
ビジネスローンの勘定科目マップ(法人・個人事業主の実務)
ビジネスローンは「資金の入口は負債」「出口で元金と利息を分解」という原則で整理します。
返済期日が1年以内は短期借入金、1年超は長期の借入金。
当座貸越やカードローンは与信枠の利用残高を負債として計上し、未使用枠は計上不要です。
ここでは契約形態別に、迷いやすい勘定科目の選定と仕訳を体系化します。
併せて補助科目や証憑のひも付け、台帳化のポイントまで踏み込み、月次と決算をつなぐ実務運用に落とし込みます。
返済期日が1年以内は短期借入金、1年超は長期の借入金。
当座貸越やカードローンは与信枠の利用残高を負債として計上し、未使用枠は計上不要です。
ここでは契約形態別に、迷いやすい勘定科目の選定と仕訳を体系化します。
併せて補助科目や証憑のひも付け、台帳化のポイントまで踏み込み、月次と決算をつなぐ実務運用に落とし込みます。
契約形態別の勘定科目・仕訳と科目設計の原則
実務では「証書貸付」「当座貸越(カードローン含む)」「オンライン銀行の短期運転資金」「保証協会付融資」といった契約の違いが、勘定科目の粒度に影響します。
「ビジネスローン 勘定科目 仕訳 短期借入金 借入金 支払利息 事務手数料 保証料 印紙税 消費税区分 元金据置 当座貸越 カードローン」といったキーワードで社内方針を定義し、会計ソフトにテンプレート化するとブレません。
初回入金は預金増加と負債増加で認識。
返済は明細に基づき元金と利息を切り分け、元金は費用ではありません(負債の減少に仕訳)。
据置期間は利息のみ費用化。
付随費用は原則発生時費用ですが、金額が多額で期間対応が明確な場合は前払・繰延で月割配分します。
個人事業主は私用分排除(事業主貸)と事業割合の按分が要。
遅延損害金や違約金は営業外費用として処理するケースが一般的ですが、契約の性質により注記や社内稟議の保存が望ましいです。
当座貸越は日々残高が変動するため、月末残と平均残の両方を管理し、利息の見積りと未払計上の整合を取ります。
以下のマップを基準に、補助科目で金融機関名や契約番号を持たせると照合作業が速くなります。
「ビジネスローン 勘定科目 仕訳 短期借入金 借入金 支払利息 事務手数料 保証料 印紙税 消費税区分 元金据置 当座貸越 カードローン」といったキーワードで社内方針を定義し、会計ソフトにテンプレート化するとブレません。
初回入金は預金増加と負債増加で認識。
返済は明細に基づき元金と利息を切り分け、元金は費用ではありません(負債の減少に仕訳)。
据置期間は利息のみ費用化。
付随費用は原則発生時費用ですが、金額が多額で期間対応が明確な場合は前払・繰延で月割配分します。
個人事業主は私用分排除(事業主貸)と事業割合の按分が要。
遅延損害金や違約金は営業外費用として処理するケースが一般的ですが、契約の性質により注記や社内稟議の保存が望ましいです。
当座貸越は日々残高が変動するため、月末残と平均残の両方を管理し、利息の見積りと未払計上の整合を取ります。
以下のマップを基準に、補助科目で金融機関名や契約番号を持たせると照合作業が速くなります。
契約・取引 | 借方 | 貸方 | 主科目 | 実務ポイント |
---|---|---|---|---|
証書貸付の実行 | 普通預金 | 短期借入金/借入金 | 負債 | 返済期日で短長区分を決定。契約変更時は見直し。 |
当座貸越の利用開始 | 普通預金 | 短期借入金(当座貸越) | 負債 | 与信枠は未計上。利用残のみ計上。日々の増減に注意。 |
返済(元金) | 短期借入金/借入金 | 普通預金 | 負債の減少 | 損益に影響させない。明細で元利区分を確認。 |
返済(利息) | 支払利息 | 普通預金 | 営業外費用 | 月次で未払計上の要否を判断(月末締め・翌月払等)。 |
事務手数料 | 支払手数料/前払費用 | 普通預金 | 販管費/流動資産 | 多額で複数期間対応なら前払計上し月割。 |
保証協会の保証料 | 支払手数料/前払費用 | 普通預金 | 販管費/流動資産 | 一括前払は期間対応で配分。税区分は請求書で確認。 |
印紙税(契約書) | 租税公課 | 現金・預金 | 販管費 | 消費税の対象外。電子契約の判定も社内ルール化。 |
個人事業主の私用支出 | 事業主貸 | 普通預金 | 資本取引 | 家計混在は都度振替。事業割合の根拠を残す。 |
遅延損害金の支払 | 支払利息等 | 普通預金 | 営業外費用 | 発生背景をメモ。再発防止の資金繰り見直しを添付。 |
- 補助科目:金融機関名/契約番号/金利タイプ(固定・変動)/基準金利/スプレッド/据置期間/担保・保証/備考。
- 証憑:契約書、返済予定表、金利通知、請求書、入出金明細、約定変更通知の紐付けを台帳化。
- 会計ソフト:取引テンプレ(実行/返済/利息/手数料)と規則(自動仕訳)を登録し、明細インポートでヒット率を毎月検証。
ケーススタディを三つ用意します。
ケース1はカードローン型で月末締・翌月5日払。日割利息は月末残高×年利÷365×経過日数で試算し、未払費用を計上します。
ケース2は保証協会付の証書貸付で保証料一括払い。前払費用に計上し、約定期間で月割します。
ケース3は据置6ヶ月の設備資金。利息のみ費用化し、据置明けの元金返済に合わせてキャッシュ繰りを再設計します。
いずれも返済予定表を主たる根拠とし、ズレは金融機関の利息計算書で補正します。
ケース1はカードローン型で月末締・翌月5日払。日割利息は月末残高×年利÷365×経過日数で試算し、未払費用を計上します。
ケース2は保証協会付の証書貸付で保証料一括払い。前払費用に計上し、約定期間で月割します。
ケース3は据置6ヶ月の設備資金。利息のみ費用化し、据置明けの元金返済に合わせてキャッシュ繰りを再設計します。
いずれも返済予定表を主たる根拠とし、ズレは金融機関の利息計算書で補正します。
付随費用と消費税区分の判断(保証料・手数料・印紙税)
付随費用は金額と期間対応に応じて「当期費用」か「前払・繰延」に分かれます。
消費税は利息は非課税、印紙税は消費税の対象外。
事務手数料や保証料は相手先・役務内容により課税/非課税が分かれるため、必ず請求書の税区分を一次情報とします。
誤ると申告修正や原価歪みの原因です。
消費税は利息は非課税、印紙税は消費税の対象外。
事務手数料や保証料は相手先・役務内容により課税/非課税が分かれるため、必ず請求書の税区分を一次情報とします。
誤ると申告修正や原価歪みの原因です。
税区分と期間按分の実務フローとチェックリスト
まず「誰から・何に対して・どの期間分を支払うのか」を分解します。
利息は非課税取引として処理。
印紙税は消費税の課税対象外で租税公課。
事務手数料は一般に課税対象で処理されるケースが多い一方、保証料は相手先や制度により取り扱いが異なるため、請求書・約款で判定します。
期中に一括支払いした保証料や初期費用は、効果が複数期間に及ぶ場合、前払費用とし月割で費用化すると月次の損益が安定します。
月次締めでは未払利息(計上基準日が月末)や未払手数料の計上も検討。
決算時は前払・未払の棚卸し、消費税区分の突合、源泉税の要否(手数料の性質により)を最終確認します。
次の配分例を参照してください。
利息は非課税取引として処理。
印紙税は消費税の課税対象外で租税公課。
事務手数料は一般に課税対象で処理されるケースが多い一方、保証料は相手先や制度により取り扱いが異なるため、請求書・約款で判定します。
期中に一括支払いした保証料や初期費用は、効果が複数期間に及ぶ場合、前払費用とし月割で費用化すると月次の損益が安定します。
月次締めでは未払利息(計上基準日が月末)や未払手数料の計上も検討。
決算時は前払・未払の棚卸し、消費税区分の突合、源泉税の要否(手数料の性質により)を最終確認します。
次の配分例を参照してください。
取引 | 税区分の目安 | 初期仕訳 | 配分方法 | 留意点 |
---|---|---|---|---|
保証料(1年分一括) | 相手先により異なる | 前払費用/普通預金 | 12ヶ月の月割 | 配分起算日は約定に従う。途中返済は按分修正。 |
事務取扱手数料 | 課税の可能性 | 支払手数料/普通預金 | 重要性で前払可 | 請求書の税区分を採用。仕訳ルールに明記。 |
印紙税 | 不課税(消費税対象外) | 租税公課/現金 | 都度費用 | 電子契約の扱いを運用ルール化。証憑保管。 |
利息(当月分) | 非課税 | 支払利息/未払費用 | 日割計上 | 金利通知・残高照合を根拠にする。 |
- チェック1:請求書の税区分・内訳記載を第一に採用。
- チェック2:役務の内容と提供者の属性で補強判断。
- チェック3:重要性基準を金額で明文化し、前払・繰延の適用を統一。
- チェック4:配分スケジュールを台帳化し、月次で自動振替。
- チェック5:申告書・付表との整合を決算で突合し、乖離は翌期ルールに反映。
期末処理と短期・長期の付替(返済予定表ベースの決算実務)
決算実務の核心は「返済予定表との突合」です。
1年内返済予定部分の付替、未払利息の計上、前払費用の残高チェックを同日に片付ける運用にすると事故が減ります。
条件変更(リスケ)があれば短長区分・金利・据置の再設計を即時反映します。
監査対応を見据え、根拠資料の改版履歴と入手ルートを台帳に残しておくと説明がスムーズです。
1年内返済予定部分の付替、未払利息の計上、前払費用の残高チェックを同日に片付ける運用にすると事故が減ります。
条件変更(リスケ)があれば短長区分・金利・据置の再設計を即時反映します。
監査対応を見据え、根拠資料の改版履歴と入手ルートを台帳に残しておくと説明がスムーズです。
決算日のチェックステップと仕訳テンプレ
期末は次の順で進めるとミスが激減します。
①返済予定表で翌期1年内返済額を集計し、長期借入金から短期借入金への付替仕訳を起票。
②月末までに発生した利息の未払計上を日割で算定。
③前払費用(保証料・手数料)の残高と配分期間を検証し、必要なら見直し。
④契約変更があれば、稟議・覚書・通知書を証憑として短長区分・金利を更新。
⑤会計ソフトの自動仕訳ルール・定期仕訳を翌期用にロールオーバー。
監査・税務調査で問われやすいのは「短長区分の根拠」「日割計算の基礎数値」「前払配分の起算日」の三点です。
社内規程にテンプレを添付し、承認フローと突合手順を明文化してください。
①返済予定表で翌期1年内返済額を集計し、長期借入金から短期借入金への付替仕訳を起票。
②月末までに発生した利息の未払計上を日割で算定。
③前払費用(保証料・手数料)の残高と配分期間を検証し、必要なら見直し。
④契約変更があれば、稟議・覚書・通知書を証憑として短長区分・金利を更新。
⑤会計ソフトの自動仕訳ルール・定期仕訳を翌期用にロールオーバー。
監査・税務調査で問われやすいのは「短長区分の根拠」「日割計算の基礎数値」「前払配分の起算日」の三点です。
社内規程にテンプレを添付し、承認フローと突合手順を明文化してください。
場面 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
長期→短期の付替 | 借入金(長期) | 短期借入金 | 翌期1年内返済額の振替 |
未払利息の計上 | 支払利息 | 未払費用 | 期末日割分(予定表・通知書根拠) |
前払費用の月割 | 支払手数料 | 前払費用 | 保証料・初期費用の配分 |
条件変更の反映 | (注記・台帳更新) | (仕訳は個別) | 返済条件・金利・据置の更新 |
- 内部統制:返済予定表の「発行元」と「発行日」を記録し、変更履歴を台帳で管理。
- 監査対応:契約書・覚書・金利通知・請求書・明細の紐付けをインデックス化。
- 経営管理:月次モニタリングで利息負担率・有利子負債回転期間を可視化し、予実差異の要因を分解。
資金使途別の勘定科目の落とし穴(運転・設備・納税・開発)
同じビジネスローンでも、資金使途が違えば「どこに戻すか」が変わります。
運転資金は売上債権・棚卸資産の循環、設備資金は固定資産の取得・減価償却、納税資金は租税の支払いに直結します。
研究開発や広告投資など将来費用に充てる場合は、費用認識のタイミングと資金返済のタイミングがズレやすく、KPI設計が要です。
運転資金は売上債権・棚卸資産の循環、設備資金は固定資産の取得・減価償却、納税資金は租税の支払いに直結します。
研究開発や広告投資など将来費用に充てる場合は、費用認識のタイミングと資金返済のタイミングがズレやすく、KPI設計が要です。
使途別の勘定連携・原価影響・月次運用の実践ポイント
運転資金の場合、仕入・人件費・外注費・地代家賃・水道光熱費など短サイクルの支払いに充てられます。
返済は営業活動キャッシュから賄う前提なので、入出金カレンダーを売上債権の回収サイトと連動させ、延滞の芽を月中で潰します。
勘定は短期借入金、利息は支払利息、付随費用は支払手数料(重要性で前払)で整理。
原価計算への影響は直接はありませんが、棚卸水準・回収遅延が利息負担に波及するため、在庫KPIと併せてモニタリングが必要です。
設備資金では、資金は固定資産(機械装置・器具備品・ソフトウェア等)に着地します。
取得時は固定資産に計上し、付随費用のうち資産取得に直接関連するものは取得原価に含めるか費用処理かを社内方針で統一します。
減価償却が始まると損益に影響するため、返済元金と償却費の二軸でキャッシュフローを管理します。
納税資金の場合、期末の税額確定から支払いまでのブリッジを可視化。
仕訳は租税公課の支払、借入の返済計画を決算スケジュールに織り込み、翌期の資金繰り表に落とし込みます。
研究開発・広告投資に充てる場合は、費用の認識基準と成果確認のKPIを事前に定義。
一時的な売上増減に引きずられないよう、返済原資のボトムを現金回収基盤で確保します。
よくある誤りは、設備資金の付随費用を全額支払手数料にしてしまい、取得原価と耐用年数の評価が不整合になること。
もう一つは、運転資金で当座貸越を使いながら回収の遅延を放置し、利息の実効負担率が上がるケースです。
月次では、資金使途に応じた台帳(運転・設備・納税・開発)を用意し、入金・支払・返済・利息を四象限で可視化するだけでも改善効果が出ます。
返済は営業活動キャッシュから賄う前提なので、入出金カレンダーを売上債権の回収サイトと連動させ、延滞の芽を月中で潰します。
勘定は短期借入金、利息は支払利息、付随費用は支払手数料(重要性で前払)で整理。
原価計算への影響は直接はありませんが、棚卸水準・回収遅延が利息負担に波及するため、在庫KPIと併せてモニタリングが必要です。
設備資金では、資金は固定資産(機械装置・器具備品・ソフトウェア等)に着地します。
取得時は固定資産に計上し、付随費用のうち資産取得に直接関連するものは取得原価に含めるか費用処理かを社内方針で統一します。
減価償却が始まると損益に影響するため、返済元金と償却費の二軸でキャッシュフローを管理します。
納税資金の場合、期末の税額確定から支払いまでのブリッジを可視化。
仕訳は租税公課の支払、借入の返済計画を決算スケジュールに織り込み、翌期の資金繰り表に落とし込みます。
研究開発・広告投資に充てる場合は、費用の認識基準と成果確認のKPIを事前に定義。
一時的な売上増減に引きずられないよう、返済原資のボトムを現金回収基盤で確保します。
よくある誤りは、設備資金の付随費用を全額支払手数料にしてしまい、取得原価と耐用年数の評価が不整合になること。
もう一つは、運転資金で当座貸越を使いながら回収の遅延を放置し、利息の実効負担率が上がるケースです。
月次では、資金使途に応じた台帳(運転・設備・納税・開発)を用意し、入金・支払・返済・利息を四象限で可視化するだけでも改善効果が出ます。
- 運転資金:売上債権回転日数と当座貸越残高の相関を可視化。
- 設備資金:固定資産台帳と返済予定表をリンクし、原価償却とキャッシュを二重管理。
- 納税資金:試算表→決算見込→税額見込→支払計画→資金手当の一本道をテンプレ化。
- 開発・広告:費用対効果のKPIと返済原資のボトムラインを事前合意。
会計ソフト設定と自動化(テンプレ設計・ヒット率向上)
勘定科目の方針を決めても、仕訳が自動で正しく入らなければ現場は回りません。
明細の文字列ルール、金額条件、相手先名の表記揺れを吸収する設計が鍵です。
継続的にヒット率を検証し、例外処理をテンプレに吸収するサイクルを回します。
明細の文字列ルール、金額条件、相手先名の表記揺れを吸収する設計が鍵です。
継続的にヒット率を検証し、例外処理をテンプレに吸収するサイクルを回します。
テンプレ設定手順と運用サイクル(現場で効く小技を含む)
ステップ1はテンプレの分解です。
「借入実行」「返済(元金)」「返済(利息)」「手数料」「保証料」「印紙税」に分け、それぞれに相手先・キーワード・金額条件を設定します。
ステップ2は相手先の別名辞書を作ることです。
銀行名の略称やネットバンキング表記など、現れてほしい全パターンを辞書に登録し、将来の表記揺れにも備えます。
ステップ3は金額ロジックの導入です。
返済取引は「元金+利息=引落額」の関係があるため、利息候補を支払利息として自動推定し、残額を元金に当てる仕組みを使います。
ステップ4は未払の自動計上です。
月末締めで利息が翌月引落の場合、日割計算式をテンプレに組み込み、未払費用を計上して翌月に相殺します。
ステップ5は配分スケジュールのルール化です。
保証料や初期費用は前払費用の配分表を作成し、起算日・終了日・残月数を自動更新します。
小技として、摘要に「契約番号」「金利タイプ」「基準金利改定日」を自動追記するだけで、監査時の検索性が飛躍的に上がります。
例外処理は月次で棚卸しし、テンプレに吸収するまで手作業ログを残します。
3ヶ月連続で同じ例外が出たらテンプレ改修のタイミングです。
KPIは「自動仕訳ヒット率」「例外件数」「月次締め所要時間」「監査指摘件数」を採用し、改善の進捗を可視化します。
「借入実行」「返済(元金)」「返済(利息)」「手数料」「保証料」「印紙税」に分け、それぞれに相手先・キーワード・金額条件を設定します。
ステップ2は相手先の別名辞書を作ることです。
銀行名の略称やネットバンキング表記など、現れてほしい全パターンを辞書に登録し、将来の表記揺れにも備えます。
ステップ3は金額ロジックの導入です。
返済取引は「元金+利息=引落額」の関係があるため、利息候補を支払利息として自動推定し、残額を元金に当てる仕組みを使います。
ステップ4は未払の自動計上です。
月末締めで利息が翌月引落の場合、日割計算式をテンプレに組み込み、未払費用を計上して翌月に相殺します。
ステップ5は配分スケジュールのルール化です。
保証料や初期費用は前払費用の配分表を作成し、起算日・終了日・残月数を自動更新します。
小技として、摘要に「契約番号」「金利タイプ」「基準金利改定日」を自動追記するだけで、監査時の検索性が飛躍的に上がります。
例外処理は月次で棚卸しし、テンプレに吸収するまで手作業ログを残します。
3ヶ月連続で同じ例外が出たらテンプレ改修のタイミングです。
KPIは「自動仕訳ヒット率」「例外件数」「月次締め所要時間」「監査指摘件数」を採用し、改善の進捗を可視化します。
テンプレ名 | 条件(相手先・摘要・金額) | 借方 | 貸方 | 備考 |
---|---|---|---|---|
返済(元金) | 摘要に「返済」「元金」か、利息差額ロジック | 短期借入金/借入金 | 普通預金 | 残額自動判定でミス削減。 |
返済(利息) | 摘要に「利息」「利子」 | 支払利息 | 普通預金 | 未払費用との相殺を自動化。 |
手数料 | 摘要に「事務手数料」「取扱手数料」 | 支払手数料/前払費用 | 普通預金 | 重要性基準で前払へ振替可。 |
保証料 | 摘要に「保証料」 | 前払費用 | 普通預金 | 配分表で月割計上。 |
印紙税 | 摘要に「印紙」 | 租税公課 | 現金・預金 | 電子契約の取扱を注記。 |
体験談:実際に「明細から逆算する会計」に切り替えて救われた話
小売を営む当社は、季節要因で当座貸越を常用していました。
ある期、在庫積み増しと改装で資金需要が重なり、想像以上に利息負担が増加。
返済仕訳の一部に元利混在があり、利益が不自然に小さく見えていました。
そこで返済明細と予定表を起点に「逆算する」運用へ切り替えました。
ある期、在庫積み増しと改装で資金需要が重なり、想像以上に利息負担が増加。
返済仕訳の一部に元利混在があり、利益が不自然に小さく見えていました。
そこで返済明細と予定表を起点に「逆算する」運用へ切り替えました。
正直な気づきと、現場で効いた打ち手(想像以上に地味だが効く)
正直、最初は「会計ソフトが自動でやってくれるから大丈夫」という思い込みがありました。
実際には、カードローン型の引落が複数日に分散し、元金と利息の区分がズレていたのです。
そこで、返済予定表・金利通知・入出金明細を一枚の台帳に束ね、取引日単位で元金と利息を突合しました。
据置期間の案件は利息のみ、据置明けから元金が動くルールをテンプレに落とし込み、未払利息は日割で自動計上するスクリプトを設定。
併せて、保証料の一括支払いは前払費用に切り替え、配分開始日と終了日を約定どおりに管理。
与信枠の使い順は金利の低い証書貸付を優先回収する方式に変更し、当座貸越の平均残を圧縮しました。
返済資金は売上債権の回収サイト短縮で捻出し、在庫発注のリードタイムを再設計。
その結果、月次の支払利息は2割ほど圧縮。
決算では短期・長期の付替忘れがゼロになり、監査でも証憑の紐付けが評価されました。
実際に運用を回してみて感じたのは、明細を「読む」のではなく「設計図として使う」感覚です。
台帳を見れば誰でも同じ仕訳に辿り着ける状態を作ったことで、属人化が解け、新人でも1ヶ月で月次を締められるようになりました。
想像以上に効果が大きかったのは、例外をテンプレに吸収する小さな改善の積み上げでした。
いまは月末締め当日に未払利息・前払配分・短長付替まで終えられ、資金会議の議題は「利息負担率の改善策」に集中できています。
実際には、カードローン型の引落が複数日に分散し、元金と利息の区分がズレていたのです。
そこで、返済予定表・金利通知・入出金明細を一枚の台帳に束ね、取引日単位で元金と利息を突合しました。
据置期間の案件は利息のみ、据置明けから元金が動くルールをテンプレに落とし込み、未払利息は日割で自動計上するスクリプトを設定。
併せて、保証料の一括支払いは前払費用に切り替え、配分開始日と終了日を約定どおりに管理。
与信枠の使い順は金利の低い証書貸付を優先回収する方式に変更し、当座貸越の平均残を圧縮しました。
返済資金は売上債権の回収サイト短縮で捻出し、在庫発注のリードタイムを再設計。
その結果、月次の支払利息は2割ほど圧縮。
決算では短期・長期の付替忘れがゼロになり、監査でも証憑の紐付けが評価されました。
実際に運用を回してみて感じたのは、明細を「読む」のではなく「設計図として使う」感覚です。
台帳を見れば誰でも同じ仕訳に辿り着ける状態を作ったことで、属人化が解け、新人でも1ヶ月で月次を締められるようになりました。
想像以上に効果が大きかったのは、例外をテンプレに吸収する小さな改善の積み上げでした。
いまは月末締め当日に未払利息・前払配分・短長付替まで終えられ、資金会議の議題は「利息負担率の改善策」に集中できています。
まとめ
勘定科目の設計は「入口=負債、出口=元金と利息の分解」を起点に、契約形態・付随費用・税区分・期末付替・資金使途・運用自動化を一本の流れで結ぶことが要です。
返済予定表と請求書の税区分を一次情報として採用し、台帳とテンプレに落とし込めば、月次のブレは抑えられます。
体験談のとおり、明細から逆算する姿勢が成果を生みます。
最後に、決定ルールをテーブルで再掲します。
返済予定表と請求書の税区分を一次情報として採用し、台帳とテンプレに落とし込めば、月次のブレは抑えられます。
体験談のとおり、明細から逆算する姿勢が成果を生みます。
最後に、決定ルールをテーブルで再掲します。
論点 | 一次情報 | 主な科目 | 運用ルール | KPI |
---|---|---|---|---|
契約区分 | 契約書・返済予定表 | 短期借入金/借入金 | 1年基準で短長区分。変更時に即見直し。 | 付替漏れゼロ |
返済仕訳 | 入出金明細・内訳書 | 支払利息・負債 | 元利分解。未払計上と翌月相殺。 | 自動化ヒット率 |
付随費用 | 請求書・約款 | 支払手数料/前払費用 | 重要性基準で前払配分。 | 費用の平準化 |
税区分 | 請求書の区分表示 | 非課税・不課税・課税 | 利息は非課税、印紙は不課税、手数料は請求書準拠。 | 申告修正ゼロ |
資金使途 | 社内稟議・台帳 | 運転・設備・納税・開発 | 四象限で可視化。原資の確保を先決。 | 利息負担率の改善 |
自動化 | テンプレ・辞書 | 各仕訳テンプレ | 例外を月次で吸収し改修。 | 締め所要時間 |
- 返済予定表・請求書・明細を台帳に束ね、根拠資料の改版履歴を残す。
- 科目方針と税区分ルールを明文化し、会計ソフトのテンプレに実装する。
- 前払・未払・短長付替を定型タスク化し、月末当日に完結させる。
- 資金使途台帳を運転・設備・納税・開発で分け、四象限でKPIを可視化する。
- 例外はログ化し、3ヶ月でテンプレ吸収。自動化ヒット率を四半期で改善する。