従業員の多様な働き方を支援し、企業の成長を後押しする「両立支援等助成金」。中でも、令和6年4月に新設された「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、育児と仕事の両立を目指す従業員にとって大きな福音となるでしょう。法改正を背景に、企業にはより柔軟な制度設計が求められる今、この助成金を活用して、働きがいのある職場環境づくりを目指しませんか？本記事では、助成金の目的、要件、申請方法から活用事例まで、詳しく解説します。
柔軟な働き方選択制度等支援コースとは？助成金の目的と背景
厚生労働省が新たに設けた「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、3歳以上小学校就学前の子を持つ従業員が、柔軟な働き方を選択できる制度を複数導入した中小企業事業主を対象とした助成金です。育児・介護休業法の改正により、企業は従業員のニーズに応じた多様な働き方を整備することが求められており、この助成金は、法改正への対応を強力にバックアップします。制度導入だけでなく、利用を促す取り組みを行い、実際に従業員が制度を利用した場合に助成金が支給される点が特徴です。従業員の満足度向上、企業イメージ向上、そして優秀な人材の確保に繋がることを目指しています。
支給対象となる事業主と助成要件
中小企業事業主が対象：規模の要件を確認
この助成金は中小企業事業主が対象ですが、規模の要件は業種によって異なります。必ず厚生労働省のウェブサイト等で詳細を確認しましょう。従業員の仕事と育児の両立を支援する制度導入が、助成金受給への第一歩です。
助成金の主な支給要件
助成金を受け取るには、以下の主要な要件を満たす必要があります。
- 柔軟な働き方選択制度等の導入数と種類: 2つ以上の制度導入が必須です。具体的には、後述するフレックスタイム制度、テレワーク、時差出勤、有給休暇制度、子の看護休暇制度などが該当します。
- 「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」の作成と周知: 制度利用を促進するため、従業員のニーズに合わせたプランを作成し、社内周知を徹底しましょう。
- 従業員との面談とプランの作成: 個別の状況を丁寧にヒアリングし、それぞれの従業員に最適なプランを作成します。
- 制度利用期間と利用基準: 一定期間、基準を満たす利用実績が必要です。
- 雇用保険の被保険者であること: 従業員が雇用保険に加入していることが条件です。
- 一般事業主行動計画の策定と届出: 次世代育成支援対策推進法に基づく計画が必要です。
支給対象とならないケース
不正受給はもちろんのこと、雇用形態の不合理な変更や、制度の趣旨に反する運用は支給対象外となります。制度の目的を正しく理解し、適切な運用を心がけましょう。
対象となる柔軟な働き方選択制度：どんな制度が利用できる？
3歳から小学校就学前の子を持つ従業員が利用できる柔軟な働き方として、具体的には以下のような制度が挙げられます。
- フレックスタイム制度: 従業員が始業・終業時間を柔軟に調整できる制度。
- 時差出勤制度: 通常の勤務時間帯をずらして勤務できる制度。
- 育児のためのテレワーク: 自宅など、オフィス以外の場所で勤務できる制度。
- 子の養育を容易にするための有給休暇制度または法定を上回る子の看護休暇制度: 子の急な病気や学校行事などに合わせて休暇を取得しやすい制度。
これらの制度を2つ以上導入することで、助成金の対象となります。従業員のニーズを的確に把握し、働きやすい環境づくりに繋がる制度を選びましょう。
制度導入のポイント：従業員のニーズに合わせた制度設計
制度を導入する際は、従業員へのアンケートやヒアリングを実施し、ニーズを丁寧に把握することが重要です。また、制度の利用を促進するために、社内周知や個別面談を積極的に行いましょう。助成金の申請には、これらの取り組みに関する書類が必要となるため、日頃から記録を整理しておくことが大切です。
助成金額と申請手続き：いくらもらえる？どうすれば申請できる？
制度導入数に応じて助成金額が異なり、2制度導入で20万円、3制度以上導入で25万円が支給されます。さらに、育休取得状況を公表することで加算額（2万円）を受け取ることも可能です。
申請手続きの流れは、制度導入、就業規則への規定、個別面談の実施、制度利用の開始、申請書類の準備、そして管轄の労働局への申請となります。申請期間は、制度利用期間の翌日から2ヶ月以内です。
厚生労働省のウェブサイトで詳細を確認し、支給要領やQ&Aを参照しながら、余裕をもって申請を進めましょう。
申請時の注意点と受給のポイント：確実に助成金を受け取るために
確実に助成金を受け取るためには、以下の点に注意が必要です。
申請書類の準備：必要書類を事前に確認
申請には、支給要件を満たすことを証明する様々な書類が必要です。雇用契約書、就業規則、出勤簿、そして従業員との面談記録など、必要な書類を事前に確認し、漏れなく準備しましょう。厚生労働省のウェブサイトで申請様式や詳細な手続きを確認できます。
制度の適切な運用：制度を適切に運用し、利用実績を記録
助成金は、制度の導入だけでなく、実際に従業員が制度を利用していることが要件となる場合があります。制度を適切に運用し、従業員の利用実績を記録しておくことが重要です。柔軟な働き方選択制度等支援コースでは、制度利用者との面談記録や支援プランの作成が求められます。
労働局との連携：不明な点は労働局に問い合わせ
申請に関して不明な点があれば、自己判断せずに、管轄の労働局に問い合わせましょう。労働局は、申請に関する相談や情報提供を行っています。事前に問い合わせることで、申請の準備をスムーズに進めることができます。
支給要領とQ&Aの参照：詳細な情報を確認
厚生労働省のウェブサイトには、支給要領やQ&Aが掲載されています。これらの資料を参照することで、制度の詳細な情報を確認することができます。特に、支給要件や申請手続きについては、事前にしっかりと確認しておきましょう。
各コースの概要と「柔軟な働き方選択制度等支援コース」との違い
従来のコースでは、育児休業の取得支援や介護離職の防止などが中心でしたが、新コースでは、フレックスタイムやテレワークなど、より多様な働き方の選択肢を提供することに重点を置いています。
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、単に制度を設けるだけでなく、従業員が実際に利用しやすいよう、企業が積極的に取り組むことを奨励しています。
従来のコースでは、育児休業や介護休業の取得を支援するものが中心でしたが、新コースでは、育児中の従業員がより柔軟な働き方を選択できる制度を導入した企業を支援します。
このコースを活用することで、企業は従業員の満足度向上や人材確保につながり、より働きやすい職場環境を実現できます。
まとめ：両立支援等助成金を活用して働きやすい職場づくりを
柔軟な働き方選択制度等支援コースの重要性：従業員のワークライフバランスを支援
令和6年4月に新設された「柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、少子高齢化が進む日本において、従業員のワークライフバランスを支援する上で非常に重要な役割を果たします。育児中の従業員が柔軟な働き方を選択できる制度を導入することで、企業はより魅力的な職場となり、優秀な人材の確保に繋がります。
助成金活用による企業メリット：人材確保、生産性向上、企業イメージ向上
助成金を活用することで、企業は人材確保、生産性向上、企業イメージ向上といった多岐にわたるメリットを享受できます。柔軟な働き方を支援する制度は、従業員の満足度を高め、優秀な人材の定着を促進します。また、従業員が安心して働ける環境は、生産性の向上にもつながります。さらに、働きやすい職場環境づくりに取り組む企業として、社会的な評価も高まります。
今後の展望：法改正への対応と両立支援の重要性
令和7年4月には育児・介護休業法が改正され、企業は従業員が子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現できる制度を複数設けることが義務付けられます。法改正への対応とともに、両立支援の重要性はますます高まっています。
問い合わせ先と関連情報：厚生労働省のウェブサイト、都道府県労働局
両立支援等助成金に関する詳細は、厚生労働省のウェブサイトや都道府県労働局で確認できます。積極的に情報を収集し、自社の状況に合わせた制度導入を検討しましょう。今こそ、両立支援等助成金を活用して、従業員にとっても企業にとってもプラスとなる、働きやすい職場環境づくりに取り組みましょう。
