中小企業の設備投資を強力に後押しする「ものづくり補助金」。その採択の鍵を握るのが、申請内容を有利にする「加点項目」です。
加点項目とは?採択率との密接な関係
ものづくり補助金における加点項目とは、企業の事業の成長性や政策への貢献度を評価するもので、加点項目が多いほど採択されやすい傾向があります。過去のデータからも、加点数に応じて採択率が明確に上昇することが示されています。この記事では、加点項目の種類、取得方法、申請時の注意点などを詳しく解説します。
加点項目の全体像:5つの種類と概要
ものづくり補助金では、企業の取り組みに応じて加点される制度があり、大きく分けて以下の5つの種類が存在します。これらの加点項目を理解し、自社に合ったものを選択・取得することで、採択の可能性を高めることができます。
- 成長性加点
- 政策加点
- 災害等加点
- 賃上げ加点等
- 女性活躍等の推進の取り組み加点
成長性加点:経営革新計画の承認で未来を切り開く
経営革新計画とは、中小企業が新たな事業活動に取り組む際の経営目標を明確にする計画です。この計画が都道府県知事等に承認されると、成長性加点が得られます。計画策定には専門知識が必要ですが、企業の将来性を示す上で非常に有効です。
政策加点:国の政策に貢献し、支援を勝ち取る
政策加点は、国の政策目標に沿った事業活動を行う企業に与えられます。例えば、創業・第二創業後間もない事業者、パートナーシップ構築宣言を行った事業者、DX認定を受けた事業者などが対象です。自社の取り組みが国の政策に合致するかどうかを精査し、該当する場合は積極的にアピールしましょう。
災害等加点:事業継続力強化計画でリスクに備える
事業継続力強化計画とは、自然災害などの緊急事態が発生した場合でも、事業を継続するための対策をまとめた計画です。この計画の認定を受けることで、災害等加点が得られます。リスク管理体制の強化は、企業価値の向上にもつながります。
賃上げ加点等:従業員への還元で社会貢献をアピール
賃上げ加点等は、従業員の給与を増額したり、最低賃金を引き上げたりする企業に与えられます。また、被用者保険の適用範囲を拡大することも加点対象となります。従業員への還元は、企業全体のモチベーション向上にも貢献し、社会的な評価も高めます。
女性活躍等の推進の取り組み加点:多様性が企業を強くする
女性活躍推進法に基づく認定や、次世代育成支援対策推進法に基づく認定を受けている企業は、女性活躍等の推進の取り組み加点を得られます。多様な人材の活用は、企業の創造性や競争力を高める上で不可欠です。
加点項目選択のポイント:自社に最適な戦略とは
加点項目は、闇雲に取得すれば良いというものではありません。以下のポイントを踏まえ、自社に最適な加点項目を選びましょう。
期間、親和性、費用対効果:バランスの取れた選択を
加点項目を選ぶ際は、要件を満たすまでの期間、事業との親和性、そして費用対効果を考慮しましょう。短期間で達成可能な項目や、自社の事業内容と関連性の高い項目を選ぶことが重要です。また、要件を満たすために必要な費用も考慮し、費用対効果の高い項目を選びましょう。
グローバル枠限定の加点項目:海外展開を目指すなら
グローバル枠で申請する事業者には、特定の加点項目が用意されています。これらの項目は、海外展開や国際的な事業活動に関連するもので、グローバル市場を目指す企業にとって有利に働きます。
特定の事業者のみが申請できる加点項目:見逃し厳禁
創業間もない事業者や、特定の認定を受けている事業者など、特定の条件を満たす事業者のみが申請できる加点項目も存在します。自社の状況を照らし合わせ、該当する加点項目がないか確認しましょう。
複数の加点項目を取得するメリットと注意点:欲張りすぎは禁物
過去のデータから、加点項目の数が多いほど採択率が高くなる傾向があります。しかし、加点要件を満たすには時間や費用がかかる場合があるため、慎重な検討が必要です。自社の状況に合わせて、無理なく取得できる加点項目を選びましょう。
スムーズな申請準備:3つのステップ
加点項目を効果的に活用し、スムーズに申請を進めるために、以下のステップで準備を進めましょう。
加点項目の要件確認:公募要領を隅々までチェック
まず、最新の公募要領を熟読し、自社が該当する加点項目を洗い出します。成長性、政策、災害等、賃上げ、女性活躍など、様々な種類があります。
必要書類の準備:早めの準備が成功の鍵
加点項目ごとに必要な書類が異なります。経営革新計画の承認書、パートナーシップ構築宣言の写し、事業継続力強化計画の認定書など、早めに準備を進めましょう。
申請代行サービスの活用:プロの視点を活用
加点項目の選択や書類作成に不安がある場合は、申請代行サービスの利用も検討しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な申請が可能になります。
減点項目にも要注意:油断は禁物
ものづくり補助金の採択率を上げるためには、加点項目だけでなく、減点項目にも注意が必要です。減点対象となるのは、主に過去の採択歴と繰越欠損金の扱いです。
減点項目とは?:事前に確認し、対策を
ものづくり補助金では、申請内容に不備があったり、過去の採択状況によっては減点される場合があります。減点は採択の可能性を下げるため、事前に確認し、対策を講じることが重要です。
過去の採択歴による減点:複数回の恩恵は難しい
過去3年以内に類似の補助金を受けている場合、減点対象となることがあります。これは、より多くの事業者に補助金が行き渡るようにするための措置です。
繰越欠損金による減点:財務状況も審査対象
特定の枠において、繰越欠損金によって申請要件を満たしている場合も減点されることがあります。これは、財務状況が健全な事業者を優先するための措置と考えられます。
減点を避けるための対策:専門家への相談も視野に
過去の採択歴は変えられませんが、繰越欠損金に関しては、税理士などの専門家と相談し、適切な対策を検討することが可能です。申請要件をしっかりと確認し、不利な状況にならないように準備しましょう。
まとめ:加点項目を制し、採択率アップへ!
ものづくり補助金における加点項目は、採択を左右する重要な要素です。自社の事業計画に合致する加点項目を戦略的に取得することで、採択の可能性を高めることができます。
自社に合った加点項目を選び、戦略的に申請準備を進めよう
加点項目は多岐にわたります。経営革新計画の承認、パートナーシップ構築宣言、事業継続力強化計画の認定など、自社の状況に合わせて最適な加点項目を選びましょう。早期に情報収集を行い、計画的に準備を進めることが重要です。
最新情報を常にチェックし、万全の体制で臨もう
補助金の制度や要件は変更される可能性があります。常に最新情報を確認し、申請書類に反映させることが重要です。公募要領を熟読し、不明な点は事務局に問い合わせるなど、万全の体制で申請に臨みましょう。
専門家への相談も有効活用
ものづくり補助金に関する疑問や不安がある場合は、専門家や相談窓口を活用しましょう。中小企業診断士や税理士などの専門家は、申請書類の作成や加点項目の選定について的確なアドバイスを提供してくれます。金融機関の皆様も、ぜひこれらの情報を活用し、顧客企業の支援にお役立てください。