連帯保証なしで事業資金は確保できるのか?第三者保証人なしで進める実務を解説

「事業資金を借りたいけれど、家族や知人に連帯保証人になってもらうのだけは避けたい……」 経営者であれば、誰もが一度は抱く不安です。一昔前までは「事業の借金には誰かしら保証人が必要」というのが常識でしたが、2026年現在の実務では、家族などの第三者を連帯保証人に立てない方向が広く定着しています。

ただし、ここで注意が必要なのは、「第三者の保証が不要」であることと、「社長本人の保証も不要」であることは別問題だという点です。本記事では、第三者保証人なしで資金を確保するための現実的なルートと、社長本人の保証まで外せるケース、外せないケースの境界線を、専門用語を抑えて分かりやすく整理します。

30秒要約ボックス(概念テーマ:第三者保証なしの進め方)

結論: 家族や知人などの「第三者保証人」を立てずに進めるルートは数多く存在します。ただし、社長本人(代表者)の連帯保証が必要になるケースは依然として多いため、窓口ごとの条件確認が不可欠です。

つまずきやすい注意点: 「保証人なし」という言葉を「誰の保証もいらない(完全に無担保・無保証)」と解釈すると、審査の最終段階で代表者保証を求められて慌てることになります。特に高額な借入や、業績が不安定な場合は、代表者保証が前提となる傾向があります。

次にやること: まずは「第三者保証が不要な窓口」を絞り込み、その上で「社長本人の保証まで外す条件」を満たしているかチェックしましょう。複数の窓口を比較し、自社の財務状況で「代表者保証なし」が通るラインを冷静に見極めることが重要です。

1. 金融機関が「連帯保証人」を求める本当の理由

金融機関が「連帯保証人」を求める本当の理由

銀行などの金融機関が保証人を求めるのは、貸したお金が返ってこないリスクを避けるためです。ここで、私たちが混同しやすい「二種類の保証」について整理しておきましょう。

1-1. 「第三者保証人」:家族や知人に頼むもの

かつては、社長の親族や知人が「連帯保証人」としてハンコを押し、万が一のときに肩代わりをする慣習がありました。しかし、これが原因で経営破綻が連鎖する社会問題が起きたため、現在は「第三者の保証人は原則として求めない」という流れが定着しています。

1-2. 「代表者保証」:社長本人が責任を負うもの

一方で、多くのビジネスローンや銀行融資で今も残っているのが、社長本人による保証です。これは「会社が返せなくなったら、社長個人が責任を持って返します」という約束です。金融機関としては、社長に「自分ごと」として経営を続けてもらうための、いわば「覚悟の証明」として求めている側面があります。

2. 「第三者なし」は当たり前、焦点は「代表者本人の保証」へ

「第三者なし」は当たり前、焦点は「代表者本人の保証」へ

ここ数年、日本の金融界では「経営者の個人保証にも頼りすぎない融資」が推進されています。国や金融庁が掲げる「経営者保証改革」の流れです。

2-1. 第三者保証なしで借りられるチャンスは広い

現在、ほとんどのビジネスローンや公的な融資(日本政策金融公庫など)において、第三者の連帯保証人を立てる必要はほぼなくなっています。 つまり、「家族に迷惑をかけたくない」という願いは、多くの窓口で叶えることが可能です。

2-2. 「社長の保証」まで外すためのハードル

ただし、社長本人の保証まで完全にゼロにする(代表者保証なし・無担保)には、さらに厳しい条件をクリアする必要があります。

  • 「会社の財布」と「社長個人の財布」の分離: 会社の経費と私生活の出費が、1円単位でハッキリ分かれているか。
  • 返済する力の証明: 本業でしっかり利益が出ており、借金を返すだけのお金が会社に残っているか。
  • 情報のオープンな開示: 会社の数字を隠さず、定期的に銀行へ報告しているか。

「保証人なし」という言葉を見かけたときは、それが「第三者(家族など)がいらない」という意味なのか、「社長本人もいらない」という意味なのかを、冷静に見極めることが実務上の第一歩となります。

3. 「何にお金を使うか」で変わる!保証の扱いと窓口選び

「何にお金を使うか」で変わる!保証の扱いと窓口選び

一口に「事業資金」と言っても、その使い道によって審査の通りやすさや、求められる保証の重さは変わります。まずは自分の目的がどれに当てはまるかを確認しましょう。

3-1. 日々の支払いを守る「運転資金」

商品の仕入れや給料の支払いなど、売上が入るまでの「つなぎ」として必要なお金です。

求められやすい保証: 短期の運転資金では、第三者の連帯保証人を立てずに進められる商品が多く見られます。もっとも、代表者本人の保証まで不要かどうかは商品ごとに異なり、オンライン型ビジネスローンでも個別確認が必要です。

審査のポイント: 「来月、確実に売上が入ってくるか」が見られます。請求書などを見せて「出口」を証明できれば、保証人を立てずに済む可能性が高まります。

3-2. 機械やお店を整える「設備資金」

新しい機械の導入や、店舗のリフォームなどにかけるまとまったお金です。

求められやすい保証: 返済期間が長くなりやすい設備資金では、第三者の連帯保証人は不要でも、代表者本人の保証を求められるケースが多い傾向があります。ただし、財務内容や資金計画、担保設定の有無によっては、保証条件が見直される余地もあります。

審査のポイント: 「その設備を入れることで、どれだけ利益が増えるか」が問われます。「この機械で生産性が上がり、毎月の利益がこれだけ増える」という具体的な予測を伝えることが大切です。

3-3. 新しく商売を始める「創業資金」

実績がない状態でのスタートなので、最も慎重に判断される分野です。

求められやすい保証: 公的な融資制度では、第三者保証人を立てずに相談できる枠組みが広がっています。一方で、代表者本人の保証の扱いは、自己資金や事業計画、制度要件によって判断が分かれます。

審査のポイント: 実績がない分、「計画の具体性」がすべてです。客数や単価を細かく計算し、「最悪の事態でもこうやって返せる」という守りの計画も示せると、信頼を得やすくなります。

4. 審査担当者がチェックする「保証人を外すための条件」

審査担当者がチェックする「保証人を外すための条件」

「第三者保証人は立てたくないし、できれば自分の保証も外したい」と考えたとき、審査担当者はあなたの会社のどこを見ているのでしょうか。ポイントは以下の2つです。

4-1. 会社に「返済の余裕」がどれだけあるか

難しい計算は抜きにして、要は「本業で稼いだお金から経費を引いて、最終的に手元に残るお金」が、毎月の返済額を安定して上回っているかを見ます。返済後にも資金繰りの余裕が残ると説明できるほど、代表者保証の見直しを相談しやすくなります。

4-2. お金の「入口」と「出口」が書類でつながっているか

審査を有利に進めるには、以下の流れを「一本の線」で証明する必要があります。

  • 見積書: これを買うために(入口)
  • 契約書: こういう商売をして(中身)
  • 請求書: 〇日にお金が入るから(出口)
  • 返済: 滞りなく返せます

この流れに矛盾がないことを書類で見せられる状態にしておけば、「第三者の保証人を立てる必要はない」という判断を得やすくなり、社長本人の保証条件についても相談しやすくなります。

5. どこに相談する?窓口ごとの「保証のルール」と得意分野

どこに相談する?窓口ごとの「保証のルール」と得意分野

家族や知人を保証人に立てたくないという希望は、現在の多くの窓口で叶えることができます。ただし、これらはすべて「お金を借りて利息とともに返す(融資・ローン)」という仕組みです。

借りたお金を返す責任を「誰が負うのか」というルールは、窓口によって異なります。それぞれの特徴を整理しました。

5-1. 低コストだが審査は厳しい:銀行・ネット銀行

もっとも一般的な、銀行からお金を借りる(融資を受ける)ケースです。

  • 第三者の保証人: 2026年現在、原則として不要です。
  • 代表者本人の保証: 求められるケースが多いですが、財務内容や情報開示の状況によっては外せる可能性があります。
  • 特徴: 金利が低いのが最大の魅力ですが、審査はもっとも厳格です。ここでの条件を「物差し(基準)」にして、他の窓口を検討するのが実務的な進め方です。

5-2. 「スピード」でピンチを救う:デイリーキャッシング

「来週の支払いに間に合わせたい」という急ぎの場面で選ばれる、独立系のビジネスローン(融資)です。

  • 第三者の保証人: 原則として不要です。
  • 代表者本人の保証: 審査の結果や、借りる金額・期間によって判断が分かれます。
  • 特徴: 株式会社デイリープランニング(デイリーキャッシング)は、銀行にはない「判断の速さ」が持ち味です。過去の実績よりも「今現在の商売の流れ」を見て、「この入金予定があるなら、保証を重くしなくても大丈夫」と柔軟に判断してくれることが期待できます。

5-3. 「不動産」を信用の裏付けにする:MRMRF(エム・アール・エフ

「土地や建物はあるが、今は一時的に赤字」という場合に選ばれる、不動産担保融資(ローン)です。

  • 第三者の保証人: 原則として不要です。
  • 代表者本人の保証: 基本的には「必要」となります。
  • 特徴: 株式会社MRFは、不動産という「確かな物」を担保にしてお金を貸し出します。社長本人が保証人になるケースが多いものの、それは不動産価値に基づいた契約の一部です。「誰か身近な人を保証人に連れてきてほしい」と言われる心配がなく、資産を有効活用してまとまった資金を借りられるのが強みです。

5-4. 「法人・大口」のニーズに応える:アクト・ウィル

「事業拡大のために、数千万円単位のまとまったお金を借りたい」という法人(会社)専用の融資窓口です。

  • 第三者の保証人: 原則として不要です。
  • 代表者本人の保証: 法人向け融資では、代表者本人の連帯保証が前提となる案内が見られます。
  • 特徴: アクト・ウィル株式会社は、法人特有の複雑な資金事情に精通しています。銀行では対応しきれないような「第三者保証なし・大口」の相談に対し、プロの視点で最適なローンの形を提案してくれる頼もしさがあります。

6. 一目でわかる!窓口別の「保証」比較表

一目でわかる!窓口別の「保証」比較表

今回ご紹介した窓口は、すべて「融資(お金を借りる仕組み)」です。それぞれの保証に関する扱いの違いをまとめました。

相談先のタイプ主な融資の形態第三者の保証人代表者本人の保証
銀行・ネット銀行一般的な融資原則不要原則必要
デイリーキャッシングビジネスローン原則不要審査により判断
MRF不動産担保融資原則不要原則必要
アクト・ウィル法人向け融資原則不要代表者保証前提

※横にスクロールして確認できます >

どの窓口も「家族や知人を保証人にしない」という点は共通しています。一方で、社長本人が保証人になるかどうかは、会社の成績や「不動産などの担保があるか」によって変わる、という境界線を意識しておくことが大切です。

7. 「第三者保証なし」を確実にするための実務ステップ

「第三者保証なし」を確実にするための実務ステップ

家族や知人を巻き込まずに融資(借入)を受けるためには、事前の準備が欠かせません。審査の担当者が「この内容なら、わざわざ第三者の保証までは求めなくていいだろう」と判断できる材料を揃えましょう。

ステップ1:お金の使い道と「出口」を書類で固める

貸し手側がもっとも警戒するのは、「何に使うかハッキリしないお金」です。

  • 準備するもの: 見積書、注文書、請求書など。
  • やるべきこと: 「なぜその金額が必要なのか」を1円単位で説明できるようにします。また、借りたお金をどうやって返すのか、その「出口(入金予定)」を請求書などで証明できれば、第三者保証人を求められるリスクを最小限に抑えられます。

ステップ2:毎月の「お金のカレンダー」を最新にする

「毎月いくら入って、いくら出ていくか」をまとめた表(資金繰り表)を準備します。

審査への効果: 「今月は支払いが重なるけれど、来月にはこれだけの入金がある」という事実を数字で見せることで、相手の不安を先回りして解消できます。これがしっかりしていれば、社長本人の保証を外すための有力な交渉材料にもなります。

8. 【ケーススタディ】現場で無保証融資を実現した3つの記録

【ケーススタディ】現場で無保証融資を実現した3つの記録

実際に「第三者保証なし」で資金を確保した現場では、どのような工夫があったのでしょうか。ポイントを絞ってご紹介します。

事例A:設備投資で2,800万円を確保(製造業)

新型の機械を導入するために、まとまった資金が必要になったケースです。

  • 保証の形: 家族などの第三者保証人はなし。社長本人の保証は付きましたが、支払いの開始時期を調整しました。
  • 成功の理由: 「新しい機械でどれだけ利益が増えるか」を具体的な数字で提示。不動産などの資産を担保に活用できる窓口も検討しつつ、最終的に「機械が稼ぐ力」を認めさせたことが決め手となりました。

事例B:急な支払いの谷を乗り切った(開発会社)

大きな仕事の入金が1ヶ月先なのに、今月の給料支払いが迫っていた緊急事態です。

  • 保証の形: 第三者保証人を付けずに進め、代表者本人の保証条件もできるだけ軽く抑える形で着地。
  • 成功の理由: 確実に入ってくる来月の請求書を提示し、スピード審査に強いノンバンク系ビジネスローンを活用。商売の流れを具体的に示せたことが、短期間での資金確保につながりました。

事例C:実績ゼロからの飲食店オープン(創業)

自分のお店を開くための1,000万円が必要だったケースです。

  • 保証の形: 第三者保証人は付けず、公的制度の条件に合わせて代表者保証の扱いを調整。
  • 成功の理由: 緻密な事業計画を作成し、売上見込みと返済可能性を丁寧に示したことが評価されました。

9. まとめ:連帯保証なしで事業資金は確保できるのか?

まとめ:連帯保証なしで事業資金は確保できるのか?

結論として、2026年現在の実務では、「家族や知人などの第三者保証人を立てないこと」は十分に可能であり、むしろそれが標準的な形となっています。

一方で、「社長本人の保証」まで完全に外せるかどうかは、会社の成績や、担保にできる資産があるかによって判断が分かれるのが現実です。

  • 第三者保証人なし: ほとんどの窓口(銀行、ノンバンク、公的機関)で、今の時代は当たり前になりつつあります。
  • 社長本人の保証なし: 会社の利益が安定しているか、非常に透明性の高い経営(公私の区別など)をしている場合に限られます。

「家族に迷惑をかけたくない」という願いは、正しい窓口選びと数字の準備によって、実現できる可能性を大きく高められます。まずは目の前の書類を整理し、自分の会社にとってベストな「保証の形」を見つけることから始めてみてください。

この記事の著者

中村陽介

中村陽介(資金調達マップ編集部)

資金調達や売掛債権の活用法など、経営者が抱える資金課題をテーマに編集・執筆を担当。元ファクタリング会社に勤務していた経験を活かし、ファクタリングの仕組みや活用ポイントについて、実務的な視点から分かりやすく伝えることを重視している。

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