシンプルかつ重要な対策は、取引条件を必ず記録として残しておくことです。
発注者から書面や電子メールで取引条件が明示されることが義務になっているとはいえ、現場ではいまだに口頭だけで話が進むケースも少なくありません。もし発注者から書面で条件が示されなければ、「書面で確認させてください」と積極的に求めることが大切です。報酬額、納期、支払期日、どこまでの修正が無償の範囲なのか(やり直しの要件)といった点を曖昧にしないことが、後のトラブルを防ぐ最善の方法です。
曖昧な支払い・一方的な条件変更に注意する
「報酬はあとで決める」「今回だけ特別に安くしてほしい」といった曖昧な運用を、なんとなく受け入れてしまうことがトラブルの温床になります。こうした発言があった場合は、その内容をメールやチャットで文字に残しておくことが実務上の大切な自衛策です。「先ほどおっしゃっていた内容を確認のためメールでお送りします」といった形で記録を作る習慣をつけると、後の「言った・言わない」を防げます。
発注者から一方的に条件を変えられたり、報酬を減額するよう迫られたりした場合は、それ自体が法律違反である可能性があります。「断ったら次の仕事がなくなるかも」という不安から泣き寝入りする必要はありません。
相談先を知っておく
フリーランス法に基づき、特定受託事業者(フリーランス)は、業務委託事業者又は特定業務委託事業者(発注事業者)に本法違反と思われる行為があった場合に、行政機関(公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)に対してその旨を申出することができます。
取引に関するトラブルは公正取引委員会・中小企業庁へ、就業環境の問題(ハラスメントなど)は厚生労働省が所管です。また、「フリーランス・トラブル110番」という相談窓口もあり、弁護士に電話やメールで相談できます。「こんな小さいことを相談していいのか」と遠慮する必要はありません。相談窓口の存在を知っているだけで、いざというときの心強さがまったく違います。
第7章 発注事業者側も見直しが必要になる理由
フリーランス委託は「個人への外注」では済まされない
フリーランスへの仕事の依頼を「会社に頼むのと違って気軽に頼める」と感じている担当者もいるかもしれません。しかし、フリーランス法の施行によって、個人への委託であっても法的な義務と責任が明確に発生するようになりました。
小規模な発注であっても、1件でも従業員を使用している発注事業者がフリーランスに仕事を依頼すれば法律の対象になります。しかも、行政の監視はすでに動き始めています。2025年3月28日、公正取引委員会はフリーランス法施行後初めての行政指導を実施し、アニメーション制作、ゲームソフトウェア、リラクゼーション、フィットネスクラブの4業種77社を調査した結果、半数超の45社で違反や違反が疑われる行為が見つかったとして、発注方法の是正などを求める指導を行いました。
さらに、2025年10月までの間に、放送業及び広告業を対象とした集中調査の結果、128名の事業者に対して是正を求める指導が行われました。 施行からわずか1年余りで、すでに多数の指導事例が現実に発生しているという事実は、決して他人事ではありません。
条件明示・支払い・ハラスメント対応を点検する
実務として優先すべき対応を整理すると、まず発注書のフォーマット整備です。必要な記載事項が自動的に盛り込まれるテンプレートを作成し、担当者によって内容がばらつかない仕組みを構築することが重要です。次に支払い条件の点検です。月末締めで翌々月末払いのような社内慣行が法令上の60日ルールに反していないか、受領日基準で改めて確認します。
ハラスメント対応についても、社内従業員向けの相談窓口をそのままフリーランスにも開放する形で整備することが有効です。フリーランスに6カ月を超える継続的な業務委託を行っており、契約の中途解除や更新を行わない場合、少なくとも30日前までに口頭以外でその旨を予告する必要があります。 この点は、現場担当者が「とりあえず今月で終わりね」と口頭で伝えるだけで済ませているケースが多く、特に注意が必要です。
人事・法務だけでなく現場管理にも関わる
フリーランス法への対応は、法務部門や人事部門だけの問題ではありません。実際に問題が起きやすいのは、フリーランスと日常的にやりとりをしている現場の担当者です。制作ディレクターが「ちょっと修正しておいて」と気軽に追加作業を依頼したり、営業担当が単価を強引に下げる交渉をしたりすることが、気づかないうちに法律違反になっている可能性があります。
法務や総務が法律の内容を把握しているだけでは不十分で、現場スタッフへの研修や内部監査の仕組みを整備し、会社全体の問題として扱うことが不可欠です。フリーランスとの取引を「会社の外の話」として軽く見る風土があれば、そこから是正する必要があります。
第8章 取適法との違いを簡単に整理
共通している点
フリーランス法と取適法(旧下請法)は、ともに「立場の弱い受注者を守る」という根本的な考え方を持っています。書面等による取引条件の明示、受領日から60日以内の支払い、不当な減額・買いたたきの禁止といった基本的な義務は、両法で共通しています。取適法に対応した体制が整っている企業であれば、フリーランス法についても対応のベースがすでに出来上がっているといえます。
フリーランス法の特徴は就業環境整備にある
両法の最大の違いは「誰を守るか」という視点で整理できます。取適法は、企業間(BtoB)の受託取引を対象に、中小企業全般の取引条件の適正化を図る法律です。一方、フリーランス法は従業員を使用しない個人・一人法人という特定の立場の人たちに着目し、ハラスメント対策や育児・介護への配慮、契約終了時の予告義務など、「就業環境の整備」まで含んでいることが最大の特徴です。
また、資本金や従業員数による規模要件がなく、フリーランスに従業員がいるかどうかだけで適用が決まるというシンプルさも、フリーランス法独自の仕組みです。
詳しい違いは比較記事で確認
両法は対象が重なる部分もあり、フリーランスが取適法上の中小受託事業者にも該当するケースでは、どちらが優先して適用されるかの判断が必要になります。詳細な適用要件の比較については、別途解説記事を参照されることをおすすめします。
第9章 フリーランス法と資金繰りの関係をどう考えるか
支払条件の明確化は資金繰りの安定につながる
60日以内の支払いが法律上の原則になることで、フリーランス側の入金見込みが立てやすくなります。納品後にいつお金が入るかわからない、という不安が減り、日々の事業運営の計画が立てやすくなることは、資金繰りの安定に直接つながります。
また、不当な受領拒否や報酬の減額が禁止されることで、「仕事をしたのに報酬が満額もらえない」というリスクが法的に軽減されます。フリーランスにとっての最大の不安のひとつは、稼いだお金が想定通り手に入るかどうかです。フリーランス法による取引条件の適正化は、キャッシュフローの安定という観点からも、事業の基盤を固める効果があります。
法規制と自主的な資金調達は分けて考える
フリーランス法が守るのはあくまで「取引条件の適正化」です。受領日から60日以内に支払いがなされること、報酬が不当に減額されないこと——これが守られているかどうかという話と、どのように資金を調達・管理するかという話は、別の問題として考える必要があります。
法律が支払いを早めてくれるわけではありませんし、60日の期日を待たずに手元の現金を増やしたい場合には、別途資金調達の手段を検討することになります。
必要な場面だけ別論点で検討する
フリーランスの資金調達手段のひとつとして、ファクタリングがあります。ファクタリングとは、まだ入金されていない売掛金(たとえば60日後に振り込まれる予定の報酬債権)を専門の会社に売却することで、早期に現金を手にする仕組みです。60日先の入金を待てない事情がある場合に、選択肢として検討できる方法です。
ただし、これはあくまで自分自身の資金繰りの話であり、発注側が主導してフリーランスにコストを転嫁する仕組みとはまったく別の話です。まずは発注者との支払条件と契約条件が法律上適正かどうかを確認することが大前提で、資金調達の方法はその次のステップとして考えることが大切です。
まとめ
まとめ
フリーランス法は、2024年11月に施行された、フリーランスが安心して働ける環境を守るための法律です。取引条件の適正化だけでなく、就業環境の整備——ハラスメント対策や育児・介護への配慮、契約終了時の事前予告まで含むことが、同種の法律と一線を画す大きな特徴です。
保護対象は従業員を使用しない個人や一人法人で、発注側は資本金の規模に関係なく、従業員を一人でも使用していれば対象になります。実際にすでに指導・勧告の事例が相次いでおり、行政の目は確実に強くなっています。
発注側は書面による条件明示、受領日基準の60日以内支払い、ハラスメント相談体制の整備、6ヶ月以上の契約解除時の30日前予告という四つの柱を点検することが、まず取り組むべき実務対応です。資金繰りの話は法律の規制とは別の論点として切り分けながら、フリーランスとの取引の土台をしっかり整えることが、今後の健全なビジネス関係を築く第一歩になります。
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